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その他
自由と不自由
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長い人生の中で、人々はいつもルールというものに縛られている。
誰にとっても、ルールというものは大切で守るべきだ。なんてことをいう人間はたくさんいる。
僕だってそれを信じて生きてきた。これからも、そうだと思っていた。
――人は不自由の中に自由を感じる。
つまり、制限を設けられることによって、選択しやすくなるということだ。
これを『ジャムの法則』という。
まあ、どうでもいいことだが、選択肢が増えれば増えるほど選択出来なくなり、不自由になるのが現実だ。
「縛られることによって自由を得る……皮肉ですね」
「人っていうのは、不自由なことに自由を見出すからね」
僕は研究室で一学年上の先輩と話していた。
人類文化学部経済人類学科、それがこのゼミの専攻だ。
長い人生の中で、学ぶ人間がほぼいない学問だろうと、ゼミの先生は言っていたし、僕もそう思う。
ともかく、それほど人気のない学問だ。
「はぁ、じゃあ先輩も、不自由な選択肢の中でこのゼミを選んだんですか?」
「馬鹿にするなよ……あの先生はあんなでも、人類学の権威だぞ?」
先輩の口癖だ。
彼は先生のことをかなり尊敬しているらしい。
だからだろう、僕の口からはため息が溢れるばかりだ。
「……それは何度も聞きました。それでも、人気は全然ないですよね?」
「多数派か少数派……どちらがいいかはわかるだろう?」
「僕なら多い方を選びますけどね」
なんて言っても、選べてないんだけど。
「でもここを選んだんだろう?」
「大学のルールに則るしかないですからね」
「つまるところ、自由に選んだってことだ。ルールがなけりゃ、選択出来なかったわけだからな」
屁理屈だけはすごい人だ。
何でもかんでも、理屈で片付くと思っている。
たしかに、選択肢が多ければ選べない人もいるだろう……だけど、僕にとっては、選択肢は一つだった。
選びたいものがあるのに選べない。
――それは不自由だ。
「例えば、欲しいジャムが決まっているのに、それがなければ買えませんよね?」
「まあな……だけどそれも不自由のなかにある自由だろ?」
考え方の違いというやつだろう。
僕のにはまるでわからない訳でもないが、納得はまるで出来ない。
ルールが自由をもたらすというのであれば、僕はもっと自由を感じているはずだ。
結局、感じ方は人によって様々というわけだ。
「僕が欲しい『ジャム』はこれじゃないんだよな……」
「世界なんてそんなもんさ……欲しくもない『ジャム』の中から選ぶしかないんだよ。ルールの中で妥協する事、それがこの世界を生き抜くルールさ」
かなり、ポジティブな考え方だが、僕は先輩みたいに楽天家じゃない。
世界のルールがいかようであれ、僕にとっては邪魔なだけだ。
「……やっぱり、納得できませんね」
「それでいいんだよ。納得することに意味なんてない。妥協と納得は違うからな……でも、お前がもし本当にこのゼミに居たくないというなら、ルールの中でいかほどにも行動すればいい」
「いえ、納得はしてなくても理解はしてますよ」
「あーあ、嫌だね。大人になるってことは……少数派が、多数派によるしかないってことか……」
先輩は大きな欠伸をしながら、部屋の窓を開けた。
まだまだ暑さが残る中で、心地よい風が吹き込んだ。
結局、問答すれど、ルールによって縛られた自由の中で生きることが幸せらしい。
誰にとっても、ルールというものは大切で守るべきだ。なんてことをいう人間はたくさんいる。
僕だってそれを信じて生きてきた。これからも、そうだと思っていた。
――人は不自由の中に自由を感じる。
つまり、制限を設けられることによって、選択しやすくなるということだ。
これを『ジャムの法則』という。
まあ、どうでもいいことだが、選択肢が増えれば増えるほど選択出来なくなり、不自由になるのが現実だ。
「縛られることによって自由を得る……皮肉ですね」
「人っていうのは、不自由なことに自由を見出すからね」
僕は研究室で一学年上の先輩と話していた。
人類文化学部経済人類学科、それがこのゼミの専攻だ。
長い人生の中で、学ぶ人間がほぼいない学問だろうと、ゼミの先生は言っていたし、僕もそう思う。
ともかく、それほど人気のない学問だ。
「はぁ、じゃあ先輩も、不自由な選択肢の中でこのゼミを選んだんですか?」
「馬鹿にするなよ……あの先生はあんなでも、人類学の権威だぞ?」
先輩の口癖だ。
彼は先生のことをかなり尊敬しているらしい。
だからだろう、僕の口からはため息が溢れるばかりだ。
「……それは何度も聞きました。それでも、人気は全然ないですよね?」
「多数派か少数派……どちらがいいかはわかるだろう?」
「僕なら多い方を選びますけどね」
なんて言っても、選べてないんだけど。
「でもここを選んだんだろう?」
「大学のルールに則るしかないですからね」
「つまるところ、自由に選んだってことだ。ルールがなけりゃ、選択出来なかったわけだからな」
屁理屈だけはすごい人だ。
何でもかんでも、理屈で片付くと思っている。
たしかに、選択肢が多ければ選べない人もいるだろう……だけど、僕にとっては、選択肢は一つだった。
選びたいものがあるのに選べない。
――それは不自由だ。
「例えば、欲しいジャムが決まっているのに、それがなければ買えませんよね?」
「まあな……だけどそれも不自由のなかにある自由だろ?」
考え方の違いというやつだろう。
僕のにはまるでわからない訳でもないが、納得はまるで出来ない。
ルールが自由をもたらすというのであれば、僕はもっと自由を感じているはずだ。
結局、感じ方は人によって様々というわけだ。
「僕が欲しい『ジャム』はこれじゃないんだよな……」
「世界なんてそんなもんさ……欲しくもない『ジャム』の中から選ぶしかないんだよ。ルールの中で妥協する事、それがこの世界を生き抜くルールさ」
かなり、ポジティブな考え方だが、僕は先輩みたいに楽天家じゃない。
世界のルールがいかようであれ、僕にとっては邪魔なだけだ。
「……やっぱり、納得できませんね」
「それでいいんだよ。納得することに意味なんてない。妥協と納得は違うからな……でも、お前がもし本当にこのゼミに居たくないというなら、ルールの中でいかほどにも行動すればいい」
「いえ、納得はしてなくても理解はしてますよ」
「あーあ、嫌だね。大人になるってことは……少数派が、多数派によるしかないってことか……」
先輩は大きな欠伸をしながら、部屋の窓を開けた。
まだまだ暑さが残る中で、心地よい風が吹き込んだ。
結局、問答すれど、ルールによって縛られた自由の中で生きることが幸せらしい。
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