65 / 86
終章 魔の終末
9.謎
しおりを挟む
なんとかアリサの記憶を元に、レヴィアとアリサがさらわれた地点である王都の中央通りへとやってきた。ここまでの道のりには、悪魔の配下であろう小悪魔や魔物があまりおらず、比較的時間をかけずやってきたが、その通りは被害が他よりもひどく小悪魔らしい人物が多い。
しかし不思議なことに、小悪魔たちはルシフにもアリサにも見向きもしない。それどころか一般人を保護しているようにも見える。
ルシフたちがそのことを疑問に思うまでに対して時間はかからなかった。
「これは……一体?」
アリサがしきりに首をかしげ、つぶやいた。ルシフだってその光景には同じことをつぶやきたい気持ちがいっぱいだったが、それよりも気になることがある。
「お前たちはこんな人通りが多いところで捕まったのか?」
中央通り沿いの家や店舗が倒壊してるとはいえ、これほどまでに人が多いところで悪魔が出たとなれば、すぐに増援が駆けつけるだろう。しかし、そうならなかったとするなら何か異変があったのかもしれないとルシフは考えた。
だがいくら彼があたりを見渡せど、王国騎士団直属の騎士達は愚か、国の兵士一人すらそこにはいないことにすぐに気がつく。
「まあ見ての通り、人がさらわれようが殺されようが、気にかけている暇なんてなかったんだおろうね……。特に僕たちは聖者だ。自意識過剰ってわけじゃないけど、僕達が勝てない相手となるとかなりの人数を割くことになるだろうね」
なんてことをこぼしながらも、彼女は道端に倒れている女性の介抱を手伝う。彼女は自分達にそれほど猶予がないとわかっていても、自分の責任で巻き込まれた人たちをそのままには出来なかった。
ルシフだってそれを見て呆然としているほど愚かではない。内心面倒くさいとは思ってはいたものの、アリサが見ていた被害者の女性を安全な位置まで移動させる。
「すまないが俺たちに出来るはこれぐらいだ……ここには医者もいるだろう。しばらくはここでじっとしているといい」
アリサもルシフと同じで回復魔法など使えない。だから女性に特別なことなど何もできなかった。
「ごめんね……ごめんね……」
女性は動かない体でも、なんとかニッコリ笑って「ありがとうございます聖者様……」と呟いた。
その後も死体に祈りを捧げるなど、少しの時間を費やしつつも悪魔の情報を探った。レヴィアに近づくためには、まずここに現れた悪魔のことを聞くのが一番だと二人は考えたのだ。
だがそう簡単に有益な情報が出るはずもなく、時間は残酷にも過ぎていった。
「残念だがここにいてもレヴィアがどこに行ったのか分かりそうにもないぞ?」
しびれを切らしルシフはこぼした。そんなことはアリサもわかっていた。
「うん。でもどうするの?」
「いやまず騎士団本部にいくとか……」
ルシフはそこまで言って、魂の聖者のことを思い出す。
(もしあいつに仲間がいたとするなら、騎士団の内部にもいる可能性があるな……それに、ここでの聞き取りでなんの情報もえられなかったのもなんだか変だ。それにどうして一番被害が多そうなここにも、俺達が歩いて来た道の中でも騎士団関係者がいなかったことが気になるな)
突然だまりこんだルシフに対して、アリサは不安そうに問いかける。
「どうしたの?」
そんなアリサを見て、情報を共有するべきかしないべきか悩んだルシフだが、仲間と言ったからには共有しないわけにもいかず、魂の聖者について話す。
「実は――」
衝撃の事実を知らされた少女は、地べたにしゃがみ込み頭を抱える。
「まさかじいさんが悪魔側につくなんて……! 信じられない」
ルシフにとっては伝説上の悪魔としてのメフィストでしかなく、アリサがその男にそこまで信頼を置いていた理由が分からない。
「信じられないだろうが、現実だ。だがどうしてメフィストがダンダリオンと組んだんだ?」
「ううん、あのじいさんなら悪魔と組むこと自体はありえるよ。国を良くするためならどんな手段でも使うだろうし……ただ、ダンダリオンのような粗暴者と組むとは思えないんだ」
粗暴者という言葉がダンダリオンに当てはまるとは思えないルシフだが、彼が国を良くするために動いているとも思えなかった。
「あいつはなんのために……」
ルシフは考える。ダンダリオンが一体何を考えてこのようなことを行っているのだろう……それにメフィストも街を破壊する男と一緒にいる理由も分からない。
「そんなに唸ってても仕方ないよ。とにかくルシフさんが言ったとおり、騎士団本部にいくしか無いんじゃないかな?」
彼女はそう言うと、騎士団本部の方が国あるき出そうとした。ルシフはそれを慌てて止める。
「ちょっと待て……! 今話しただろう!?」
ルシフの問に首をかしげるアリサ。
「何が?」
「だから……いやいい。こうなったら誰が敵だろうが関係ないしな」
彼女があまりにも純粋だったため、ルシフはそれ以上止めることはせず、成り行きに任せることにした。
「どういうこと?」
そんな風に全く状況を理解していない彼女をよそに、ルシフは彼女を追い越してあるきだす。
「こっちの話だ」
しかし不思議なことに、小悪魔たちはルシフにもアリサにも見向きもしない。それどころか一般人を保護しているようにも見える。
ルシフたちがそのことを疑問に思うまでに対して時間はかからなかった。
「これは……一体?」
アリサがしきりに首をかしげ、つぶやいた。ルシフだってその光景には同じことをつぶやきたい気持ちがいっぱいだったが、それよりも気になることがある。
「お前たちはこんな人通りが多いところで捕まったのか?」
中央通り沿いの家や店舗が倒壊してるとはいえ、これほどまでに人が多いところで悪魔が出たとなれば、すぐに増援が駆けつけるだろう。しかし、そうならなかったとするなら何か異変があったのかもしれないとルシフは考えた。
だがいくら彼があたりを見渡せど、王国騎士団直属の騎士達は愚か、国の兵士一人すらそこにはいないことにすぐに気がつく。
「まあ見ての通り、人がさらわれようが殺されようが、気にかけている暇なんてなかったんだおろうね……。特に僕たちは聖者だ。自意識過剰ってわけじゃないけど、僕達が勝てない相手となるとかなりの人数を割くことになるだろうね」
なんてことをこぼしながらも、彼女は道端に倒れている女性の介抱を手伝う。彼女は自分達にそれほど猶予がないとわかっていても、自分の責任で巻き込まれた人たちをそのままには出来なかった。
ルシフだってそれを見て呆然としているほど愚かではない。内心面倒くさいとは思ってはいたものの、アリサが見ていた被害者の女性を安全な位置まで移動させる。
「すまないが俺たちに出来るはこれぐらいだ……ここには医者もいるだろう。しばらくはここでじっとしているといい」
アリサもルシフと同じで回復魔法など使えない。だから女性に特別なことなど何もできなかった。
「ごめんね……ごめんね……」
女性は動かない体でも、なんとかニッコリ笑って「ありがとうございます聖者様……」と呟いた。
その後も死体に祈りを捧げるなど、少しの時間を費やしつつも悪魔の情報を探った。レヴィアに近づくためには、まずここに現れた悪魔のことを聞くのが一番だと二人は考えたのだ。
だがそう簡単に有益な情報が出るはずもなく、時間は残酷にも過ぎていった。
「残念だがここにいてもレヴィアがどこに行ったのか分かりそうにもないぞ?」
しびれを切らしルシフはこぼした。そんなことはアリサもわかっていた。
「うん。でもどうするの?」
「いやまず騎士団本部にいくとか……」
ルシフはそこまで言って、魂の聖者のことを思い出す。
(もしあいつに仲間がいたとするなら、騎士団の内部にもいる可能性があるな……それに、ここでの聞き取りでなんの情報もえられなかったのもなんだか変だ。それにどうして一番被害が多そうなここにも、俺達が歩いて来た道の中でも騎士団関係者がいなかったことが気になるな)
突然だまりこんだルシフに対して、アリサは不安そうに問いかける。
「どうしたの?」
そんなアリサを見て、情報を共有するべきかしないべきか悩んだルシフだが、仲間と言ったからには共有しないわけにもいかず、魂の聖者について話す。
「実は――」
衝撃の事実を知らされた少女は、地べたにしゃがみ込み頭を抱える。
「まさかじいさんが悪魔側につくなんて……! 信じられない」
ルシフにとっては伝説上の悪魔としてのメフィストでしかなく、アリサがその男にそこまで信頼を置いていた理由が分からない。
「信じられないだろうが、現実だ。だがどうしてメフィストがダンダリオンと組んだんだ?」
「ううん、あのじいさんなら悪魔と組むこと自体はありえるよ。国を良くするためならどんな手段でも使うだろうし……ただ、ダンダリオンのような粗暴者と組むとは思えないんだ」
粗暴者という言葉がダンダリオンに当てはまるとは思えないルシフだが、彼が国を良くするために動いているとも思えなかった。
「あいつはなんのために……」
ルシフは考える。ダンダリオンが一体何を考えてこのようなことを行っているのだろう……それにメフィストも街を破壊する男と一緒にいる理由も分からない。
「そんなに唸ってても仕方ないよ。とにかくルシフさんが言ったとおり、騎士団本部にいくしか無いんじゃないかな?」
彼女はそう言うと、騎士団本部の方が国あるき出そうとした。ルシフはそれを慌てて止める。
「ちょっと待て……! 今話しただろう!?」
ルシフの問に首をかしげるアリサ。
「何が?」
「だから……いやいい。こうなったら誰が敵だろうが関係ないしな」
彼女があまりにも純粋だったため、ルシフはそれ以上止めることはせず、成り行きに任せることにした。
「どういうこと?」
そんな風に全く状況を理解していない彼女をよそに、ルシフは彼女を追い越してあるきだす。
「こっちの話だ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる