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嘘と本当
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「――本当に申し訳ない!」
僕は軽い頭を深々と下げる。
全てを告白した。自分の犯したミスと、見当違いな作戦についてだ。
「いないと思ってたって……あの男がですか!?」
呆れた表情がこれほど似合う人はいないだろうってぐらいに、綾錦は呆れた表情をしている。
それに比べ、梓は意外にも表情を変えることなく僕の話を聞き続けた。
「僕の計画では、僕の悪い噂を流す悪いやつがいるっていう噂を流して、徐々に僕の悪い噂を流す生徒を少なくしていくはずだった。噂を流す『もと』がいなければ、誰も傷つくことはないし……」
今考えればかなりずさんな計画ではあるが、あまりにも余裕がなさ過ぎた僕にとっては完璧な計画であるかのように思えた。しかし――
「彼が現れたからには、『嘘』は『嘘』ではなくなった……そう言う事ですね?」
静かな口調で梓がつぶやく。
彼女の言うとおりだ。僕が嘘だと思っていたことは真実で、そうなると僕が真実を口にしたら傷つける相手が存在するという事だ。
つまりは、彼が噂を流すのをやめたとしても、今まで流れた噂が消えるまで時間がかかるということでもある。
僕は軽い頭を深々と下げる。
全てを告白した。自分の犯したミスと、見当違いな作戦についてだ。
「いないと思ってたって……あの男がですか!?」
呆れた表情がこれほど似合う人はいないだろうってぐらいに、綾錦は呆れた表情をしている。
それに比べ、梓は意外にも表情を変えることなく僕の話を聞き続けた。
「僕の計画では、僕の悪い噂を流す悪いやつがいるっていう噂を流して、徐々に僕の悪い噂を流す生徒を少なくしていくはずだった。噂を流す『もと』がいなければ、誰も傷つくことはないし……」
今考えればかなりずさんな計画ではあるが、あまりにも余裕がなさ過ぎた僕にとっては完璧な計画であるかのように思えた。しかし――
「彼が現れたからには、『嘘』は『嘘』ではなくなった……そう言う事ですね?」
静かな口調で梓がつぶやく。
彼女の言うとおりだ。僕が嘘だと思っていたことは真実で、そうなると僕が真実を口にしたら傷つける相手が存在するという事だ。
つまりは、彼が噂を流すのをやめたとしても、今まで流れた噂が消えるまで時間がかかるということでもある。
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