ひきこもり娘は前世の記憶を使って転生した世界で気ままな錬金術士として生きてきます!

966

文字の大きさ
21 / 61

21

しおりを挟む
「すごい!本当にできちゃった、草と石とお水を入れて混ぜただけなのに…」

 虫よけ剤を無事に作った私は工房からでてお店のテーブルへと移動してルーシーちゃんとお話をしていた。
 錬金釜から出てきた虫よけ剤を見せてあげると、大興奮の様子だった。きっと私も小さい時師匠の錬金術を始めて見た時はこんな感じだったんだろうなぁ。と思うと胸がくすぐったくなってくる。
 ただ、一つだけ言いたい。『混ぜただけ』と言われるとどうしても胸がモヤっとしてしまう…。けっこう大変なんだけどなぁ。

「ど、どうだったかな。錬金術。ガッカリしたりしなかった?」

「全然だよ!むしろ、錬金術ってかっこいいし、ものすごくキレイで、エリーちゃんなんてまるで妖精さんみたいだったよ!」

「え、えぇ…そ、そうかなぁ。えへへ。恥ずかしいけど、とっても嬉しいな」

 王立錬金術学園アカデミーではそんなこと言われたことないし、師匠からもこのくらい頑張れ!としか言われなかったし、かっこいいとか、キレイとか、妖精みたいだなんて、恥ずかしくて顔が赤くなってるのが自分でもわかってしまう。

「錬金術ってすごいんだねー。ねぇねぇ、錬金術って、難しいの?材料いれる順番とか、混ぜ具合とか、なにかコツみたいなのってあるの?」

「えぇえぇぇ?こ、コツぅ?…うーん。コツかぁ。そうだなぁ。私が師匠から最初に言われたのは、素材の気持ちになることが上達する一番の近道だっていわれたかなぁ」

「素材の気持ち?あの草とか、石や、井戸の水の?」

「うん、そうだよ」

 ルーシーちゃんはすごい不思議そうな顔をして虫よけ剤を見つめながら、「これの気持ち…何思ってるのかしら。え、喋るの?」など真剣な顔とは真逆に液体相手に喋ってるちょっと怖い人みたいになってしまった。

「うんとね、今回虫よけ剤を作ったでしょ?虫よけ剤はムシコナーイからできてるから、まず草を錬金釜っていうお風呂に入れてあげて、かき混ぜ棒でゆっくりとかき混ぜてマッサージしてあげると気持ちよくなってくれると思うんだ」

「ふんふん。なるほど。釜の中でマッサージか。…それで?」

「そしたら、喉が渇くと思うから今度はお水を飲ませてあげて、またゆっくりとマッサージしてあげるの。それで最後にお洋服。ほら。ビンがあるでしょ?最後は鏡晶石をいれて、液体を入れるビンを作ってあげて、包み込んであげれば出来上がり。ってイメージかなぁ」

「おぉーー!すごい!すごいよエリーちゃん!わかりやすかった!そっか。素材の気持ちってそういう事なんだ。そうだよね。そっかそっか。すごいなぁ。錬金術士かぁ…あこがれちゃうなぁ」

 私の説明を一通り聞いてくれたルーシーちゃんはパチパチパチパチ、とすごい拍手をしてくれた。話の最中はむずかしかったり、少し納得できなそうな難しい表情もしてたけど、納得してくれたみたい。でも、これ。ほとんどが師匠からのうけうりだし、なんならアカデミーの時に他の人と調合する順番が違うからってクラスの人から注意されたこともあったし…。まぁ。調合するときに入れる材料の順番なんて正直関係ないんだけどね。どうやって入れても錬金術士のレベルが高ければ作れるみたいだし。

「そ、そんなにすごいって言われちゃうと…恥ずかしくなっちゃうよー。ほかの錬金術士の人って、みんなもっとすごいのできるし、私なんて全然ダメダメっていうか、まだまだだから」

「そんなことないよ!!」

 バンっ!!
 いきなりテーブルに手をついて立ち上がった姿を見て驚いてしまう。体がビクッっとなって目が丸くなって「え?、えぇ?」という感じで動揺してしまう。

「あ、ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったんだけど、本当にすごいことだし、エリーちゃんにはもっと自信持ってもらいたんだ!それにこれ、すごい商品だよ!」

「え?しょう、ひん??この虫よけ剤が売れるの?」

 すごい商品、と言われてどれの事かわからなかったけど、ルーシーちゃんが自信満々に虫よけ剤を天高くに掲げて「これは大儲けだーー!」って叫んでいる姿を見て理解が追い付かなかった。王都では銅貨5枚で買える虫よけ剤。ほとんど買う人もいないし、薬剤の効果もなくなっちゃうから作り置きもそんなにできないし、これがすごい商品なのかなぁ。と首をかしげてポケ‐っとした顔で見ていた。

「エリーちゃん!この虫よけ剤、私に銀貨1枚で売ってくれないかなぁ。ちょっと試してみたいことがあるんだ!」

「う、うん。お金はいいよ。今日草むしり一緒に手伝ってくれたでしょ?そのお礼ってことでどうかな?」

「え?いいの!?ありがとう!草むしりなんてお安い御用だよー!これはすごい儲かるにおいがするぞー!!それじゃあエリーちゃん、今日は帰るけど、明日また来るね!これ本当にありがとう!バイバーイ!」

「き、気を付けてね、バイバーイ(明日も来るんだ…。道具屋の売り子さんはどうするんだろう…)」

 王都よりも虫よけ剤を高く買ってこんな田舎町で売れるのかなぁ。むしろ、明日は道具屋どうするんだろう。最初はおとなしそうな子だなぁって思ったけど、結構元気な人だったなぁ。など、いろいろな思いがあるなかどれもルーシーちゃんには言えず、私は疲れが一気にでて脱力しながらルーシーちゃんが走って帰る後ろ姿を見送っていた。

 今回錬金術を使ってわかったことがいくつかあった。
 その①。とりあえず師匠の錬金釜はここでも無事に使えた。ここではじめての錬金術だったから失敗するかも…。と内心ドキドキだったけど、無事に錬金できたのは非常に大きな成果だ。
 その②。こころなしか、完成した虫よけ剤は王都の王立錬金術学園アカデミーで使ったときの物よりもキラキラ輝いて見える。…いや、多分ちょっと光ってる。
 これについては全く意味が分からない状態だった。なぜうっすらひかってるの?キラキラしてるの?師匠の錬金釜釜が実はすごい高性能だったりする?(そんな風には見えないけど)一応、虫よけ剤の臭いをかいだり、液体に触ってみたけど特に大きな変化は感じられない。体力や魔力が回復するような付加効果もないし、今後もこれは調べてみようと思う。
 その③。虫よけ剤はこの村では人気商品。らしい。明日は草むしりやめておこう。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。 享年は25歳。 周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。 25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

処理中です...