人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話 ５６

何しろ急な事なので、何はともあれ取り敢えず駆け付けた次第ですので。
　「はぁー、此処は信頼関係で、名刺に有りますように東京から来てますので、一旦会社に戻って対処しなければ、今日は金曜日ですので、、、」
　「然し先に書いて渡すとなぁ」
　「はい、もし入金が無ければ暴露されても仕方ありませんし、私が一筆署名しますので」
　そのメモを預かり渋々サインして一枚づつお互いに持ち帰る事に。
　「平井様、しっかり顔を覚えましたので、、、」
　言いながら握手を求めてきたので応じ、そこへ岩井氏が戻ってきた。
　ははぁ、顔をしっかり見た…次は無いよ…
との警告やな。
　「じゃこれで円満解決として宜しくお願いします」
　２人は店から出ていった。
　昔から　先人の言葉で
　〈金は手に握るまでは信用するな！取らぬ狸の皮算用〉
　全くその通りだ。何かまだスッキリした気分になれず、半分は金が入らないのではと疑心暗鬼に、然も土、日曜日を挟んでいるし悶々として過ごした。期待し過ぎるとショックも大きいので。
　やっと月曜日になり、朝一では早過ぎるのではと１時ごろ家から離れた銀行に行き確認すると何と一、十、百、、、きっちり１００万円が
　「エェーまじか！やったぁ」
　会社名でなく立花氏個人名義で送金されていた。その場で５０万円を引き出し、その足で店を変えて後の５０万円を下ろした。直ぐに出さないと没収されるのではと危機感が募ったのだ。
この時にこの世は表も有れば裏もあるんだと強く思ったのだ。
　クソ真面目に働くばかりが能でないと妙な正義感が湧いてきたのだ。
　店長は本社では将来有望株とエリートコースを走っていたが、立花氏のカバーも虚しく結局はこの件が大きく響いて田舎のデパートに左遷され、やる気をなくし不倫に走り離婚になりその後は不明だ。
　身から出た錆といえ、同情の余地は無い。

　私は根っからの貧乏性なので家でゴロゴロできない性格なので、彼女の負担を少しでも軽くしてあげたいので買い物、料理は私がやり、洗い物や部屋の掃除は彼女が綺麗好きなので、私のやり方に不満を持ち、やり直すので此処は分担作業にした。　　
　　　　　続く