先生と僕

真白 悟

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 次にあずさが入って、その次に僕が入るらしい。
 普通に考えて、女性の次にお風呂に入るなんて思春期男子からしてみればご褒美だ。
 だけど僕はとても複雑な気分だ。

「いやいや、普通に無理でしょ?」
 他人が入った風呂なんて汚らわしくて入れない……なんて意味じゃない。
 普通に、女性が入った後なんて、恐れ多くて入れない。

「私たちがいいって言ってるんだから、いいじゃない」

 髪の毛を乾かしてすっきりした先生は、牛乳を飲みながらひたすらに、僕にお風呂を勧める。
 僕は一応毎日お風呂は欠かさないし、エチケットにも気を使っているつもりだ。――だからこそ、お風呂に入らないという選択肢自体はない。
「銭湯とか行ってきますよ……」
 それが僕ができる最大の譲歩だ。

「それはいい案ですね……ぜひ行きましょう!」
 なぜだか、彩錦あかねが僕の意見に乗っかってくる。
 君はさっきお風呂に入ったじゃないか……どんだけ風呂好きなんだと、僕はそう言いたい。

「なるほど、そういうのもあるのか!」
 先生までもが、同意する。
 いや、あんたに至っては、ほんの数分前までお風呂に入って、髪だってまだ濡れたままじゃないか……なんて突っ込みたくなる。
で温泉いいですね」
 あずさはとても楽しそうにしている。
 あずさは、まだお風呂に入ってないけど。
「僕は男だからでは無理だし……あと温泉じゃないから、銭湯だから!」
 今度は言葉に出して突っ込んでみた。
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