転生したら、犬だったらよかったのに……9割は人間でした。

真白 悟

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10 伝説の魔法

140 伝説の魔法15

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「ともかく、ケン君は第二段階を突破したんだよ!」

 話題をそらそうとしているのか、あわてたようにそんなことをケントニスが唐突に言い始める。
 しかしそれを手放しで喜ぶことは僕には出来ない。

「そう言われても自覚がないので喜んでいいものか分かりませんが……」

 というか、いくらなんでも唐突すぎる。昨日の段階でそれを言われたのなら喜ぶことが出来たかもしれないが、今日はほとんど何もしていない。ただ精神的に辛いな……と思いながら昨日のおさらいをしていただけだ。
 言ってしまえば何の達成感もない。

「喜ぼうと喜ぶまいと突破したんだよ!」

 勢いで何かを誤魔化そうとしている。
 何を隠しているのかは分からないし、それほど気にもならないが、あからさま過ぎてちょっとだけからかいたくなる。が、もちろん彼女相手にそんなことを出来るはずもない。

「なるほど……」

 納得はしてなくても納得しているポーズは必要だ。
 今彼女と意見の対立をしてもしょうがないし、時間を無駄にするだけだろう。

「という事で、いよいよ最終段階だよ!」

 ケントニスは僕に対して拍手する。
 しかし、その言葉を聞いてさらに僕は喜びから程遠い感情を抱くことになる。
 第一段階と第二段階、その段階が上がると訓練の辛さも増した。おそらく第三段階に当たる最終段階はもっと苦しいものとなるだろう。

「今からですか?」
「もちろん! まだまだ時間はあるからね」

 それを聞いてますます精神的に痛めつけられる。
 だけどそれも当たり前だ。時間は有限で、彼女が僕に訓練をつけてくれるのだって今だけであり、永遠と言うわけではない。時間を有効に使って訓練するというのは当然だ。大事なことなので二回言った。
 それに内心、それほど嫌なことでもない。

 最終段階――すなわち伝説の魔法とやらを習得する段階に入ったという事なのだから。

 ケントニスは僕に準備運動をするように言う。
 僕はそれに従っていわゆる動的ストレッチを行う。
 正直なところ、今から何が起きるのかということがほんの少しだけ理解できた。

「組手ですか……」

 第二段階に入る以前は何度も繰り返された組手だったが、今思えば一定の魔力を吸い取られ続けるよりかははるかにましだった気がしなくもない。
 しかしだ。今はその魔力を吸収しやすい服を着ながらの組手となる。体力的にも精神的にもつらいものとなるだろう。だがそれも伝説の魔法のためだと考えればそれほど苦じゃなくなった。
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