先生と僕

真白 悟

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言葉の効力

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「好きとか嫌いだとか、そんなの本人以外わからないだろう?」
 思いは言葉にしなければ伝わらない。
 言葉にしないということは、まだそれだけ強い思いでもないというのが、僕の持論だ。

「本当の思いは、口に出来ないんです! 口に出せば安っぽくなりますからね」

 彩錦あかねは、少し怒っているようでもある。
 きっと、仲の良い姉を思ってのことだろう。
 まてよ、彼女のいうことが正しいのなら、僕がいつも口にしていた先生への思いは、安っぽく見られていたのか?
 まさか、そんなはずがあるわけない。

「そ、そんなことないだろう……僕は、好きと言われれば嬉しいし、嫌いと言われれば傷つくよ」
「そんなだから先輩は、ロリコンなんですよ」
「僕はロリコンじゃない」
 今の話とロリコンになんの関係があるのだろう。
 僕の疑問を説くように、彩錦あかねが話を続ける。
「どうです? もうロリコンと言われても、それほど怒りを感じなかったでしょう?」
 自信満々気に言う彼女だが、そもそも勘違いをしているようだ。
 僕は『ロリコン』と呼ばれることをそれほど、気にしていない。事実として違うのだから、気にする必要すらないからだ。しかし――

「まあ、そうだね。最初の頃よりずっとどうでもよくなったかもしれない」
 言われなれたのか、最初に言われた時の衝撃はなくなった。
 
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