先生と僕

真白 悟

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「この私に任せなさいっ!」
 先生はいつもに比べて、やけに協力的だ。
 僕が倒れたことをまだ気にしているのだろうか……だとするなら、毎日面会に来てほしいものだ。
 なんて、先生も忙しいし、そんなわがままを言うつもりもない。

「先生、ありがとうございますっ!」
 ベットに腰を掛けながら僕は先生に深く頭を下げた。本当に、ありがたい。
 まあ、それでも課題が全部終わるとは到底思えないけど。
「それで、あとどの教科がどれぐらいの残っているの?」
 当たり前の質問だろう、僕が先生だとしても同じ質問をする。だけどその質問にはあまり答えたくない。
 僕は先生の方から目をそらす。
 それを怪しんだ先生は、僕の目を覗き込むためににじり寄る。僕にとって、不幸中の幸いは相手が僕の大好きな先生だということだ。教頭とかだったら、罰ゲームをしてる最中に新しい罰ゲームが発動したぐらいに嫌だった。

「……ちなみに、どれぐらい終わったの?」
 内容が変わったように見せかけてはいるものの、実際には全く同じ質問だ。
「100枚ぐらいですかね……?」
 終わった課題プリントをぱらぱらとめくり、僕はそう呟く。
 先生はというと、かなり絶望的な顔をしていた。
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