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しおりを挟む僕の予想通りに悟は何度も浮気を繰り返した。
『浮気しないで』
『僕だけにして』
何度訴えても同じ言い訳をされるだけ…。
『愛してるのはお前だけ』
『あいつらとは体だけの関係だ』
体だけの関係なら、僕を抱けばいいと言うて、悟は嬉しそうに僕を抱いた。
毎日毎日、気を失うとまで、身体を貪られる。
もう精も根も尽き果てるほどに僕とセックスをしているくせに、それでも悟は暇をみつけては浮気をする。
やがてどれだけ浮気を繰り返しても僕が悟から離れられないと分かると、悟は浮気をまったく隠さなくなった。
僕が家に居ても浮気をするようになったのだ。
廊下を挟んだ寝室にいてもリビングから聞こえる荒い声、ソファーの軋む音が絶え間なく聞こえてくる…。
確かに僕以外とは体だけの関係なのだろう。浮気相手は頻繁に変わっているし、行為の最中でも悟が愛の言葉を囁くことはなかった。
それだけが僕の救いだ。まだ愛されているのは自分だけだと錯覚させてくれる。
悟は浮気相手が帰った後は必ず僕の事を抱く。
頭から被った布団を優しく剥がし、涙をぬぐいながら抱き締めてくるのだ。
『一人にしてごめんな、辛かったろ?』
辛い気持ちがわかるならどうして他の人を抱くの…?
『要が大切なんだ、大事にしたい』
大事にしたい?もう僕の心はボロボロなのに…。
優しく頭を撫でられ、時間をかけて丁寧に服を脱がされる。
それに浮気相手との扱いの差を感じてほっとする。
他人とセックスをした後に恋人を抱くという、最低の行為に安心できるのだ。
いつか僕だけを愛してくれる…。そう思い込むことができるから…。
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