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2節[第一章]
第三十七話『到着』
しおりを挟む「ちょっちょっと待って!」
「どっどういうことやレイン!」
「なっなんかエイムに嫌なことされたんか!?」
え?なんでそんなに慌ててるの?そりゃエイム様の婚約者である私から結婚しないって聞いたら驚きはするけど…。
フィブア様やスベイス様だって本当は悪役令嬢の噂がある妹と大事な友人を婚約させるの嫌なはずだよね?
もしかして違うの??
「お兄様達は私がエイム様と結婚しなければいけないと思っておられるのですか?」
「いや…そういうわけではないねんけど…。」
「エイムさんとレインは一緒になった方が俺はいいと思う…うーん。」
「こう…お兄ちゃんとしては複雑なんよね!」
お兄ちゃんとしては複雑??頼りない妹だからエイム様に預けないと心もとないって事!?
「大丈夫ですよ!私強いですから!!」
神様から貰ったチート能力があればある程度の事は出来ちゃうし!エイム様に頼らなくても十分強いし!
「そういう事やないんやけど…。」
「難しいな…。」
「まぁ、レインが気づかないようなアピールしかしてないエイムにも問題はあるやろ。」
「「それはそう。」」
??
気づかない?私が??何を??
内容を聞こうとした時、馬車が止まり窓から光が差し込んでくる。
その光は会場を照らすまるで街のような明るさだった。思わず目をつぶるが、扉の開く音で目を開ける。
「会場へ到着致しました。」
「あぁ、ありがとうな。ほな行こか、レイン。」
「あっ!はい!」
隣に座っていたフィブア様が私に手を差し出してくれる。やんわりと握りながら馬車を降りる。
今回のパーティーの主役である私はいったん別室に移動し、婚約者のエイム様と入場する形になっている。
別室には私1人で行くため、ここで3人とは一旦別れる。
「俺らは先にパーティー会場に行っとくから。」
「レインが入って来た時にめぇいっぱいの拍手を送るからね!」
「今回はレインがメインのパーティーや、しっかり楽しむんやで。」
3人がそれぞれ言葉をかけてくれる。ヤヌア様もスベイス様もいつも通りの雰囲気を作って私を安心させようとしてくれる。フィブア様は私の頭を軽く撫でて笑顔になるよう元気をくれた。
今から始まる出来事に、立ち向かう勇気を3人は与えてくれた。
3人と別れる直前、私は笑顔で言えた。
「行ってきます!」
私は小走りで別室へと向かった。
「いや~レインさんが社交デビューか、月日は早いね~。」
「レインに会うん久しぶりやから楽しみやわ!」
「僕はレインさんと1歳差だったのが驚きやったけどね…。」
「あっ!そういえばあいつは?」
「目を離した隙にいなくなっとるな…。何かしでかしたら今度こそ縁切らな。」
「フィーヤ兄さん怖っ…。」
「まぁ俺もあんな妹はもうゴメンや。」
「兄さん達の気持ちは分からなくはないけど…あんまり言葉に出すことじゃ…。」
「ズハイの本音は?」
「今すぐ兄を辞めたい。」
「八ハハッ!さすが俺の弟やな!」
「さて、そろそろ過保護な奴らのご入場やで。」
「今回のパーティーでレインに近寄るやつが出てくるやろうけど、アイツらがおったら絶対無理やろうな。」
「レインさんの婚約をあの人達から許されるのは、エイムさんだけですからね。」
「シスコンは恐ろしいね…。」
「せやな~。」
「さぁ、来るよ。」
大きな扉がゆっくりと開いていく。アナウンスがかかり全員が扉に注目した。
「四代家紋ウィンター家長男フィブア様、次男スベイス様、三男ヤヌア様のご入場です!」
今回の主役の兄妹は、その立場にふさわしいオーラを放っていた。
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