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プロローグ
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誰か、お願いだからこれは夢だと言って。
夢なら耐えられる、だって覚めたら終わりだから。
だけどもし、これが夢じゃなかったら・・・・・。
私は今、とんでもなく広い屋敷の中にいる。
まるで海外のような造りの建物は壮大な大きさで、人が何人積み重なろうが天井に達しないような高さと、端から端まで歩くだけでいい運動になりそうなほどの広さがある。
屋敷の中には部屋がたくさんあり、その中でも今私がいる部屋は一番広くて美しい部屋だ。
黄金の装飾を纏う椅子や寝具が配置された部屋は、説明されなくともこの部屋にいるのがこの屋敷の主人だと誰もが瞬時に理解するだろう。
そんな豪華な部屋で、私は今目の前にいる男に頭を下げている。
床を擦ってしまうほど裾の長いドレスを着ているので、頭を下げると煌びやかなドレスの生地で視界がいっぱいになる。
頭を下げたまま視線だけ少し上にあげると、目の前にいる男の顔を伺うことができた。
私と同じく豪華な衣服を身にまとう雄々しい男が、高飛車な顔で頭を下げる私を見下ろしていた。
はあ~~~~~偉そうにしちゃって。
私は口には出ないように、心の中でだけ悪態を吐いた。
私がこう思ってしまうのも無理はないのだ。
何故ならこの男は・・・・。
「ヘリオス様っ!リチャードが参りましたぁ!」
甘ったるい声と共に、背の低い痩せ型の男が部屋に入ってきて、目の前にいる男に向かって走り寄ってきた。
リチャードと名乗る男の髪は癖毛で、ふんわりとしたアッシュカラーの髪は、柔らかくて猫のようだ。
「おお、リチャード。もうすっかり体調は良さそうだな。
この女が、お前を噴水に突き飛ばしたりしなければ・・・。」
ヘリオスと呼ばれた男が言う、『この女』とは私の事だ。
身に覚えのない罪を着せられた私は、盛大にため息を吐いた。
「ヘリオス様!違うんです。僕が勝手に噴水に落ちてしまったんです。」
目に涙を浮かべ、リチャードはヘリオスにすり寄る。
「リチャード、この女を庇う必要などない。おい、アレシア。」
「・・・はい。」
名前を呼ばれた私は、仕方なく返事をした。
「お前は所詮、お飾りの妻であって、俺が本当に愛しているのはリチャードただ一人なのだ。
嫉妬心を抱くのさえおこがましいのだ。いいか、アレシア。
全く、跡継ぎさえ産まれれば、女などいう面倒な者は必要ないのに・・・。」
偉そうな態度を取りながら、男は私に向かって、フェミニストが聞いたら怒り狂いそうな発言を平然としてみせた。
はああああああ、また始まったよ、完全なる言い掛かりが。
嫉妬なんて微塵もしていないし、跡継ぎ産んだら必要ないとか言ってるけど、
あんたのために出産する気なんかサラサラありませんよ。
いっとくけど、私。
もう、いつものアレシアじゃないんだから。
「心得ております、ヘリオス卿。それでは。」
私は椅子から立ち上がり、敬意を払いたくもない相手に一礼をした。
「私はこれで、もう失礼しますね。」
そう言ってそそくさと退散する私を、少しだけ不思議そうに見つめるヘリオスとリチャード。
全く、冗談じゃないわよ。
私だって、あんた達とは関わりたくないっての。
もう・・・・本当に・・・・・・
夢なら耐えられる、だって覚めたら終わりだから。
だけどもし、これが夢じゃなかったら・・・・・。
私は今、とんでもなく広い屋敷の中にいる。
まるで海外のような造りの建物は壮大な大きさで、人が何人積み重なろうが天井に達しないような高さと、端から端まで歩くだけでいい運動になりそうなほどの広さがある。
屋敷の中には部屋がたくさんあり、その中でも今私がいる部屋は一番広くて美しい部屋だ。
黄金の装飾を纏う椅子や寝具が配置された部屋は、説明されなくともこの部屋にいるのがこの屋敷の主人だと誰もが瞬時に理解するだろう。
そんな豪華な部屋で、私は今目の前にいる男に頭を下げている。
床を擦ってしまうほど裾の長いドレスを着ているので、頭を下げると煌びやかなドレスの生地で視界がいっぱいになる。
頭を下げたまま視線だけ少し上にあげると、目の前にいる男の顔を伺うことができた。
私と同じく豪華な衣服を身にまとう雄々しい男が、高飛車な顔で頭を下げる私を見下ろしていた。
はあ~~~~~偉そうにしちゃって。
私は口には出ないように、心の中でだけ悪態を吐いた。
私がこう思ってしまうのも無理はないのだ。
何故ならこの男は・・・・。
「ヘリオス様っ!リチャードが参りましたぁ!」
甘ったるい声と共に、背の低い痩せ型の男が部屋に入ってきて、目の前にいる男に向かって走り寄ってきた。
リチャードと名乗る男の髪は癖毛で、ふんわりとしたアッシュカラーの髪は、柔らかくて猫のようだ。
「おお、リチャード。もうすっかり体調は良さそうだな。
この女が、お前を噴水に突き飛ばしたりしなければ・・・。」
ヘリオスと呼ばれた男が言う、『この女』とは私の事だ。
身に覚えのない罪を着せられた私は、盛大にため息を吐いた。
「ヘリオス様!違うんです。僕が勝手に噴水に落ちてしまったんです。」
目に涙を浮かべ、リチャードはヘリオスにすり寄る。
「リチャード、この女を庇う必要などない。おい、アレシア。」
「・・・はい。」
名前を呼ばれた私は、仕方なく返事をした。
「お前は所詮、お飾りの妻であって、俺が本当に愛しているのはリチャードただ一人なのだ。
嫉妬心を抱くのさえおこがましいのだ。いいか、アレシア。
全く、跡継ぎさえ産まれれば、女などいう面倒な者は必要ないのに・・・。」
偉そうな態度を取りながら、男は私に向かって、フェミニストが聞いたら怒り狂いそうな発言を平然としてみせた。
はああああああ、また始まったよ、完全なる言い掛かりが。
嫉妬なんて微塵もしていないし、跡継ぎ産んだら必要ないとか言ってるけど、
あんたのために出産する気なんかサラサラありませんよ。
いっとくけど、私。
もう、いつものアレシアじゃないんだから。
「心得ております、ヘリオス卿。それでは。」
私は椅子から立ち上がり、敬意を払いたくもない相手に一礼をした。
「私はこれで、もう失礼しますね。」
そう言ってそそくさと退散する私を、少しだけ不思議そうに見つめるヘリオスとリチャード。
全く、冗談じゃないわよ。
私だって、あんた達とは関わりたくないっての。
もう・・・・本当に・・・・・・
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