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10 伝説の魔法
96 伝説の魔法使い 1
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「どういうことです!? 勇者に選ばれたら、否が応でも勇者になるしかないって言うんですか!?」
僕は思わず大声を出す。
「そうはさせない」
料理を作っているイチゴが低い声でつぶやく。
「つまるところ……そういうことだ。私は娘を解放するために、早いところ次の勇者を擁立しなきゃならんというのに、その次期勇者がイザベラの庇護を受けた人物ときた。正直呪われているのかとすら疑っている。神というものが存在するなら私の方が呪いたいぐらいだ」
そう言って大きくため息を吐くリグダミスは、指で何度か机を叩いた。
これでもう一つ合点がいった。
だがそれと同時に最大の疑問が頭をよぎる。
「つまり勇者に選ばれたら、勇者になるしかないというのは、教会によって選ばれた場合の話という事ですか……だけどそれならどうして、メイを教会から匿ってくれるのですか?」
「どうして……言葉の通りだ。イザベラがそれを望んでいないなら私はそうするしかないという事さ。残念なことにな」
全く持って話が見えてこない。
話せば話すほど疑問が湧いてくるようだ。
「つまらない話はそこまでにしな……注文の品だ。庶民のメシが貴族様の口に合うのかはわからないがな」
イチゴが話を遮り、リグダミスの前に謎の料理を差し出した。
それは故郷でも前世でも見たことがない物だ。というより、イチゴが作った料理の中でも見たことのない代物だ。
何種類かの野菜がぶつ切りにされていて、黒ずんだスープのようなものに浮かんでいる。匂いはきつめの香辛料の匂いが強く、何とも言えないような刺激臭になっている。お世辞にもおいしそうとは言えない。
いくらリグダミスのことが嫌いだとはいえ、料理を粗末にするような嫌がらせはどうかと思う。ほんの少しだが彼女に失望した。
そう思っていた矢先、リグダミスは意外にも嬉しそうな表情を見せた。
「懐かしい……昔はよく作ってくれたな」
何かを懐かしむように遠い目をして、そして思い出を頭の隅に追いやるように目を強く瞑った。
「そんなゲテモノ……食べるのはお前だけだ」
「料理もしたことない元冒険者が作る料理を一般人が食べられるレベルまでなったのは私のおかげだろう?」
「それとこれとは話は別だ! 私はお前を許す気は一切ない……生涯な」
先程までジョークを言い合っていた時のような雰囲気は消え失せ、圧倒的な威圧感が二つぶつかるのを感じた。それも肌で感じる程に強く、そうしてじわじわと僕の精神力を削り続ける。
そんなさなか、リグダミスはプレッシャーを解き静かに笑みを浮かべた。
「嫌われたものだ……私もこんな犬臭い店に居続けるのも飽きてきたし、さっさと食事と用事を済ませてお暇させていただくとしよう」
◇
「それで用事って言うのは、先ほどの話の続きですか?」
意味不明な食べ物? をすべて口に運び終わって口をナプキンで拭いているリグミダスに対して、僕は『よくあんなゲテモノ料理を食べられるな……』なんてことを思いながらも一応は話の展開を探してみる。
「それ以外何がある?」
リグダミスは明らかに人馬鹿にしたような顔をする。
それ以外ないという事は僕にだって理解できる。だが話の流れというか、空気というやつがある。わかっていることであったとしても口に出して確認しなければ、進まない話もあるだろう……そう僕は思うわけだ。
だがしかし、それを直接口にしたらどうなるかは想像に難くない。
「そ、そうですよね」
「まあいい。ともかく話を続けるとしよう……見たところ貴様は力を使いこなせていない。放出された魔力を抜き出すのに時間がかかりすぎている……それに魔法使いなら誰でも出来る魔法の操作が出来ていない。そこをどうにかしないと、ポーション作りにかなりの時間をようすることになるだろう。それでも単純なポーション作りよりかは早いだろうが……それでは遅すぎる。私にとってはな」
「それならどうするんですか?」
特訓が始まる予感がするが、正直な話をするならリグダミスと一緒に修行するなんてごめんこうむる。それが結果としても妹のためになるとしても、ものすごく悩んだうえで仕方なく受けることになるだろうが、出来る限りはそうならないことを願いたい。
「むろん、鍛えるしかない。そしてそれに向いているのは私だ。だが残念なことに、私は人に媚びへつらうような犬と一緒にいることを好まない――だから、もっと向いた奴を遣わせるとしよう。イザベラは私がここに来ることを嫌うようだしな」
「それは……誰なんですか?」
そんな僕の質問に答えたのは意外な人物だった。
「伝説の魔法使い。ケントニスか」
「イザベラ。まさにその通りだ。彼なら向いているだろう?」
「あいつが受けると思うか?」
どうやら、イザベラとリグダミス、二人の知り合いらしい。伝説の魔法使いと呼ばれる存在だ。きっとそれはすごく聡明で強靭な人物に違いない。それほどの人物となると、高慢ちきな人間かもしれないがたぶんリグダミスよりかは幾分かましだと信じたい。
と思ったが、次にリグミダスが言った言葉によって僕の想像は破壊された。
「受けるさ……碌な魔力も才能もなく、知識と努力だけで英雄と呼ばれるようになったのは、私のおかげでもあるからね」
なんだか厳しそうな感じだ。
僕は思わず大声を出す。
「そうはさせない」
料理を作っているイチゴが低い声でつぶやく。
「つまるところ……そういうことだ。私は娘を解放するために、早いところ次の勇者を擁立しなきゃならんというのに、その次期勇者がイザベラの庇護を受けた人物ときた。正直呪われているのかとすら疑っている。神というものが存在するなら私の方が呪いたいぐらいだ」
そう言って大きくため息を吐くリグダミスは、指で何度か机を叩いた。
これでもう一つ合点がいった。
だがそれと同時に最大の疑問が頭をよぎる。
「つまり勇者に選ばれたら、勇者になるしかないというのは、教会によって選ばれた場合の話という事ですか……だけどそれならどうして、メイを教会から匿ってくれるのですか?」
「どうして……言葉の通りだ。イザベラがそれを望んでいないなら私はそうするしかないという事さ。残念なことにな」
全く持って話が見えてこない。
話せば話すほど疑問が湧いてくるようだ。
「つまらない話はそこまでにしな……注文の品だ。庶民のメシが貴族様の口に合うのかはわからないがな」
イチゴが話を遮り、リグダミスの前に謎の料理を差し出した。
それは故郷でも前世でも見たことがない物だ。というより、イチゴが作った料理の中でも見たことのない代物だ。
何種類かの野菜がぶつ切りにされていて、黒ずんだスープのようなものに浮かんでいる。匂いはきつめの香辛料の匂いが強く、何とも言えないような刺激臭になっている。お世辞にもおいしそうとは言えない。
いくらリグダミスのことが嫌いだとはいえ、料理を粗末にするような嫌がらせはどうかと思う。ほんの少しだが彼女に失望した。
そう思っていた矢先、リグダミスは意外にも嬉しそうな表情を見せた。
「懐かしい……昔はよく作ってくれたな」
何かを懐かしむように遠い目をして、そして思い出を頭の隅に追いやるように目を強く瞑った。
「そんなゲテモノ……食べるのはお前だけだ」
「料理もしたことない元冒険者が作る料理を一般人が食べられるレベルまでなったのは私のおかげだろう?」
「それとこれとは話は別だ! 私はお前を許す気は一切ない……生涯な」
先程までジョークを言い合っていた時のような雰囲気は消え失せ、圧倒的な威圧感が二つぶつかるのを感じた。それも肌で感じる程に強く、そうしてじわじわと僕の精神力を削り続ける。
そんなさなか、リグダミスはプレッシャーを解き静かに笑みを浮かべた。
「嫌われたものだ……私もこんな犬臭い店に居続けるのも飽きてきたし、さっさと食事と用事を済ませてお暇させていただくとしよう」
◇
「それで用事って言うのは、先ほどの話の続きですか?」
意味不明な食べ物? をすべて口に運び終わって口をナプキンで拭いているリグミダスに対して、僕は『よくあんなゲテモノ料理を食べられるな……』なんてことを思いながらも一応は話の展開を探してみる。
「それ以外何がある?」
リグダミスは明らかに人馬鹿にしたような顔をする。
それ以外ないという事は僕にだって理解できる。だが話の流れというか、空気というやつがある。わかっていることであったとしても口に出して確認しなければ、進まない話もあるだろう……そう僕は思うわけだ。
だがしかし、それを直接口にしたらどうなるかは想像に難くない。
「そ、そうですよね」
「まあいい。ともかく話を続けるとしよう……見たところ貴様は力を使いこなせていない。放出された魔力を抜き出すのに時間がかかりすぎている……それに魔法使いなら誰でも出来る魔法の操作が出来ていない。そこをどうにかしないと、ポーション作りにかなりの時間をようすることになるだろう。それでも単純なポーション作りよりかは早いだろうが……それでは遅すぎる。私にとってはな」
「それならどうするんですか?」
特訓が始まる予感がするが、正直な話をするならリグダミスと一緒に修行するなんてごめんこうむる。それが結果としても妹のためになるとしても、ものすごく悩んだうえで仕方なく受けることになるだろうが、出来る限りはそうならないことを願いたい。
「むろん、鍛えるしかない。そしてそれに向いているのは私だ。だが残念なことに、私は人に媚びへつらうような犬と一緒にいることを好まない――だから、もっと向いた奴を遣わせるとしよう。イザベラは私がここに来ることを嫌うようだしな」
「それは……誰なんですか?」
そんな僕の質問に答えたのは意外な人物だった。
「伝説の魔法使い。ケントニスか」
「イザベラ。まさにその通りだ。彼なら向いているだろう?」
「あいつが受けると思うか?」
どうやら、イザベラとリグダミス、二人の知り合いらしい。伝説の魔法使いと呼ばれる存在だ。きっとそれはすごく聡明で強靭な人物に違いない。それほどの人物となると、高慢ちきな人間かもしれないがたぶんリグダミスよりかは幾分かましだと信じたい。
と思ったが、次にリグミダスが言った言葉によって僕の想像は破壊された。
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なんだか厳しそうな感じだ。
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