先生と僕

真白 悟

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七五日

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「学校の規則にもある通り、部活を創部するには5人の部員、顧問の教師が必要です」

 僕は今更ながらの確認をとる。
 まあそこまでではないだろうが、万が一そのことに気がついていない場合のために一応だ。

「それは流石にわかってる」

恋次れんじが当たり前だろうと言う。

「それは流石ですね」

 皮肉を込める。
 部活を作る上で当たり前のことなのだから、知っていて当たり前である。それなのに先輩の無知さ加減が心配になる程なのだからやはりさすがと言わざるを得ない。

「なんかトゲのある言い方だな」と恋次が不満げに言う。
 だがトゲを持たせているのだからそう感じてもらわなくては困る。

「顧問の先生には目星がついているんですよね?」
「目星というより、その先生じゃなきゃ意味がない」

 恋次はこれまた不満げに、そして子供じみた表情をする。
 もちろん僕はこの部の取り巻く状況ぐらいは把握している。そうじゃなきゃ、こんなトンデモない部を復活させることなどは出来まい。だからこそ皮肉でもなんでも確認しておきたかった。

「でも部員の方は全く見つからないと?」
 そんな僕の問いかけに、恋次は歯切れ悪く「……そうだ」と答える。

 たった一人の部員すら見つけられないほどにこの部は印象が悪いらしい。
 悪い噂が流れなくなると言っても、人の噂も七十五日だ。すぐに噂がなくなるわけじゃない。
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