85 / 369
6
するべきこと3
しおりを挟む
「普通に無理でしょ……」
梓は、一度勉強を始めると、僕がどれだけ声をかけても返事すらしないほどに集中力が高い。
以前、勉強している彼女の前で大音量で音楽をかけてみたり、暴れまわってみたり、肩を叩いてみたりしたが、どれも無意味だった。
「どうして? 集中力が凄いってことは、他のことに対する集中力が低いってことよ」
先生は不思議そうにそう言った。
たしかに、考え方としてはそうかもしれない。だが、それは屁理屈ってもんだ。
「それを集中力を操れるなら苦労しませんよ……」
僕は先生の考え方には納得出来ない。
「マルチタスク(複数のことを同時に出来る)な人は最初からそうだったわけじゃないわ。そうなれるように努力したからそうなれた」
言われてみればそうかもしれない。
だけど結局、一朝一夕に出来る事ではないだろう。
それが簡単なら誰も苦労しない。
「あたし、やってみます!」
決意をあらわにした梓が、大きな声で言った。
「やるって、お姉ちゃん。何をするかもわからないうちから……」
彩錦は呆れた目を梓に向けた。
先生がまともなことを考えてくれていればいいが、いつも通り投げやりかもしれないのだから、彩錦の反応も納得出来る。
「それで、なにをするつもりなんです?」
誰も聞かないようだから、僕が聞いてみる。
先生は梓の方をみて、自信満々に言い放つ。
「集中力を分散させるトレーニングよ!」
先生のキラキラと輝く笑顔をみたら、だから、その内容を聞いているんだ。とは、口が裂けても言えなかった。
梓は、一度勉強を始めると、僕がどれだけ声をかけても返事すらしないほどに集中力が高い。
以前、勉強している彼女の前で大音量で音楽をかけてみたり、暴れまわってみたり、肩を叩いてみたりしたが、どれも無意味だった。
「どうして? 集中力が凄いってことは、他のことに対する集中力が低いってことよ」
先生は不思議そうにそう言った。
たしかに、考え方としてはそうかもしれない。だが、それは屁理屈ってもんだ。
「それを集中力を操れるなら苦労しませんよ……」
僕は先生の考え方には納得出来ない。
「マルチタスク(複数のことを同時に出来る)な人は最初からそうだったわけじゃないわ。そうなれるように努力したからそうなれた」
言われてみればそうかもしれない。
だけど結局、一朝一夕に出来る事ではないだろう。
それが簡単なら誰も苦労しない。
「あたし、やってみます!」
決意をあらわにした梓が、大きな声で言った。
「やるって、お姉ちゃん。何をするかもわからないうちから……」
彩錦は呆れた目を梓に向けた。
先生がまともなことを考えてくれていればいいが、いつも通り投げやりかもしれないのだから、彩錦の反応も納得出来る。
「それで、なにをするつもりなんです?」
誰も聞かないようだから、僕が聞いてみる。
先生は梓の方をみて、自信満々に言い放つ。
「集中力を分散させるトレーニングよ!」
先生のキラキラと輝く笑顔をみたら、だから、その内容を聞いているんだ。とは、口が裂けても言えなかった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる