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終章 魔の終末
21.9回目
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ルシフは朝目を覚ますと、いつも思うことがある。それは働きたく無いということだ。巷であだ名されている通り、『働かざる男』の名はだてではなく、今日も教会の仕事をサボる為に一心不乱に懺悔室へと向かう。そこは、懺悔する人が少ない港町にとってはこの世で一番暇な仕事場といえるだろう。
しかし、最近では不吉な噂を聞く。なんでも街を収めるなんとか会長とやらが、外国人を含めた街の外から違法で屋台を開く人々を合法化しようと画策しているとのことだ。もしそんな計画が現実的なものになってしまうと、ルシフの仕事が増えてしまうことは容易に想像できた。
今でも移民問題は港町の住人から問題視されており、時々とは言え、愚痴をこぼすために懺悔室を訪れる不埒者がいる。
そんな中で、移民が合法的になると住民と移民の確執は避けられない問題となるだろう。そうなってしまえば、ルシフの仕事、もとい暇な懺悔室も暇ではなくなってしまう。そんな未来を想像して、ルシフはため息を吐く。
「いつまでもこんな生活が続けばいいのに……」
――そんな生活が続けれるわけ無いだろう!
どこからか、そんな声が聞こえた気がした。
「どうしてだ?」
いつものルシフなら、そんな奇妙な声など空耳と簡単に断定し、無視しただろうがあまりにも暇だったからか、ルシフはその声に問うた。
――同じことがいつまでも続くなんてことはありえない、未来でも過去でもな。だからこんな生活は続かない。いいや、続けちゃいけない。
その声は、いっそうルシフに近いところから聞こえるようになった。
「夢の中でぐらい夢見させてくれてもいいだろう?」
――甘えるな、それよりいつまで寝ているつもりだ?
今度は確実にルシフの頭の中で、声は響いた。
――――ダンダリオンはルシフの首を切り落とした後、ゆったりとその場に座り込んだ。先程気絶させた他の3人には気にもとめず、ドアの向こうから入ってきた国王に視線を向ける。
「今更登場か? まさか自分の役割を忘れたわけじゃないだろう……僕の役割はここまでだ。後は君とメフィストの仕事だよ。これい以上は失敗出来ない、10回目は世界がずれちゃう可能性があるからね」
国王はダンダリオンの言葉に、ゆっくりと頷く。
「ニゴリよ本当にこれで良かったのか? 神を欺く方法は本当にこれしかなかったのか? もしルシフが永劫回帰の渦に飲まれたら、それこそ神の思う壺だぞ」
彼はダンダリオンを心配するように顔を覗き込んだ。
「顔が近い、あとその名前は捨てた。僕のことはダンダリオンと呼べといつも言っているだろう……?」
「捨てた……!? 捨てきれなかったのはお前だろう? 捨てたのならダンタリオンと名乗ればよかろうに、結局その濁りは捨てきれなかったのだろう」
ダンダリオンは呆れたように、王を睨んで言い返す。
「僕は捨てられなかったんじゃない。ダンダリオンと名乗っているのだって、力に淀みがあったからだ。自分を悪魔と名乗るのもおこがましいほど、僕の魔法は見完全だ。魔法だけならルシフにも勝てないほどに脆弱だ。そんなことより、僕よりも魔力が強いルシフが戻ってこれないわけ無いだろう。もう9回目だぞ?」
国王は、自嘲気味に笑い、ダンダリオンを強く睨んだ。
「国民をここまで犠牲にしたのは初めてだぞ! 確かに英雄の誕生にはふさわしい人災といえるだろうが、失敗したら国が滅びるかもしれんのだぞ?」
「それを含めて君も同意しただろう? それとも神を欺くためにこれからも三つ巴の戦いを繰り広げるのか? それもいいだろう、だけどそれじゃあ結局『永劫回帰』はなくならないことがよくわかった、僕にはね。もう8回も経験したんだ……もう疲れた。いくら強くなろうとその人生が永久に続くのなら、なんの達成感もなく、向上心すら消え失せる」
ダンダリオンは悟ったように遠い目をしている。国王もそのことについては何度も聞かされていたから、何も言えなくなり口を閉じた。
「とにかく、ルシフなら大丈夫だろう。彼にとってはあまり嬉しくないことだろうが、僕達3人が認めた人間だ……なんの問題もないだろう」
ダンダリオンはゆっくりと立ち上がり、懐から黒い角を取り出した。
「忘れられたのかと思ったぞ。じゃあ残念だが、ダンダリオンの体とはこれでお別れと言うわけじゃが、何かやり残したことはないか?」
黒い角からはハムートの声ではなく、メフィストの声が響き渡った。二人はそのことに驚きもせずに対応する。
「僕は特に何もない」
「私も同じだ。こいつもだいぶ疲れているし、早いところ休ませてやろう」
ダンダリオンと国王は、3人で立てた計画を早くすすめるべく、メフィストに最後の一手を早くするように促した。
しかし、最近では不吉な噂を聞く。なんでも街を収めるなんとか会長とやらが、外国人を含めた街の外から違法で屋台を開く人々を合法化しようと画策しているとのことだ。もしそんな計画が現実的なものになってしまうと、ルシフの仕事が増えてしまうことは容易に想像できた。
今でも移民問題は港町の住人から問題視されており、時々とは言え、愚痴をこぼすために懺悔室を訪れる不埒者がいる。
そんな中で、移民が合法的になると住民と移民の確執は避けられない問題となるだろう。そうなってしまえば、ルシフの仕事、もとい暇な懺悔室も暇ではなくなってしまう。そんな未来を想像して、ルシフはため息を吐く。
「いつまでもこんな生活が続けばいいのに……」
――そんな生活が続けれるわけ無いだろう!
どこからか、そんな声が聞こえた気がした。
「どうしてだ?」
いつものルシフなら、そんな奇妙な声など空耳と簡単に断定し、無視しただろうがあまりにも暇だったからか、ルシフはその声に問うた。
――同じことがいつまでも続くなんてことはありえない、未来でも過去でもな。だからこんな生活は続かない。いいや、続けちゃいけない。
その声は、いっそうルシフに近いところから聞こえるようになった。
「夢の中でぐらい夢見させてくれてもいいだろう?」
――甘えるな、それよりいつまで寝ているつもりだ?
今度は確実にルシフの頭の中で、声は響いた。
――――ダンダリオンはルシフの首を切り落とした後、ゆったりとその場に座り込んだ。先程気絶させた他の3人には気にもとめず、ドアの向こうから入ってきた国王に視線を向ける。
「今更登場か? まさか自分の役割を忘れたわけじゃないだろう……僕の役割はここまでだ。後は君とメフィストの仕事だよ。これい以上は失敗出来ない、10回目は世界がずれちゃう可能性があるからね」
国王はダンダリオンの言葉に、ゆっくりと頷く。
「ニゴリよ本当にこれで良かったのか? 神を欺く方法は本当にこれしかなかったのか? もしルシフが永劫回帰の渦に飲まれたら、それこそ神の思う壺だぞ」
彼はダンダリオンを心配するように顔を覗き込んだ。
「顔が近い、あとその名前は捨てた。僕のことはダンダリオンと呼べといつも言っているだろう……?」
「捨てた……!? 捨てきれなかったのはお前だろう? 捨てたのならダンタリオンと名乗ればよかろうに、結局その濁りは捨てきれなかったのだろう」
ダンダリオンは呆れたように、王を睨んで言い返す。
「僕は捨てられなかったんじゃない。ダンダリオンと名乗っているのだって、力に淀みがあったからだ。自分を悪魔と名乗るのもおこがましいほど、僕の魔法は見完全だ。魔法だけならルシフにも勝てないほどに脆弱だ。そんなことより、僕よりも魔力が強いルシフが戻ってこれないわけ無いだろう。もう9回目だぞ?」
国王は、自嘲気味に笑い、ダンダリオンを強く睨んだ。
「国民をここまで犠牲にしたのは初めてだぞ! 確かに英雄の誕生にはふさわしい人災といえるだろうが、失敗したら国が滅びるかもしれんのだぞ?」
「それを含めて君も同意しただろう? それとも神を欺くためにこれからも三つ巴の戦いを繰り広げるのか? それもいいだろう、だけどそれじゃあ結局『永劫回帰』はなくならないことがよくわかった、僕にはね。もう8回も経験したんだ……もう疲れた。いくら強くなろうとその人生が永久に続くのなら、なんの達成感もなく、向上心すら消え失せる」
ダンダリオンは悟ったように遠い目をしている。国王もそのことについては何度も聞かされていたから、何も言えなくなり口を閉じた。
「とにかく、ルシフなら大丈夫だろう。彼にとってはあまり嬉しくないことだろうが、僕達3人が認めた人間だ……なんの問題もないだろう」
ダンダリオンはゆっくりと立ち上がり、懐から黒い角を取り出した。
「忘れられたのかと思ったぞ。じゃあ残念だが、ダンダリオンの体とはこれでお別れと言うわけじゃが、何かやり残したことはないか?」
黒い角からはハムートの声ではなく、メフィストの声が響き渡った。二人はそのことに驚きもせずに対応する。
「僕は特に何もない」
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