人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話６２

　「男の取立てはし易い、グズったら最後は会社に乗り込んだら大方の人は払うが、女性はコロコロと感情や気分でいう事が変わるし、山崎なんか赤子を捻るようなもんよ」
　過去に女の取立てをしたが、土壇場でひっくり返されて偉い恥をかいた事があったし。
〈やっぱり好きだからお金は諦めるからと〉　これを言われると取立ては出来ないしな。　然し、この女は武器をフル回転させてるな　「ホンマに回収する気があるならわしの知人を紹介するが。こいつはプロやからギャフンと言わすで」
　「小田さんでも無理なら、、わしなんか屁みたいなもんやな」
　何か憑き物が落ちたように納得した様だ。
　「どうや、一発ギャフンとカマすか、この女は」
　「うーん、、、」
　ママを見ながら色気に負けて決心が鈍るようだ。
　「どうやねん、はっきりせえ。やるか諦めるか。他にも被害者が増えない為にもな」
　「わ、分かったお願いします」
　「よし、こいつはプロやし、俺の知人やから普通は回収額の半分やが、特別に３割に交渉したるゎ」
　「えーそんなに？するんですか」
　あんたは甘ちゃんの御坊ちゃまだから分からんがなぁ、こういう高額の取立ては難しいんや。相手も払いたく無いので、のらりくらり引っ張り誰か人を介入させてくるし。それがチンピラ、ヤクザもいるので結構危険な仕事やし。何処かに逃げたり、時効を待ったりと、、、説明すると納得した様だ。
　その晩、後輩に電話をした。同じ施設育ちで３歳下、ヤクザ崩れで組にも属さずやりたい放題だ。金の匂いには敏感で悪知恵は天下一品なのだ。
　施設にいる時は過剰に可愛がられていた。２５才歳上の保母さんに童貞を奪われたのだ。それがきっかけになり同じ施設の女子に手を出し妊娠させて追放され少年院に、保護観察へと、、、悪の道へと転落していったのだ。　一時はサラリーマンの世界にいたが、会社の金を着服して警察沙汰になり、そこからアウトローの世界に。よってこういう追い込みは打って付けの人材である。
　毒女には毒を持って制す
　タカシはいつもお洒落で口は達者、頭の回転は速いし女の扱いは上手いのでいつも女が切れた事がない。
　同棲中の女の家に電話を
　「はい、谷岡ですが」
　「あぁ、久しぶりやなぁ。御影にいた一郎やが、いますか」
　施設出身というよりは御影にいたの方が耳障りが良いので、１０秒程待って　　　　続く