先生と僕

真白 悟

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たった一つの方法

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「廃部って……廃部って、そんなのないでしょう!?」
 僕が丸一年以上守り続けてきた大切な居場所だ。新入部員も入って、これからって時に廃部になるなんて理不尽だ。といっても、別に今までと違った活動をするつもりなんてなかったけど。

「私も頑張ったけど、無理だったのよ」
 先生は少しだけ悔しそうな顔をしている。
 なんだ、先生も僕たちの……いや僕のために色々と頑張ってくれたのか。僕のために。なるほど、だったら別にいいや……ってそんな風になるわけがないだろう。
 恋愛部は僕の唯一の居場所だ。正確に言うならば、学校内における僕の唯一の居場所だった。それが失われてしまうとなれば、僕は一体どこで先生と密会すればいいんだ。職員室か? 職員室なのか? いやここは他の先生の目もある。密会とは言えないだろう。

「どうにかならないんですか?」
 ダメだ。そもそも、恋愛部がなくなってしまったら、僕と先生の接点がゼロになる。そうなれば僕の計画は全て無意味になってしまう事だろう。どうにかしなくちゃ。
「まあ、そこまで言うなら一つだけ方法があるけど」
 先生は難しい顔をしながら、右手の人差し指を立てる。
 その動作に思わず僕は見とれてしまいそうになるが、今はそんな場合じゃない。
「それは……なんですか?」
「学校の規定通り部員を5人そろえることよ」
 先生の提案は単純明快だった。
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