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10 伝説の魔法
102 使い方と才能 3
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うんうんと何度も頷くケントニス。
よっぽどうれしかったのか、かなりにこやかだ。
「こんなことを言っちゃうのもなんですが……あなたは僕の何を知っているのですか?」
「状況からわかることだけだよ。私はケン君のことをほとんど知らない。少ないけどわかることもあるってだけ……自分のことを何でも知られているように感じるのは不快だろうし、私の言葉から貶されていると思っちゃうのは気分が悪いだろうけど、君はそれに耐えないとだめ」
僕の質問に対して、ケントニスはかなり気分が沈んだ様子で静かに語った。
こうなると僕の方が悪いことをしているような気分にもなる。
なるほど、気がついていなかったけど、もうすでに座学は始まっているというわけだ。これは気持ちをコントロールするための訓練に近いのかもしれない。だから彼女は僕が不快に感じるようなことを口にしたり、わざと貶すようなことを言ったりしているのだろう。
つまり、魔力とは感情のコントロールに似ており、感情がコントロールできない獣人には魔力のコントロールも出来ないということなのだろう。
「そう言う事ですか……わかりました。耐えてみせます」
「そうしてくれると助かるわ!」
彼女は大きくため息を吐く。
イチゴは言っていた。『ケントニスほど優しい存在を知らない』と。つまり、彼女は自分の性分に合わないことをして、心を痛めているというわけだ。
彼女がそんな中で痛みに耐えているんだ。僕が耐えずしてどうする!?
「じゃあ、そろそろ本題にはいりますか!?」
「ええっ!? 今までのは本題じゃなかったんですか?」
「緊張したままじゃ、座学なんて頭にも入らないでしょ? まずは緊張をほぐすところからかと思ってね!」
僕の覚悟を返してくれ。
というか、このままじゃ本当に日が暮れてしまう。気を使ってくれるほあ有難いが、本当に日が暮れてしまう!
「でもまあ、ケン君の予想は大きく外れてはいないから安心して! 私も時間は有効に使いたいし、魔力のコントロールも同時に覚えられるし丁度いいかなって思ってね!」
「いやいや! 思ってね! じゃないですよ……そんなところを省略可しなくても!」
思わず本音が口から出る。ほんの少し前は赤の他人だったのに、今ではかなり打ち解けた感じがする。
彼女のペースに乗せられて、いい感じに緊張がほぐされているのがわかった。
「これで要約、本題に入れるでしょ!?」
すべてを見透かすような澄んだ笑顔をこちらに向ける彼女を見て、僕は確信した。
やはり彼女は全てを計算して今の流れを作ったのだと。
これにはさすがの僕も脱帽だ。帽子なんてかぶってないけど。
「はい」
「じゃあ、続けようか! まず最初に言っておかなければならないことがあるんだけど、さっきも言った通り、私も魔法使いとしての才能はなかったんだ……いやちょっと違う。今も才能はないと言った方が正しいかもね」
「伝説の魔法使いなのに、才能がないんですか?」
ちょっとだけからかってみる。しかし、効果はいまひとつのようだ。
「うん、たぶん魔法使いとしての純粋な才能ならイロアスの方が上かな……まあ彼女、魔法使いじゃないんだけどね……」
確かにイロアスの魔力は澄んでいて、驚くほどに強く、僕を遥かに凌駕していた。それなのに魔法使いじゃないというのは驚きだ。
「それで、才能がないのに、どうして伝説の魔法使いになれたんですか?」
「質問しなくても答えるのに……」
「質問してない僕の頭の中の疑問に対しては答えないでもらえると助かります。なんだか気持ち悪いので」
「それはそうだと思うけど、でも楽でいいでしょ?」
彼女の言うとおり、口を動かさなくて済むのは楽だ。が、それでも気持ち悪さの方が若干勝る。
「わかったよ」とつまらなさそうな表情だがそれでも彼女が納得してくれたことに安堵した。
「それで……どういう事なんです?」
そう訊ねたわけだが、彼女は「うーん……なんでだろう?」と自慢の推理を語ろうとしない。
人の心まで読みかねないほどの推理力を持ち合わせておいて、自分自身に向けられた羨望の眼差しを理解できないことなどありえないと思うからこそ、僕は彼女がそのことを話したくないのだと察することが出来た。
「わかりました。言いたくないなら大丈夫です。たぶん関係ない話ですしね」
「うん。私の過去なんて聞いたところで未来に何の影響も与えないしね! たぶん面白い話でもないし……『答えを知りたくないことは質問するな』ってことだね」
「……そうですね」
どこで名言を仕入れているのだろう? まさか僕の頭の中にある情報を引き出すことは出来ないだろうし、心を読めたとしても僕はその名言を心に思い浮かべていたわけではない。
気になるところではあるが、なんだか恐ろしすぎて答えを知りたくない。
「大丈夫! だからもっと面白い話をしてあげるよ!」
「何が大丈夫なんですか……面白い話?」
「うん。魔力コントロールについて」
それはありがたい。彼女もようやく本題に入ってくれる気になったようだ。
よっぽどうれしかったのか、かなりにこやかだ。
「こんなことを言っちゃうのもなんですが……あなたは僕の何を知っているのですか?」
「状況からわかることだけだよ。私はケン君のことをほとんど知らない。少ないけどわかることもあるってだけ……自分のことを何でも知られているように感じるのは不快だろうし、私の言葉から貶されていると思っちゃうのは気分が悪いだろうけど、君はそれに耐えないとだめ」
僕の質問に対して、ケントニスはかなり気分が沈んだ様子で静かに語った。
こうなると僕の方が悪いことをしているような気分にもなる。
なるほど、気がついていなかったけど、もうすでに座学は始まっているというわけだ。これは気持ちをコントロールするための訓練に近いのかもしれない。だから彼女は僕が不快に感じるようなことを口にしたり、わざと貶すようなことを言ったりしているのだろう。
つまり、魔力とは感情のコントロールに似ており、感情がコントロールできない獣人には魔力のコントロールも出来ないということなのだろう。
「そう言う事ですか……わかりました。耐えてみせます」
「そうしてくれると助かるわ!」
彼女は大きくため息を吐く。
イチゴは言っていた。『ケントニスほど優しい存在を知らない』と。つまり、彼女は自分の性分に合わないことをして、心を痛めているというわけだ。
彼女がそんな中で痛みに耐えているんだ。僕が耐えずしてどうする!?
「じゃあ、そろそろ本題にはいりますか!?」
「ええっ!? 今までのは本題じゃなかったんですか?」
「緊張したままじゃ、座学なんて頭にも入らないでしょ? まずは緊張をほぐすところからかと思ってね!」
僕の覚悟を返してくれ。
というか、このままじゃ本当に日が暮れてしまう。気を使ってくれるほあ有難いが、本当に日が暮れてしまう!
「でもまあ、ケン君の予想は大きく外れてはいないから安心して! 私も時間は有効に使いたいし、魔力のコントロールも同時に覚えられるし丁度いいかなって思ってね!」
「いやいや! 思ってね! じゃないですよ……そんなところを省略可しなくても!」
思わず本音が口から出る。ほんの少し前は赤の他人だったのに、今ではかなり打ち解けた感じがする。
彼女のペースに乗せられて、いい感じに緊張がほぐされているのがわかった。
「これで要約、本題に入れるでしょ!?」
すべてを見透かすような澄んだ笑顔をこちらに向ける彼女を見て、僕は確信した。
やはり彼女は全てを計算して今の流れを作ったのだと。
これにはさすがの僕も脱帽だ。帽子なんてかぶってないけど。
「はい」
「じゃあ、続けようか! まず最初に言っておかなければならないことがあるんだけど、さっきも言った通り、私も魔法使いとしての才能はなかったんだ……いやちょっと違う。今も才能はないと言った方が正しいかもね」
「伝説の魔法使いなのに、才能がないんですか?」
ちょっとだけからかってみる。しかし、効果はいまひとつのようだ。
「うん、たぶん魔法使いとしての純粋な才能ならイロアスの方が上かな……まあ彼女、魔法使いじゃないんだけどね……」
確かにイロアスの魔力は澄んでいて、驚くほどに強く、僕を遥かに凌駕していた。それなのに魔法使いじゃないというのは驚きだ。
「それで、才能がないのに、どうして伝説の魔法使いになれたんですか?」
「質問しなくても答えるのに……」
「質問してない僕の頭の中の疑問に対しては答えないでもらえると助かります。なんだか気持ち悪いので」
「それはそうだと思うけど、でも楽でいいでしょ?」
彼女の言うとおり、口を動かさなくて済むのは楽だ。が、それでも気持ち悪さの方が若干勝る。
「わかったよ」とつまらなさそうな表情だがそれでも彼女が納得してくれたことに安堵した。
「それで……どういう事なんです?」
そう訊ねたわけだが、彼女は「うーん……なんでだろう?」と自慢の推理を語ろうとしない。
人の心まで読みかねないほどの推理力を持ち合わせておいて、自分自身に向けられた羨望の眼差しを理解できないことなどありえないと思うからこそ、僕は彼女がそのことを話したくないのだと察することが出来た。
「わかりました。言いたくないなら大丈夫です。たぶん関係ない話ですしね」
「うん。私の過去なんて聞いたところで未来に何の影響も与えないしね! たぶん面白い話でもないし……『答えを知りたくないことは質問するな』ってことだね」
「……そうですね」
どこで名言を仕入れているのだろう? まさか僕の頭の中にある情報を引き出すことは出来ないだろうし、心を読めたとしても僕はその名言を心に思い浮かべていたわけではない。
気になるところではあるが、なんだか恐ろしすぎて答えを知りたくない。
「大丈夫! だからもっと面白い話をしてあげるよ!」
「何が大丈夫なんですか……面白い話?」
「うん。魔力コントロールについて」
それはありがたい。彼女もようやく本題に入ってくれる気になったようだ。
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