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都合のいい奴
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「いいやつどまりって言われても困るんだが……それじゃあダメなのか?」
友達っていいやつのことじゃないのか? だって普通嫌な奴と友達にはなりたくないだろう。
「ダメに決まっているじゃないですか!! 私の言っているいいやつっての言うのは、わかりやすく言えば都合のいい奴ってことですよ?」
それがさも問題であるような顔をして彩錦はそう答えた。
だが僕は全く納得できない。
「都合が悪いよりかはいい方がいいんじゃないのか?」
「確かに……いや、違いますよ。いや、確かに悪いよりかはいいかもしれないですけど……都合がいい奴って言うのは、言ってしまえば道具のように扱われている奴のことですよ……」
なるほど、そう言われれば『都合のいい奴』っていうのはよくない気がしてきた。だが僕は一度たりとも、他人のことをそんな風に考えたことはない。
「いや、僕は梓をそんなふうに思っていないぞ」
「私も恋次さんのことをそんな風に思ってませんよ」
僕が彩錦の言葉を否定すると同じタイミングで梓も否定した。
よかった。僕が気がついていないだけで、彼女に道具のように思われているんじゃないかとほんの少しだけ不安だった。そうじゃないと知れてよかった。
「……いや、今はそうかもしれないですけど、今の状況に慣れてしまったら結果的にそうなり得るって話ですよ! だからこそ、お互いに自分の気持ちをきちんと伝える必要があるってこと!」
彩錦は疲れた表情で出来る限り声を張りつめてそう言った。
友達っていいやつのことじゃないのか? だって普通嫌な奴と友達にはなりたくないだろう。
「ダメに決まっているじゃないですか!! 私の言っているいいやつっての言うのは、わかりやすく言えば都合のいい奴ってことですよ?」
それがさも問題であるような顔をして彩錦はそう答えた。
だが僕は全く納得できない。
「都合が悪いよりかはいい方がいいんじゃないのか?」
「確かに……いや、違いますよ。いや、確かに悪いよりかはいいかもしれないですけど……都合がいい奴って言うのは、言ってしまえば道具のように扱われている奴のことですよ……」
なるほど、そう言われれば『都合のいい奴』っていうのはよくない気がしてきた。だが僕は一度たりとも、他人のことをそんな風に考えたことはない。
「いや、僕は梓をそんなふうに思っていないぞ」
「私も恋次さんのことをそんな風に思ってませんよ」
僕が彩錦の言葉を否定すると同じタイミングで梓も否定した。
よかった。僕が気がついていないだけで、彼女に道具のように思われているんじゃないかとほんの少しだけ不安だった。そうじゃないと知れてよかった。
「……いや、今はそうかもしれないですけど、今の状況に慣れてしまったら結果的にそうなり得るって話ですよ! だからこそ、お互いに自分の気持ちをきちんと伝える必要があるってこと!」
彩錦は疲れた表情で出来る限り声を張りつめてそう言った。
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