76 / 86
終章 魔の終末
20.おしゃべり
しおりを挟む
もし、ダンダリオンがルシフと同じように未来を読む魔法が使えたとしたら、ルシフよりもはるかに彼は有効活用出来ただろう。ルシフはそれをとても気にしていた。
だがそれは、あっさりと本人の口から否定された。もちろん、ルシフも人の心を読む魔法が使えるわけでない為、ダンダリオンが嘘をついているかどうかなんてことはまるでわからない。
しかし、圧倒的優位に立つ悪魔がたかだか未来を見ることができるだけの凡人に嘘をつく必要が毛ほどもないというのが現実と言わざるおえない。
「……じゃあどうして?」
見当はずれな推測をさらけ出したルシフは、恥ずかしげもなくそう尋ねた。その表情からは不安は感じられないが、彼は内心穏やかではない。
相手とする悪魔は、ルシフよりも遥かに強く、遥かに知識を持つなんともチートじみた存在であり、本当はなんのために行動しているか理解出来ない存在だ。
だからこそ、ルシフにはその悪魔の情報がそのまま武器となり、勝機となり得る。
「だから何度も言っているだろう? ただ単に僕が人間の断りを外れるぐらい強いってだけ。だけどそれは僕だけじゃないだろう? そこで倒れてる幼女だって、バケモノじみた身体能力だ。それに、そっちの彼女に至っては僕よりも遥かに魔法が強いし、そっちの彼は統率力に関して言うなら世界一だろう。もし、彼らが満身創痍じゃなければ僕は負けていたかもしれない」
ダンダリオンは先程あっさりと倒してしまった3人を褒め称え、くつくつと笑った。その様子がルシフには、3人を嘲笑うようにしか見えない。
だが、ダンダリオンは決して馬鹿にしているわけではない。彼自身が負けているところを想像して、自身を侮蔑しただけだが、ルシフにはそれがわからなかった。
だからこそ、ルシフ更に昂ぶることとなる。
「ふざけるなよ。俺はそいつらと比べると全てにおいておとるだろう? そんなことはわかっているし、かえってそいつらが誇らしくおもえた。いや、誇りだった。きっとそいつらは俺にできない事をやってくれるなんて、どこか他人事のように考えていたし実際そうなるはずだった。だが違う、違ったんだ……俺とそいつらには何ら変わりはない、みんな何か一つ得意なことがあるだけだった」
ルシフの話をダンダリオンが遮る。
「なら、君にも何か特出したことがあるってことか? いいや、それは違う。それは傲慢だ。ルシフェル、君の名の通り傲慢だな……確かに君には僕からみても特出したものがある。だが自分でみつけちゃいけない」
ルシフにとって、誰によって才能がみつけられようと関係なかった。たとえ、自分で見つけた才能であっても。
「俺は傲慢だ。いや人間は傲慢なんだ。だからこそ、仕事もサボるし、すぐ怒るし、全て人任せに出来る。才能だって自分で見つけるし、その才能が勘違いだったとしても自分のものに出来る」
「いいや、才能に勘違いなんてないんだ。才能とはあると思う心なんだから」
「どういうことだ?」
ルシフはダンダリオンに問いかける。
「才能なんてものはこの世にないのだよ。幻想だ。魔法の才能、走る才能、人を束ねる才能、武の才能全て状況によって変化する。どれだけすごい魔法が使えようが、理解できる人間がいなければ意味はないし、歌なんて人によってどう感じるかなんて千差万別だろう?」
ダンダリオンの言っていることは明らかに屁理屈だ。魔法を理解出来るものが、いようがいまいが、すごい魔法を使える才能があるし、歌をうまいと思う人が1人でもいるのならそれは才能だとルシフは思った。――だが、ダンダリオンの言葉には説得力があるような気がして、ルシフは反論できない。
「特に自分で見出した才能なんて、本当に才能と言えるのか? わからないだろう? つまり、才能なんて他人に認められる以外では存在しないし、本当はそんなもの存在しない。もし剣が全く相手に当たらない人間がいたとしよう、そいつは今の世界では確実に剣の才能のない人間というレッテルを貼られるだろう。だが、狙って一度も剣を当てることが出来ないなど、どれだけ修行してできるだろうか? 僕には無理だね。それはそれですごいことだろう? だが誰もそれを才能とは言わない。それはなぜだ? それではなんの物事も達成しないからだ。だがなぜそう言い切れる?」
「そんなもん、役に立たないからだろう? 俺がいくら毎日狙わずに仕事に遅刻し続けても、それはなんの役にも立たないだろう?」
「いいや、どれだけ真剣にやっても当たらない剣は八尾長の天才になれるし、毎日狙わずに遅刻できるお前はすべてのものの反面教師になれるだろう?」
どう考えても屁理屈だ。ルシフはいつの間にか相手のペースに乗せられていることにようやく気がついて、話を無理やり引き戻す。
「そんなことはどうでもいいんだ! ならお前は俺に一つも才能がないというのか?」
ルシフの問いにダンダリオンは先程と変わらぬ様子で答える。
「そんなやつを英雄として選ぶわけないだろう? お前は英雄に、次の世界の指導者としてふさわしいと考えたから僕たちは君を選んだ。だが、その才能は君には教えられない」
君が僕を倒すことは決定事項だしね……と呟いて、ダンダリオンは口を閉じた。
「一体どういうことなんだ!?」
ルシフが問うても、彼は口を閉じたままだ。
ついには、何も答えずに剣を抜く、今までの雄弁さとはまるで人格が変わったかのように意思だけで押し通す獣の如くルシフを睨みつける。
「本当はもっと問答してやりたかったが、時間切れだ。お前は重要な情報を引き出せず、次へ行かねばならない」
ダンダリオンはそれだけ言うと目を閉じる。
「次!?」
ルシフは意味がわからずそう叫ぶ、もちろん返答はない。あるのは以前会った時のプレッシャーに似たものだけだ。
強いプレッシャーとともに、ルシフの目の前からダンダリオンが消える。もちろん本当に消えたわけではなく、速すぎる動きにルシフの目がついて行かないだけだ。
なんとか、発動していたルシフの未来予知によって、彼の首筋めがけてへばりついていた剣は剥がされたが、2撃目はかわすのが精一杯で髪の毛に剣がかする。
「くっ……!」
ルシフがうめき声をあげている隙にも、ダンダリオンの3撃目が迫る。無理に交わした代償か、ルシフは体制が崩れて未来は読めど避けることはほぼほぼ不可能、自分の首を剣が通り抜ける未来すら見てしまった。
(俺を勝たせるんじゃなかったのか……?)
ルシフは残された時間で、ダンダリオンが言った言葉を思い出し、その言葉の真意について考えようとしたが、ダンダリオンの剣が振り切られるまでに、それは叶わなかった。
最後にかろうじてダンダリオンが何かを呟く声が聞こえた。『これで9回目……』と。
だがそれは、あっさりと本人の口から否定された。もちろん、ルシフも人の心を読む魔法が使えるわけでない為、ダンダリオンが嘘をついているかどうかなんてことはまるでわからない。
しかし、圧倒的優位に立つ悪魔がたかだか未来を見ることができるだけの凡人に嘘をつく必要が毛ほどもないというのが現実と言わざるおえない。
「……じゃあどうして?」
見当はずれな推測をさらけ出したルシフは、恥ずかしげもなくそう尋ねた。その表情からは不安は感じられないが、彼は内心穏やかではない。
相手とする悪魔は、ルシフよりも遥かに強く、遥かに知識を持つなんともチートじみた存在であり、本当はなんのために行動しているか理解出来ない存在だ。
だからこそ、ルシフにはその悪魔の情報がそのまま武器となり、勝機となり得る。
「だから何度も言っているだろう? ただ単に僕が人間の断りを外れるぐらい強いってだけ。だけどそれは僕だけじゃないだろう? そこで倒れてる幼女だって、バケモノじみた身体能力だ。それに、そっちの彼女に至っては僕よりも遥かに魔法が強いし、そっちの彼は統率力に関して言うなら世界一だろう。もし、彼らが満身創痍じゃなければ僕は負けていたかもしれない」
ダンダリオンは先程あっさりと倒してしまった3人を褒め称え、くつくつと笑った。その様子がルシフには、3人を嘲笑うようにしか見えない。
だが、ダンダリオンは決して馬鹿にしているわけではない。彼自身が負けているところを想像して、自身を侮蔑しただけだが、ルシフにはそれがわからなかった。
だからこそ、ルシフ更に昂ぶることとなる。
「ふざけるなよ。俺はそいつらと比べると全てにおいておとるだろう? そんなことはわかっているし、かえってそいつらが誇らしくおもえた。いや、誇りだった。きっとそいつらは俺にできない事をやってくれるなんて、どこか他人事のように考えていたし実際そうなるはずだった。だが違う、違ったんだ……俺とそいつらには何ら変わりはない、みんな何か一つ得意なことがあるだけだった」
ルシフの話をダンダリオンが遮る。
「なら、君にも何か特出したことがあるってことか? いいや、それは違う。それは傲慢だ。ルシフェル、君の名の通り傲慢だな……確かに君には僕からみても特出したものがある。だが自分でみつけちゃいけない」
ルシフにとって、誰によって才能がみつけられようと関係なかった。たとえ、自分で見つけた才能であっても。
「俺は傲慢だ。いや人間は傲慢なんだ。だからこそ、仕事もサボるし、すぐ怒るし、全て人任せに出来る。才能だって自分で見つけるし、その才能が勘違いだったとしても自分のものに出来る」
「いいや、才能に勘違いなんてないんだ。才能とはあると思う心なんだから」
「どういうことだ?」
ルシフはダンダリオンに問いかける。
「才能なんてものはこの世にないのだよ。幻想だ。魔法の才能、走る才能、人を束ねる才能、武の才能全て状況によって変化する。どれだけすごい魔法が使えようが、理解できる人間がいなければ意味はないし、歌なんて人によってどう感じるかなんて千差万別だろう?」
ダンダリオンの言っていることは明らかに屁理屈だ。魔法を理解出来るものが、いようがいまいが、すごい魔法を使える才能があるし、歌をうまいと思う人が1人でもいるのならそれは才能だとルシフは思った。――だが、ダンダリオンの言葉には説得力があるような気がして、ルシフは反論できない。
「特に自分で見出した才能なんて、本当に才能と言えるのか? わからないだろう? つまり、才能なんて他人に認められる以外では存在しないし、本当はそんなもの存在しない。もし剣が全く相手に当たらない人間がいたとしよう、そいつは今の世界では確実に剣の才能のない人間というレッテルを貼られるだろう。だが、狙って一度も剣を当てることが出来ないなど、どれだけ修行してできるだろうか? 僕には無理だね。それはそれですごいことだろう? だが誰もそれを才能とは言わない。それはなぜだ? それではなんの物事も達成しないからだ。だがなぜそう言い切れる?」
「そんなもん、役に立たないからだろう? 俺がいくら毎日狙わずに仕事に遅刻し続けても、それはなんの役にも立たないだろう?」
「いいや、どれだけ真剣にやっても当たらない剣は八尾長の天才になれるし、毎日狙わずに遅刻できるお前はすべてのものの反面教師になれるだろう?」
どう考えても屁理屈だ。ルシフはいつの間にか相手のペースに乗せられていることにようやく気がついて、話を無理やり引き戻す。
「そんなことはどうでもいいんだ! ならお前は俺に一つも才能がないというのか?」
ルシフの問いにダンダリオンは先程と変わらぬ様子で答える。
「そんなやつを英雄として選ぶわけないだろう? お前は英雄に、次の世界の指導者としてふさわしいと考えたから僕たちは君を選んだ。だが、その才能は君には教えられない」
君が僕を倒すことは決定事項だしね……と呟いて、ダンダリオンは口を閉じた。
「一体どういうことなんだ!?」
ルシフが問うても、彼は口を閉じたままだ。
ついには、何も答えずに剣を抜く、今までの雄弁さとはまるで人格が変わったかのように意思だけで押し通す獣の如くルシフを睨みつける。
「本当はもっと問答してやりたかったが、時間切れだ。お前は重要な情報を引き出せず、次へ行かねばならない」
ダンダリオンはそれだけ言うと目を閉じる。
「次!?」
ルシフは意味がわからずそう叫ぶ、もちろん返答はない。あるのは以前会った時のプレッシャーに似たものだけだ。
強いプレッシャーとともに、ルシフの目の前からダンダリオンが消える。もちろん本当に消えたわけではなく、速すぎる動きにルシフの目がついて行かないだけだ。
なんとか、発動していたルシフの未来予知によって、彼の首筋めがけてへばりついていた剣は剥がされたが、2撃目はかわすのが精一杯で髪の毛に剣がかする。
「くっ……!」
ルシフがうめき声をあげている隙にも、ダンダリオンの3撃目が迫る。無理に交わした代償か、ルシフは体制が崩れて未来は読めど避けることはほぼほぼ不可能、自分の首を剣が通り抜ける未来すら見てしまった。
(俺を勝たせるんじゃなかったのか……?)
ルシフは残された時間で、ダンダリオンが言った言葉を思い出し、その言葉の真意について考えようとしたが、ダンダリオンの剣が振り切られるまでに、それは叶わなかった。
最後にかろうじてダンダリオンが何かを呟く声が聞こえた。『これで9回目……』と。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
合成師
盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様
あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。
死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。
「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」
だが、その世界はダークファンタジーばりばり。
人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。
こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。
あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。
ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。
死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ!
タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。
様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。
世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。
地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる