わたしのパーティーが全員ラスボスなんだけど!?

きゃる

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第一章 ラスボスは難しい

いきなり余命わずかです?

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 わたしの愛するラスボスが、四体一気に現れた。
 喜ぶどころかショックのあまり、声が出ない。

「おい。あれ、かなりマズいんじゃないか?」
「人……よね? 四人もだったら、余命はどれくらい?」

 わたしをいじめた先輩たちが、声を潜めず話している。

 黒髪に黒い瞳の異邦人。
 坂崎春花――この神殿で『ハルカ』と呼ばれるわたしは、最も魔力が弱かった。力いっぱい念じても、かすり傷程度しか治せない。そのせいで、「インチキ神官」とバカにされている。

 ある日突然、神殿の庭に迷い込んだわたし。
 知らない世界にひとりぼっちで、心細かった。

 いかにも怪しい自分を保護してくれた大神官は、身寄りのないわたしを神官の職にけるよう、推薦もしてくれた。

 そんな心優しい大神官でさえ、口をあんぐり開けている。



『召喚の儀』――念じた者を具現化する便利な秘術。

 その最大の欠点は、一つ呼び出すごとに残りの寿命が半分になることだ。

「四体もってことは、半分の半分の半分の半分!?」

 血の気がどんどん引いていく。
 浮かれていたさっきの自分に、こう言いたい。
 
『好きなラスボスを全員呼び出すなんて、あんた正気?』

 わたしは現在十八歳。
 あと八十年生きられるとしても、半分は四十。
 その半分は二十でさらに半分の十、そのまた半分ってことは――。

 余命はたったの五年!?

 赤ん坊なら幼稚園、小学生なら入学しても卒業できない。
 いや、もしかしたらもっと短い可能性が……。

「なんてこった」

 くじ引きで選ばれただけなのに、こんなのってあんまりだ。

 承知したのはひとえに、大神官のため。
 ただでさえ彼は、魔物の犠牲になった人々を毎日とむらっては、心を痛めている。過剰な職務で肌はつやがなく、身体はボロボロ。

 恩人の助けになりたい!
 その一心で、危険な秘術を引き受けたのに。

 でもこれは、危険どころか悪夢だ。
 早死にしたくない!



 現状を受け入れられず、しばらく放心していると、魔法陣の上がどエライことになっていた。
 
「おい、貴様。ここはどこだ?」
「え~? 僕に聞かれたって困るよぉ」
「おかしいな。私は天上にいたはずだけど?」
「…………チッ」

 いらつくあまり黒いオーラがダダ漏れな魔王、アルトローグ。
 可愛い顔で殺気を放つ人の悪意の集合体、ライムバルト。
 穏やかながらも目が全く笑っていない大天使、ウリエル。
 話すのも面倒だと怒りMAXで舌打ちする龍神、龍ケ崎一連りゅうがさき いちれん

 互いににらみ合うラスボスは、一触即発の状態だ。

「なんなの、あれ。衣装ばっかり派手で、見かけ倒しじゃない?」
「命けで呼び出しといて、あれか」
「魔力の少ないあいつが召喚したなら、どうせ雑魚ざこに決まってる」

 ――いいえ、先輩方。雑魚なんかじゃなくラスボスです!

「ハルカ、ともかく彼らに話しかけるのじゃ」
「こ、こんなお方にどうしろと?」

 呼び出した後のことを、失念していた。
 下手に話しかければ、この地もわたしも一瞬にして消されかねない。

「おい、人間。ここはどこだ?」

 長い黒髪に大きな角を生やしたイケメンが、金糸で縁取りされた黒のマントをひるがえす。 

『クリティカル・サーガ』のラスボス、魔王アルトローグだ。

 そういえば、ゲームの魔王はドット絵でボイスもなかった。
 昔のRPGだからか、登場時は「キシャー」とか、「グギャアアア」とかいう変な効果音。

 ――召喚時に思い浮かべたのが、パッケージのイラストで良かった♪

「貴様、応えぬとは……。余を愚弄ぐろうしているのか? 人間のくせに、命が惜しくないと見える」
「す、すみませんっ」

 焦って返事をしたものの、魔王の長い爪に炎がともされた。
 小さな炎は手の平の上で、たちまち巨大化する。

 ――いけない。この技は、【ブレイズストライク】!

「ダメーーーーーッ」

 せっかく召喚したのに、わたし、ここで終わりなの!?

「【ブレイズストラ――】」
「【氷壁ひょうへき】」

 魔王が火球を放つ寸前、龍神の低音が響いた。
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