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11 魔法の言葉
160 反省
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「そのくらいにしてやれ……二ス」
いつの間にかやって来たイチゴが、僕の上に乗っかるケントニスの首根っこつかんで引き上げる。
「イザベラさん。私を持ち上げるのはやめてもらえますか……」
ずっと尊敬の念を持って接していたイチゴに対して、ほんの少しだけ棘のある口調でケントニスはそう言った。
たぶん、よっぽど体格のことがコンプレックスなのだろう。まあ、僕よりも年上で、メリーよりも小さなあの体じゃコンプレックスを感じるのも無理はない。
僕よりも年上だっていうのが嘘なんじゃないかといまだに僕は思ってるぐらいだし。
「悪い。だが、ニスが悪い……こうなることは分かってて、ギリギリまで止めなかったんだろう?」
「まあ、そうですけど。一度は自分の限界を知っておかないと、死ぬ可能性だってありますし、最悪はもっとひどいことになります」
「人はお前ほど自分の限界を見極められないわけじゃない。その言い方じゃ忘れたわけじゃないんだろ、あの時のことを?」
「……忘れてませんよ。でも、万が一のことがあります。万が一にも死ななないために……教えるのがへたくそな私が出来るかぎり、ケン君に後悔しない方法を教えなくちゃならないんです」
たぶん、僕が気絶してしまったことについて話しているんだろう。
魔力の暴走が死をもたらすって話は事前に何度も聞いていた。だからそれはケントニスの責任ではなく、暴走させてしまった僕の責任だ。監督責任が彼女にあると言われればそれ以上、僕が言えることはないが、これはやっぱり僕の責任なんだ。
「集中を解いた僕が悪いんです……」
二人の喧嘩に割って入るのはほんの少しだけ怖かったけど、僕は恐怖心を抑えて割って入る。
イチゴは大きなため息を吐く。
「ケンも悪い……が、ニスの方が悪い。私は……こうならないように、ケントニスにケンを鍛えてほしかった。これの果てが『アレ』なんだ」
「イザベラさんの心配もよくわかっています。暴走を止めるために私を呼んだんだってことも……でも人っていうのは自分がやるまでその過ちを理解できない存在なんです。その先に何があるのかを歴史から学んでも、自分だけは違うと奢る生き物なんです! ケン君はそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない……それはある程度先読み出来る私にもわかりません!」
焦っているのか、出会ってから初めてケントニスが感情をむき出しにしているのを僕は見た。
「わかっている。だけど、その結果も誰にもわからないという事も理解しろ! ケントニス。お前の思惑が必ずしもうまくいくわけじゃないってことをな! なんて、まあ、私はニスを信頼している。私が知る中で最も優秀な獣人だからな」
恥ずかしげもなくそう言い放つイチゴに対して、ケントニスは恥ずかしそうに頬を染めて「獣人か……」とつぶやく。
なんだか映画のワンシーンみたいで格好いい会話だと僕は思ったけど、あまりにも僕が蚊帳の外だったのと、いまだにケントニスがイチゴに掴まれっぱなしなのですべて台無しだった。
「二重の意味で私を持ち上げるのはやめてもらえますか?」
その一言で、ようやくケントニスは地に足をつけた。いろんな意味で。
いつの間にかやって来たイチゴが、僕の上に乗っかるケントニスの首根っこつかんで引き上げる。
「イザベラさん。私を持ち上げるのはやめてもらえますか……」
ずっと尊敬の念を持って接していたイチゴに対して、ほんの少しだけ棘のある口調でケントニスはそう言った。
たぶん、よっぽど体格のことがコンプレックスなのだろう。まあ、僕よりも年上で、メリーよりも小さなあの体じゃコンプレックスを感じるのも無理はない。
僕よりも年上だっていうのが嘘なんじゃないかといまだに僕は思ってるぐらいだし。
「悪い。だが、ニスが悪い……こうなることは分かってて、ギリギリまで止めなかったんだろう?」
「まあ、そうですけど。一度は自分の限界を知っておかないと、死ぬ可能性だってありますし、最悪はもっとひどいことになります」
「人はお前ほど自分の限界を見極められないわけじゃない。その言い方じゃ忘れたわけじゃないんだろ、あの時のことを?」
「……忘れてませんよ。でも、万が一のことがあります。万が一にも死ななないために……教えるのがへたくそな私が出来るかぎり、ケン君に後悔しない方法を教えなくちゃならないんです」
たぶん、僕が気絶してしまったことについて話しているんだろう。
魔力の暴走が死をもたらすって話は事前に何度も聞いていた。だからそれはケントニスの責任ではなく、暴走させてしまった僕の責任だ。監督責任が彼女にあると言われればそれ以上、僕が言えることはないが、これはやっぱり僕の責任なんだ。
「集中を解いた僕が悪いんです……」
二人の喧嘩に割って入るのはほんの少しだけ怖かったけど、僕は恐怖心を抑えて割って入る。
イチゴは大きなため息を吐く。
「ケンも悪い……が、ニスの方が悪い。私は……こうならないように、ケントニスにケンを鍛えてほしかった。これの果てが『アレ』なんだ」
「イザベラさんの心配もよくわかっています。暴走を止めるために私を呼んだんだってことも……でも人っていうのは自分がやるまでその過ちを理解できない存在なんです。その先に何があるのかを歴史から学んでも、自分だけは違うと奢る生き物なんです! ケン君はそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない……それはある程度先読み出来る私にもわかりません!」
焦っているのか、出会ってから初めてケントニスが感情をむき出しにしているのを僕は見た。
「わかっている。だけど、その結果も誰にもわからないという事も理解しろ! ケントニス。お前の思惑が必ずしもうまくいくわけじゃないってことをな! なんて、まあ、私はニスを信頼している。私が知る中で最も優秀な獣人だからな」
恥ずかしげもなくそう言い放つイチゴに対して、ケントニスは恥ずかしそうに頬を染めて「獣人か……」とつぶやく。
なんだか映画のワンシーンみたいで格好いい会話だと僕は思ったけど、あまりにも僕が蚊帳の外だったのと、いまだにケントニスがイチゴに掴まれっぱなしなのですべて台無しだった。
「二重の意味で私を持ち上げるのはやめてもらえますか?」
その一言で、ようやくケントニスは地に足をつけた。いろんな意味で。
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