先生と僕

真白 悟

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真の目的

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 しかし、リーダーの申し出は僕には到底受け入れられないものだ。
「ありがとう……でもこれは僕の問題だし、もっと言うなら僕と先生の問題だ。先生は僕に『恋愛部』がもう必要ないと言った。その言葉の意味は……おそらく僕の成長にある」

 僕の成長……すなわち、仲間を作ることが出来るようになったという事だ。先生にとって、僕はもうすでに人から誤解されるような問題児ではなくなったという事であり、それが先生が部活を廃部させた原因でもある。それゆえにもう一度、恋愛部を作ったとしても先生はそこには一切かかわらないだろう。
 だからこそ、リーダーの提案は僕の本来の目的とはかけ離れたものになる。

「なるほど……目的は恋愛部ではないということか。だけど、それでもいいさ、僕に協力できることがあるならなんでも相談してほしい。これでも一応は君の『仲間』だからね」

 いとも簡単に申し出を断れたというのに、それでもリーダーは快く僕を受け入れてくれた。
 僕にとって、これほどまでに温かい迎え入れは初めてだった。だからだろうか、心というものがほんの少しだけ熱を帯びるのを感じる。

「ありがとう。リーダー……でもこれは僕の問題だ。それでも、ほかに何か問題が起きたら相談するよ」

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