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11 魔法の言葉
149 魔法使い
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「言葉の魔法っていうのは、簡単に言えば魔法らしい魔法のことよ。ケン君の言った通り、言葉は魔法に力を与える。でもそれだけじゃないわ」
ケントニスはそう言って右腕をまっすぐに肩と同じぐらいの高さまで上げた。
一体何をしようというのだろうか。まるで今にもファンタジーによくありがちな魔法の発動が始まりそうだ。しかし、それはありえない。ケントニス自身が最初に魔法らしい魔法の存在を否定している。
それなのに、ケントニスは「よく見ててね」と手の先に魔力を集め始めた。
魔力というものは目に見えるものじゃないけど、あまりにも濃密に集まりすぎているせいだからか、僅かにだが何かケントニスの右手の周りがわずかに歪んで見えた。
「吹き飛んで!」
ケントニスからほんの一瞬だけ感情の昂りを感じた。喜びでも悲しみでもなく、強い怒りの感情だ。その強い怒りが魔力を大量に放出させて、彼女の言葉通り少し離れたところにあった大木の一部を全く手を振れることすらなく吹き飛ばした。体の一部を失った大木は、あたりに響き渡るほど軋み、そして勢いよく倒れた。
通常ありえないことだ。人体から放出された魔力がどれほど濃密なものだったしても、それが大木を破壊することなんて到底できるはずがない。魔力には質量なんてないんだから。
「ど、ど、どういうことです!?」
魔法のことを教えてもらえば教えてもらう程に、ケントニスの魔法が常識の外にあるように感じる。魔法らしい魔法がないなんて言いながら、彼女が使うのはどれも魔法らしい魔法だ。
「魔法に願いを込めたのよ」
さも当然のようにケントニスはそう言うが、僕には全く理解できない。願いを込めた? いや、一体どういう意味なんだ。
「言霊なんてレベルじゃないと思うんですけど……」
「言霊って言うのは例えの話だもの。あなたにもわかりやすいように『言葉の魔法』を言い換えただけ」
「つまり、言葉の魔法ってなんなんですか?」
「言ったでしょ、魔法に願いを込めるって」
おそらく、わかりやすく説明してくれているつもりなのだろうが全く説明になっていない。
魔法に願いを込めるってどういうことだろう。星に願いを込めるみたいな意味なんだろうか。
「わかりやすく言うと、魔力の操作。言葉の力で体外でも魔力を自由自在に操るという事よ」
体の外で魔力を自由自在に操る。それが出来たところで、今さっきケントニスが起こした奇跡のような出来事が出来るとは到底思えない。そもそも、魔力というものが他のものに対してどのような作用をもたらすのか、それが全く分からない。
「魔力は生命力の様なもので、体内にある間は集中してある部位に集めることで、その部位を強化するってことは分かります。ですが、それが体外に出たあと、たとえば僕の杖に魔力を込めて強化するってことは……イマイチピンとはきませんが理解できますが、それよりさらに外側に出た後のことは想像できませんね」
「魔力は生命力という考え方はそれほど間違っていないわ。でも、ことはそう単純ではないのよ」
「と言いますと?」
「魔力はこの世界にめぐるすべてのモノが必要とするエネルギーとか、物質を構成する重要な要素の一部よ。魔力なくして世界は存在しえないし、生命が生まれることもあり得ないわ。魔力ってのはそれほど重要なものなの」
またなんだか大きな話になってきた。
魔力が世界を構成する重要なモノだとするなら、それを扱える魔法使いはこの国でもっと重要な職業になるはずだ。それなのに、現在は冷遇されている。そこが腑に落ちない。
「それほど重要なモノなのに、どうして資料が少ないんですか?」
「簡単な肉体強化ならそうでもないけど、魔法を使うには才能が必要なのよ。才能は妬みを生み、そして差別を生む」
遠い目をしたケントニスを見て、何となく察した。
犬種が劣等種として差別されることと同じように、優れた才能を持つ魔法使いもまた差別されてきたという事だ。
ケントニスは咳払いして、話題をもとに戻す。
「とにかく、魔力は世界にとって重要なもので、それを扱う事の出来る魔法使いは非常に少ない。ケン君はそんな少ない魔法使いになり得るという事よ」
それは大変だ。
ただでさえ犬種という事で差別されているのに、優秀な魔法使いになってしまったらどうなってしまうのだろう。
ケントニスはそう言って右腕をまっすぐに肩と同じぐらいの高さまで上げた。
一体何をしようというのだろうか。まるで今にもファンタジーによくありがちな魔法の発動が始まりそうだ。しかし、それはありえない。ケントニス自身が最初に魔法らしい魔法の存在を否定している。
それなのに、ケントニスは「よく見ててね」と手の先に魔力を集め始めた。
魔力というものは目に見えるものじゃないけど、あまりにも濃密に集まりすぎているせいだからか、僅かにだが何かケントニスの右手の周りがわずかに歪んで見えた。
「吹き飛んで!」
ケントニスからほんの一瞬だけ感情の昂りを感じた。喜びでも悲しみでもなく、強い怒りの感情だ。その強い怒りが魔力を大量に放出させて、彼女の言葉通り少し離れたところにあった大木の一部を全く手を振れることすらなく吹き飛ばした。体の一部を失った大木は、あたりに響き渡るほど軋み、そして勢いよく倒れた。
通常ありえないことだ。人体から放出された魔力がどれほど濃密なものだったしても、それが大木を破壊することなんて到底できるはずがない。魔力には質量なんてないんだから。
「ど、ど、どういうことです!?」
魔法のことを教えてもらえば教えてもらう程に、ケントニスの魔法が常識の外にあるように感じる。魔法らしい魔法がないなんて言いながら、彼女が使うのはどれも魔法らしい魔法だ。
「魔法に願いを込めたのよ」
さも当然のようにケントニスはそう言うが、僕には全く理解できない。願いを込めた? いや、一体どういう意味なんだ。
「言霊なんてレベルじゃないと思うんですけど……」
「言霊って言うのは例えの話だもの。あなたにもわかりやすいように『言葉の魔法』を言い換えただけ」
「つまり、言葉の魔法ってなんなんですか?」
「言ったでしょ、魔法に願いを込めるって」
おそらく、わかりやすく説明してくれているつもりなのだろうが全く説明になっていない。
魔法に願いを込めるってどういうことだろう。星に願いを込めるみたいな意味なんだろうか。
「わかりやすく言うと、魔力の操作。言葉の力で体外でも魔力を自由自在に操るという事よ」
体の外で魔力を自由自在に操る。それが出来たところで、今さっきケントニスが起こした奇跡のような出来事が出来るとは到底思えない。そもそも、魔力というものが他のものに対してどのような作用をもたらすのか、それが全く分からない。
「魔力は生命力の様なもので、体内にある間は集中してある部位に集めることで、その部位を強化するってことは分かります。ですが、それが体外に出たあと、たとえば僕の杖に魔力を込めて強化するってことは……イマイチピンとはきませんが理解できますが、それよりさらに外側に出た後のことは想像できませんね」
「魔力は生命力という考え方はそれほど間違っていないわ。でも、ことはそう単純ではないのよ」
「と言いますと?」
「魔力はこの世界にめぐるすべてのモノが必要とするエネルギーとか、物質を構成する重要な要素の一部よ。魔力なくして世界は存在しえないし、生命が生まれることもあり得ないわ。魔力ってのはそれほど重要なものなの」
またなんだか大きな話になってきた。
魔力が世界を構成する重要なモノだとするなら、それを扱える魔法使いはこの国でもっと重要な職業になるはずだ。それなのに、現在は冷遇されている。そこが腑に落ちない。
「それほど重要なモノなのに、どうして資料が少ないんですか?」
「簡単な肉体強化ならそうでもないけど、魔法を使うには才能が必要なのよ。才能は妬みを生み、そして差別を生む」
遠い目をしたケントニスを見て、何となく察した。
犬種が劣等種として差別されることと同じように、優れた才能を持つ魔法使いもまた差別されてきたという事だ。
ケントニスは咳払いして、話題をもとに戻す。
「とにかく、魔力は世界にとって重要なもので、それを扱う事の出来る魔法使いは非常に少ない。ケン君はそんな少ない魔法使いになり得るという事よ」
それは大変だ。
ただでさえ犬種という事で差別されているのに、優秀な魔法使いになってしまったらどうなってしまうのだろう。
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