先生と僕

６

ドミノ

　先生から、どこに行くかを伝えられないまま、もう15分は歩いている。
　茫然自失な梓あずさと、眠そうな彩錦あかね、それにイラついている僕と側から見るとヤバい集団に見えるかもしれない。
　このまま、合宿なんてして、うまく行くのだろうか……
　というか、車とか使わないのだろうか？

「着いたわよ」

　先生が急に歩みを止めた。
　考えごとをしていた僕は先生にぶつかり止まる。
　僕の後ろを歩いていた彩錦あかねは、それに気がつかず僕にぶつかる。
　またまた、その後ろを歩いていた梓あずさは足がもつれて、彩錦あかねに勢いよくぶつかった。
　そのままドミノ倒しだ。

「って、えぇ！」
　先生が大声を上げる
　一番前を歩いていた先生はなんとか、僕が倒れるのを避け、地面に衝突するのを回避した。

　つまるところ、一番前となった僕は地面に顔面から衝突した。
――顔が痛い。だけど、背中は柔らかく暖かいなにかが、保護してくれたらしく、それほど痛くない。彩錦あかねの体が僕に密着していたからだ。
　全く、これじゃあ、悪いことが起きたのか、いいことが起きたのかわからない。
　いずれにせよ、どうせこの後の展開はろくなものにならないことだけはわかっている。