先生と僕

真白 悟

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認知させる変態

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「先輩のどこに魅力が……?」
 彩錦あかねがそんなことをつぶやく。
 感性なんて人それぞれだし、僕のようないいところがあるのかないのかわからないような人物を好きになるような人だっておかしくはない。でも、それにしてもおかしい。僕のファンクラブなんて普通の感性の持ち主なら作ろうとすら思わないはずだ。

恋次れんじさまは魅力の塊ですよ!」
 彩錦の言葉を聞き逃さなかった中性的な彼は、かなり杭気味に言う。

 僕の聞き間違いだろうか……魅力の塊? どれだけ贔屓目に自己評価しても、魅力が固まる程にあるとは思えない。人間違いでもしているんじゃないだろうか。
 しかし、そこまでおだてられれば嬉しくなるのが人間だ。僕は生唾を飲んで尋ねる。

「例えば?」
「例えることなんて出来ませんよ! 強いて言うならすべてが魅力的です」

 褒められている僕が言うのもなんだが、もしかして、この子は頭のネジが外れているんじゃないだろうか? それとも、噂以外の僕を知っていて、そんな僕を好きでいてくれるとでも言うのだろうか。
 一応確認してみよう。

「一番魅力的なところを一つ挙げるとするなら?」
「難しい質問ですね……でもあえて挙げるなら、ほぼすべての生徒に変態だと認知させていることですね」
「僕は認知させてない!」

 みんなが勝手にそう思い込んでいるだけで、僕は変態じゃない。
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