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10 伝説の魔法
100 使い方と才能 1
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「まあそんなことはどうでもいいよね!? くだらない言葉尻を捕らえても、1ミリたりとも誰も得をしないしね」
そう続けてケントニスは僕の追及を逃れる。
だがここでまた一つ疑問が生まれた。
はたして僕よりも数段すぐれた知能を持つ彼女が、人に気付かれるような失言をするだろうか? わからないけど、することもあるのかもしれない。というか、そこを疑っても答えが出ることはないだろう。
「わかりました。何も聞きません」
僕は仕方なくそう切り出した。
それを見てイチゴは明らかに安堵の表情を見せた。彼女の方はまるで隠す気もないらしい。思えば、彼女だって、ケントニスの失言を遮らなけらば僕がそれを深く気に留めることもなかったはずだ。慌てていたと言われればそうなのかもしれないが……はたして彼女がそんなミスをするだろうか?
まあ、こっちも考えても答えが出ないことなわけで、一度保留という形で頭の隅においておこう。
「ありがとう! そのお礼と言ってはなんだけど、そろそろ本題に入らせてもらうよ」
「よろしくお願いします」
来てもらっておいてなんだが、最初からそのために来てもらったはずだ。『お礼』と言われると何となく癪だ。
「二スなりの配慮だ。タダで教えてもらうとなると気が引けるだろう? だから、誰かに何かをタダで教えるときはいつもそんな意味不明なことを言って、相手の負担を減らそうとするんだ……」
イチゴは大きなため息を吐く。
それに対してケントニスは笑いながら怒っている。
「もう! イザベラさーん!! それを言ってしまったら意味ないじゃないですか!?」
「ふん。二スが嫌われるのは避けなければならんからな……ともかく、ケン。彼女から教わることは多いはずだ。しっかり教えてもらえ」
怒っているのか笑っているのかよくわからない幼女をよそに、イチゴはそう言い残して厨房の方へ去って行った。
「イザベラさんはいつもあんななんだから! もういいもん。ケン君に癒してもらうんだから!」
癒すってなんだ? 僕は今から修行をつけてもらうはずなんだが……一体何をされるのだろう。ものすごく不安だ。
「大丈夫よ。お姉さんは優しいから……痛くないようにしてあげるからね?」
おそらくジョークなのだろうが、そう言って彼女は僕にすり寄ってくる。
「いや、どういうことですか……」
小さな体で迫られても、全くそそらない。というか、どんな修行をされるのかが気になりすぎて、それどころではない。
「もう! ノリが悪いんだから! まあ冗談なんだけどね。あ、痛くないようにしてあげるっていうのは本当のことだからね?」
「それはありがたいです」
痛いことはしたくないからね。
「まあ、私は体育会系じゃないから、しっかりとした座学を積んでから実戦と行きたいわけ!」
声の大きさは体育会系のそれだが、そこを突っ込むのはやめておこう。
「座学ですか? 魔力の使い方について教えていただけるという事でしょうか?」
「そうなんだけど、魔力の使い方はもうケン君は知ってるよね? 知っていることを教えても時間の無駄じゃない!? だから、使い方というよりは魔力の根源とか、コツとかを教えてあげようかなってね? まあ一番重要な、他人とか魔物とかから魔力を吸い上げる方法とかの私が出来ないことは今の私には教えられないけどね!」
本当に聞きたいことを全部教えてくれる人だ。
僕のことも僕以上に理解しているような気がして、なんだかむず痒い気分にもなる。
「本当に何でも知っているんですね?」
この言葉を言った時、僕はトンデモない失態を犯したような気がした。
その気持ちも、彼女がニヤリと笑うもんだから強くなる。
そして、彼女は不敵な笑みを浮かべながら言うのだ。
「何でもは知らないわよ! しっ――」
それはまずい。
僕は急いで彼女の口をふさぐ。
「それはダメですよ!?」
本当に恐ろしい人だ。見たことも聞いたこともないはずの、僕の前世の文化をまるで見てきたかのように口に出来るのも、僕の思考を読んでのことなのだろうか?
そう続けてケントニスは僕の追及を逃れる。
だがここでまた一つ疑問が生まれた。
はたして僕よりも数段すぐれた知能を持つ彼女が、人に気付かれるような失言をするだろうか? わからないけど、することもあるのかもしれない。というか、そこを疑っても答えが出ることはないだろう。
「わかりました。何も聞きません」
僕は仕方なくそう切り出した。
それを見てイチゴは明らかに安堵の表情を見せた。彼女の方はまるで隠す気もないらしい。思えば、彼女だって、ケントニスの失言を遮らなけらば僕がそれを深く気に留めることもなかったはずだ。慌てていたと言われればそうなのかもしれないが……はたして彼女がそんなミスをするだろうか?
まあ、こっちも考えても答えが出ないことなわけで、一度保留という形で頭の隅においておこう。
「ありがとう! そのお礼と言ってはなんだけど、そろそろ本題に入らせてもらうよ」
「よろしくお願いします」
来てもらっておいてなんだが、最初からそのために来てもらったはずだ。『お礼』と言われると何となく癪だ。
「二スなりの配慮だ。タダで教えてもらうとなると気が引けるだろう? だから、誰かに何かをタダで教えるときはいつもそんな意味不明なことを言って、相手の負担を減らそうとするんだ……」
イチゴは大きなため息を吐く。
それに対してケントニスは笑いながら怒っている。
「もう! イザベラさーん!! それを言ってしまったら意味ないじゃないですか!?」
「ふん。二スが嫌われるのは避けなければならんからな……ともかく、ケン。彼女から教わることは多いはずだ。しっかり教えてもらえ」
怒っているのか笑っているのかよくわからない幼女をよそに、イチゴはそう言い残して厨房の方へ去って行った。
「イザベラさんはいつもあんななんだから! もういいもん。ケン君に癒してもらうんだから!」
癒すってなんだ? 僕は今から修行をつけてもらうはずなんだが……一体何をされるのだろう。ものすごく不安だ。
「大丈夫よ。お姉さんは優しいから……痛くないようにしてあげるからね?」
おそらくジョークなのだろうが、そう言って彼女は僕にすり寄ってくる。
「いや、どういうことですか……」
小さな体で迫られても、全くそそらない。というか、どんな修行をされるのかが気になりすぎて、それどころではない。
「もう! ノリが悪いんだから! まあ冗談なんだけどね。あ、痛くないようにしてあげるっていうのは本当のことだからね?」
「それはありがたいです」
痛いことはしたくないからね。
「まあ、私は体育会系じゃないから、しっかりとした座学を積んでから実戦と行きたいわけ!」
声の大きさは体育会系のそれだが、そこを突っ込むのはやめておこう。
「座学ですか? 魔力の使い方について教えていただけるという事でしょうか?」
「そうなんだけど、魔力の使い方はもうケン君は知ってるよね? 知っていることを教えても時間の無駄じゃない!? だから、使い方というよりは魔力の根源とか、コツとかを教えてあげようかなってね? まあ一番重要な、他人とか魔物とかから魔力を吸い上げる方法とかの私が出来ないことは今の私には教えられないけどね!」
本当に聞きたいことを全部教えてくれる人だ。
僕のことも僕以上に理解しているような気がして、なんだかむず痒い気分にもなる。
「本当に何でも知っているんですね?」
この言葉を言った時、僕はトンデモない失態を犯したような気がした。
その気持ちも、彼女がニヤリと笑うもんだから強くなる。
そして、彼女は不敵な笑みを浮かべながら言うのだ。
「何でもは知らないわよ! しっ――」
それはまずい。
僕は急いで彼女の口をふさぐ。
「それはダメですよ!?」
本当に恐ろしい人だ。見たことも聞いたこともないはずの、僕の前世の文化をまるで見てきたかのように口に出来るのも、僕の思考を読んでのことなのだろうか?
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