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11 魔法の言葉

166 コントロール

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「ケン君、いい顔になったね!」

 これまでに見たことがないような歓喜の表情を浮かべたケントニスが、誇らしげな声で言う。
 そう言われて気が付いたが、先ほどまでの疲労はどこかに吹き飛んでしまった。たぶん魔力がそれなりに回復したおかげだろう。

「ありがとうございます!」

 本当にケントニスには魔法だけじゃなくて、いろんなことを教えてもらって感謝してもしきれない。

「仕事だからね。でもやっぱり、今のところはこの魔法は一日一回しか使わない方がよさそうだね! もっと体内での魔力のコントロールを磨かないと、無駄に魔力を消費しすぎているからね!」
「努力はしているんですが……」
「こればっかりは覚悟だけでどうにかなるものじゃないから……仕方ないよ!」

 仕方ないとは言ってくれるが、ケントニスの顔つきは少しだけ硬い。
 僕の魔力コントロールが思っていた以上に粗雑なのだろう。神に与えられた恩恵と、伝説の魔法使いによる教え……その両方を駆使してもこんなものなんだから、もっと努力をしなくちゃいけないんだろう。一つ一つ課題はクリアしているが、まだまだ道のりは長そうだ。

「あとどれぐらいかかるんだろう……」

 出来れは早めに言葉の魔法を習得したいが、いまだに基礎が出来る程度のレベルにとどまっている。
 魔力の放出による課題はクリアできたとはいっても、一日一度しか使えないなら銃を使った方がはるかにいい気もしなくもない。

「怒りとか、喜びとか、愛とか……プラスの感情で魔力をある程度増幅・回復することは出来るけど、ケン君の放出する魔力量には全然届かないからね。こればっかりはしっかり休息をとって回復させるしかないよ!」

 急がばまわれという事だろう。全く持ってその通りだ。焦って何かをしてもいいことなんて一度もなかった。時間があるうちは準備して万全の態勢で戦いに挑まなくちゃいけない。
 気がかりなことがあるとするなら、貯蓄のことだ。パーティメンバーであるアニー・グレイをいつまでも待たせるわけにはいかない。

「今の僕が戻ったところでそれほど役に立たないか……」

 アニーは待ってくれると言っているし、彼女に迷惑をかけたくないと思うのなら、時間をかけてでも実力をつけて足手まといにならないようにするべきだ。
 余計なことは考えずにゆっくりと確実に実力をつけて行かなくちゃ。そのためには――

「――うん。集中力を高めて、魔力のコントロールをもっと繊細に出来るようになることだね!」

 ケントニスの言うとおりだ。
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