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終章 魔の終末
13.国王
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「君たちがいくら考えようとわかるまい。悪魔とはそういうものなんだ……永劫回帰なんてことはそれを正当化するための理由にすぎない。永劫回帰するから仕方がないなんてことを考えるための免罪符なんだよ」
背後からの突然の声に二人はゆっくりと振り向いた。そこにいたのは、厳格な顔つきで高貴なる衣類をまとった老齢の男だった。その立ち姿にアリサが突然跪く。
「国王陛下!」
ルシフは王国民でありながら国王を見たことがなかったが、それでもアリサが言うまでもなくその男が国王であると察することが出来るほど、威厳に満ちていた。だからといって国王に対してなんら興味が有るわけでもなく、アリサのように跪くことはしない。
国王も傲慢になって怒るべきところであったが、ルシフの無行動にはなんの反応も示さず、アリサに対して頭をあげるように言った。
「もはや国と呼べるものはない。儂がもう少ししっかりしていればこんな事には……悪魔と言っても人間、愛すべき我が国の国民だと甘い考えを持っておった……その結果がこれというのであれば、儂は責任を取って王の座を降りるべきだろう」
何を思ったのか国王は聖者とはいえど、ただの一国民に対して心の中を明かす。それがあまりにも突然だったため二人は唖然とする。特に国王を崇拝していたアリサは国王のその言葉に、自分の意見を述べる。
「陛下に落ち度はありません! 私達が陛下のお考えに随行できるほどの力を持ち合わせていなかっただけです……」
ルシフは二人のやり取りに無性に腹がたった。特に国王に至ってはぶん殴ってしまいたかった。責任を取る前にやることは沢山あるはずだのに、どうして人々を導いていくこともせずに逃げようとするのか――逃げてどうなるというのだ。
どこにもやれない拳をルシフは強く握りしめた。
「人がたくさん死んだ……これは悪魔と人間の戦争だから……だがな、悪魔も俺も同じ獣の刻印を持つものだ。違いがあるとするのなら犯罪を犯したかどうか、奴らは犯罪者なんだ」
王は苦悩の表情を浮かべ、ルシフの苦言を聞いてうなだれた。
「そうだ。儂はただ耳障りのいい言葉を吐いて、恐ろしい悪魔という人間から逃げてきた。そのつけが国民に回ったのだ。なら儂には王の資格などないだろう?」
ルシフは王の言葉に憤りを感じた。
(王に資格などないだろう……王とは人に選ばれたものだ! 自分で自分の価値など決めることは出来ないし、なりたいと思ってなることなどそうそう出来ない。反対だってそうだ、そう簡単にやめることなど許されるはずもない!)
「人が死のうが死ぬまいが、人に支持されているのなら続けるしか無いだろう!! 王とはそういうものじゃないのか!?」
ルシフが王に突っかかる。ルシフにとっては支持する王ではないが、アリサの様子を見るに非常に慕われているのだろう。そんな国民の期待を裏切ろうとする国王が許せなかったのだ。
だが国王にも意思はある。支持されていようが、恐ろしいものは恐ろしいし、責任を引きずったままのうのうと王を続けていくだけのメンタルを持ち合わせていない。王都は言えど、前王の息子であったがために支持を受け王を引き継いだだけの男だ。
ルシフもそんなことは知っていたし、アリサはそうであったとしても王を支持している。それがかえって王の負担だった。王は力なく地面に手をつき、アリサがそれをルシフからかばう。
「ルシフさんもうやめて……僕だって王にはやめてほしくないけど、王にばかり負担を掛けたくない。これは王国騎士団の聖者である僕の責任でもある」
それは違う――そういいたかったルシフだが、それを否定することは出来ない。自分自身だってもっと早く王都を訪れていれば今と状況が違ったかもしれない。ルシフはただ王へ八つ当たりしているだけで、本当に国を憂いて発言しているわけではなかった。この世に完璧な人間など存在しないし、王もそんな平凡な人間の一人に変わりはないのだ。
「悪い……つい感情的になった」
「いや、儂も弱気になってしまった。今もなお国民は苦しんでいるというのに、責任のがれをしている場合じゃない。それに面白いものも聞かせてもらったしな……」
王は先程までの弱気な姿をすて、不敵な笑みを浮かべる。それが帰って不気味に思えたルシフだが、さっきのこともあるため自分の心の中に抑えることにした。
「それよりも、他の聖者の場所はわからないのか?」
ルシフは国王に対してもタメ口を通す。国王もそれを咎めるようなことはしない。
「ジゼルは城の中で悪魔と戦っている。レヴィアは分からないが、もう一人のことはよく覚えている。あいつが裏切らなければここまで酷いものにはならなかったからな……悪魔であるあいつを聖者としてあつかった儂の責任だ」
あいつとはおそらくメフィストのことだろう。だがメフィストにとって王を裏切るメリットなど一ミリたりともルシフには理解できなかった。これからずっと王国騎士団で働いたほうが彼のためになっただろう。そこに関しては陰謀すら感じるルシフだった。
「ここで考えたって仕方ないよ。ルシフさんそれよりも早く団長に会いに行くべきだと思う……レヴィア様のことも心配だし……」
アリサの声にルシフは現実に引き戻された。そうしてアリサに「ああ」と返事をして王の元を離れ、城の中へと入っていくのだった。
背後からの突然の声に二人はゆっくりと振り向いた。そこにいたのは、厳格な顔つきで高貴なる衣類をまとった老齢の男だった。その立ち姿にアリサが突然跪く。
「国王陛下!」
ルシフは王国民でありながら国王を見たことがなかったが、それでもアリサが言うまでもなくその男が国王であると察することが出来るほど、威厳に満ちていた。だからといって国王に対してなんら興味が有るわけでもなく、アリサのように跪くことはしない。
国王も傲慢になって怒るべきところであったが、ルシフの無行動にはなんの反応も示さず、アリサに対して頭をあげるように言った。
「もはや国と呼べるものはない。儂がもう少ししっかりしていればこんな事には……悪魔と言っても人間、愛すべき我が国の国民だと甘い考えを持っておった……その結果がこれというのであれば、儂は責任を取って王の座を降りるべきだろう」
何を思ったのか国王は聖者とはいえど、ただの一国民に対して心の中を明かす。それがあまりにも突然だったため二人は唖然とする。特に国王を崇拝していたアリサは国王のその言葉に、自分の意見を述べる。
「陛下に落ち度はありません! 私達が陛下のお考えに随行できるほどの力を持ち合わせていなかっただけです……」
ルシフは二人のやり取りに無性に腹がたった。特に国王に至ってはぶん殴ってしまいたかった。責任を取る前にやることは沢山あるはずだのに、どうして人々を導いていくこともせずに逃げようとするのか――逃げてどうなるというのだ。
どこにもやれない拳をルシフは強く握りしめた。
「人がたくさん死んだ……これは悪魔と人間の戦争だから……だがな、悪魔も俺も同じ獣の刻印を持つものだ。違いがあるとするのなら犯罪を犯したかどうか、奴らは犯罪者なんだ」
王は苦悩の表情を浮かべ、ルシフの苦言を聞いてうなだれた。
「そうだ。儂はただ耳障りのいい言葉を吐いて、恐ろしい悪魔という人間から逃げてきた。そのつけが国民に回ったのだ。なら儂には王の資格などないだろう?」
ルシフは王の言葉に憤りを感じた。
(王に資格などないだろう……王とは人に選ばれたものだ! 自分で自分の価値など決めることは出来ないし、なりたいと思ってなることなどそうそう出来ない。反対だってそうだ、そう簡単にやめることなど許されるはずもない!)
「人が死のうが死ぬまいが、人に支持されているのなら続けるしか無いだろう!! 王とはそういうものじゃないのか!?」
ルシフが王に突っかかる。ルシフにとっては支持する王ではないが、アリサの様子を見るに非常に慕われているのだろう。そんな国民の期待を裏切ろうとする国王が許せなかったのだ。
だが国王にも意思はある。支持されていようが、恐ろしいものは恐ろしいし、責任を引きずったままのうのうと王を続けていくだけのメンタルを持ち合わせていない。王都は言えど、前王の息子であったがために支持を受け王を引き継いだだけの男だ。
ルシフもそんなことは知っていたし、アリサはそうであったとしても王を支持している。それがかえって王の負担だった。王は力なく地面に手をつき、アリサがそれをルシフからかばう。
「ルシフさんもうやめて……僕だって王にはやめてほしくないけど、王にばかり負担を掛けたくない。これは王国騎士団の聖者である僕の責任でもある」
それは違う――そういいたかったルシフだが、それを否定することは出来ない。自分自身だってもっと早く王都を訪れていれば今と状況が違ったかもしれない。ルシフはただ王へ八つ当たりしているだけで、本当に国を憂いて発言しているわけではなかった。この世に完璧な人間など存在しないし、王もそんな平凡な人間の一人に変わりはないのだ。
「悪い……つい感情的になった」
「いや、儂も弱気になってしまった。今もなお国民は苦しんでいるというのに、責任のがれをしている場合じゃない。それに面白いものも聞かせてもらったしな……」
王は先程までの弱気な姿をすて、不敵な笑みを浮かべる。それが帰って不気味に思えたルシフだが、さっきのこともあるため自分の心の中に抑えることにした。
「それよりも、他の聖者の場所はわからないのか?」
ルシフは国王に対してもタメ口を通す。国王もそれを咎めるようなことはしない。
「ジゼルは城の中で悪魔と戦っている。レヴィアは分からないが、もう一人のことはよく覚えている。あいつが裏切らなければここまで酷いものにはならなかったからな……悪魔であるあいつを聖者としてあつかった儂の責任だ」
あいつとはおそらくメフィストのことだろう。だがメフィストにとって王を裏切るメリットなど一ミリたりともルシフには理解できなかった。これからずっと王国騎士団で働いたほうが彼のためになっただろう。そこに関しては陰謀すら感じるルシフだった。
「ここで考えたって仕方ないよ。ルシフさんそれよりも早く団長に会いに行くべきだと思う……レヴィア様のことも心配だし……」
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