先生と僕

真白 悟

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父親

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「まあ、まあ、2人とも……子供の前でそんな夢のない話をすることはないじゃないか。天才はいるよ、きっとどこか私たちの知らないどこか遠いところに」
 理事長は私達をたしなめているつもりなのだろうが、一番夢のない言い方をしていることに気がついていない。

「天才は他社から認められて初めて天才になる。何も私は天才なんて存在しないと言っているわけじゃないわ。現に後輩君のことは本気で天才だと思っているもの。それに比べて……あなたは、天才に会ったことがないような口ぶりだったけれど、もしかして自分より優れた人に会ったことがないなんて言いたいのかしら?」
 他愛のない理事長の言葉に対して、先輩は突っかかる。
 だがそれは僕から見ても揚げ足取りだとしか言いようがない。僕と先輩の暗い雰囲気を取り除いてくれた理事長には感謝している。だから少しだけ可哀想だと思った。

「お父さんは凡人だからね。天才に会ってもそれに気がつけないだけでしょ?」
 今度は娘が父親に対して生意気な口を利く。
 結婚をしておらず、ましてや子供などいない私には到底理解できないことではあるが……父親というのも存外大変らしい。
 
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