先生と僕

真白 悟

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熱暴走

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「――やれば出来るじゃない!」
 先生は嬉しそうにはしゃいでいる。
 僕は今、人間としての限界を大きく超えた。天元突破ってやつだ。まさか、1時間で20枚もプリントが終わるなんて、思ってもみなかったことだ。

「やりましたよ。先生!」
 ちなみにこのやり取りは二度目だし、光明が見えてきたのも二度目だ。
 しかし、闇というやつは簡単にすべての光を包み込むものだ。僕は此度も闇に屈することは決してあってはないと強く感じている。
 世界を覆い尽くす闇……堕落を導く闇、それに打ち勝つことこそが、僕に与えられた天命だ。

「先生……僕は闇に屈しません……」
「いや、何の話?」
 僕の言葉が理解できなかったようで、先生は首をかしげている。
 ふっふっふ、僕の崇高な目的を理解できないとは、先生もまた愚かな下民どもの1人というわけだ。って僕は一体何を考えているんだ。頭が痛すぎて思考がめちゃくちゃだ。

「大丈夫? 顔が真っ赤だよ?」
 先生は心配そうな顔をして、僕の額に額を重ねる。
 その瞬間世界が壊れた。僕の世界にはびこる闇はすべて消え、世界は光で覆われている。まるで天国にでも着てしまったように、明るくて温かい。そして頭が爆発しそうだ。
「あちゃ~……熱があるわ」
 最後に聞こえてきたのはそんな言葉だった。
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