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「すごい!本当にできちゃった、草と石とお水を入れて混ぜただけなのに…」
虫よけ剤を無事に作った私は工房からでてお店のテーブルへと移動してルーシーちゃんとお話をしていた。
錬金釜から出てきた虫よけ剤を見せてあげると、大興奮の様子だった。きっと私も小さい時師匠の錬金術を始めて見た時はこんな感じだったんだろうなぁ。と思うと胸がくすぐったくなってくる。
ただ、一つだけ言いたい。『混ぜただけ』と言われるとどうしても胸がモヤっとしてしまう…。けっこう大変なんだけどなぁ。
「ど、どうだったかな。錬金術。ガッカリしたりしなかった?」
「全然だよ!むしろ、錬金術ってかっこいいし、ものすごくキレイで、エリーちゃんなんてまるで妖精さんみたいだったよ!」
「え、えぇ…そ、そうかなぁ。えへへ。恥ずかしいけど、とっても嬉しいな」
王立錬金術学園ではそんなこと言われたことないし、師匠からもこのくらい頑張れ!としか言われなかったし、かっこいいとか、キレイとか、妖精みたいだなんて、恥ずかしくて顔が赤くなってるのが自分でもわかってしまう。
「錬金術ってすごいんだねー。ねぇねぇ、錬金術って、難しいの?材料いれる順番とか、混ぜ具合とか、なにかコツみたいなのってあるの?」
「えぇえぇぇ?こ、コツぅ?…うーん。コツかぁ。そうだなぁ。私が師匠から最初に言われたのは、素材の気持ちになることが上達する一番の近道だっていわれたかなぁ」
「素材の気持ち?あの草とか、石や、井戸の水の?」
「うん、そうだよ」
ルーシーちゃんはすごい不思議そうな顔をして虫よけ剤を見つめながら、「これの気持ち…何思ってるのかしら。え、喋るの?」など真剣な顔とは真逆に液体相手に喋ってるちょっと怖い人みたいになってしまった。
「うんとね、今回虫よけ剤を作ったでしょ?虫よけ剤はムシコナーイからできてるから、まず草を錬金釜っていうお風呂に入れてあげて、かき混ぜ棒でゆっくりとかき混ぜてマッサージしてあげると気持ちよくなってくれると思うんだ」
「ふんふん。なるほど。釜の中でマッサージか。…それで?」
「そしたら、喉が渇くと思うから今度はお水を飲ませてあげて、またゆっくりとマッサージしてあげるの。それで最後にお洋服。ほら。ビンがあるでしょ?最後は鏡晶石をいれて、液体を入れるビンを作ってあげて、包み込んであげれば出来上がり。ってイメージかなぁ」
「おぉーー!すごい!すごいよエリーちゃん!わかりやすかった!そっか。素材の気持ちってそういう事なんだ。そうだよね。そっかそっか。すごいなぁ。錬金術士かぁ…あこがれちゃうなぁ」
私の説明を一通り聞いてくれたルーシーちゃんはパチパチパチパチ、とすごい拍手をしてくれた。話の最中はむずかしかったり、少し納得できなそうな難しい表情もしてたけど、納得してくれたみたい。でも、これ。ほとんどが師匠からのうけうりだし、なんならアカデミーの時に他の人と調合する順番が違うからってクラスの人から注意されたこともあったし…。まぁ。調合するときに入れる材料の順番なんて正直関係ないんだけどね。どうやって入れても錬金術士のレベルが高ければ作れるみたいだし。
「そ、そんなにすごいって言われちゃうと…恥ずかしくなっちゃうよー。ほかの錬金術士の人って、みんなもっとすごいのできるし、私なんて全然ダメダメっていうか、まだまだだから」
「そんなことないよ!!」
バンっ!!
いきなりテーブルに手をついて立ち上がった姿を見て驚いてしまう。体がビクッっとなって目が丸くなって「え?、えぇ?」という感じで動揺してしまう。
「あ、ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったんだけど、本当にすごいことだし、エリーちゃんにはもっと自信持ってもらいたんだ!それにこれ、すごい商品だよ!」
「え?しょう、ひん??この虫よけ剤が売れるの?」
すごい商品、と言われてどれの事かわからなかったけど、ルーシーちゃんが自信満々に虫よけ剤を天高くに掲げて「これは大儲けだーー!」って叫んでいる姿を見て理解が追い付かなかった。王都では銅貨5枚で買える虫よけ剤。ほとんど買う人もいないし、薬剤の効果もなくなっちゃうから作り置きもそんなにできないし、これがすごい商品なのかなぁ。と首をかしげてポケ‐っとした顔で見ていた。
「エリーちゃん!この虫よけ剤、私に銀貨1枚で売ってくれないかなぁ。ちょっと試してみたいことがあるんだ!」
「う、うん。お金はいいよ。今日草むしり一緒に手伝ってくれたでしょ?そのお礼ってことでどうかな?」
「え?いいの!?ありがとう!草むしりなんてお安い御用だよー!これはすごい儲かるにおいがするぞー!!それじゃあエリーちゃん、今日は帰るけど、明日また来るね!これ本当にありがとう!バイバーイ!」
「き、気を付けてね、バイバーイ(明日も来るんだ…。道具屋の売り子さんはどうするんだろう…)」
王都よりも虫よけ剤を高く買ってこんな田舎町で売れるのかなぁ。むしろ、明日は道具屋どうするんだろう。最初はおとなしそうな子だなぁって思ったけど、結構元気な人だったなぁ。など、いろいろな思いがあるなかどれもルーシーちゃんには言えず、私は疲れが一気にでて脱力しながらルーシーちゃんが走って帰る後ろ姿を見送っていた。
今回錬金術を使ってわかったことがいくつかあった。
その①。とりあえず師匠の錬金釜はここでも無事に使えた。ここではじめての錬金術だったから失敗するかも…。と内心ドキドキだったけど、無事に錬金できたのは非常に大きな成果だ。
その②。こころなしか、完成した虫よけ剤は王都の王立錬金術学園で使ったときの物よりもキラキラ輝いて見える。…いや、多分ちょっと光ってる。
これについては全く意味が分からない状態だった。なぜうっすらひかってるの?キラキラしてるの?師匠の錬金釜釜が実はすごい高性能だったりする?(そんな風には見えないけど)一応、虫よけ剤の臭いをかいだり、液体に触ってみたけど特に大きな変化は感じられない。体力や魔力が回復するような付加効果もないし、今後もこれは調べてみようと思う。
その③。虫よけ剤はこの村では人気商品。らしい。明日は草むしりやめておこう。
虫よけ剤を無事に作った私は工房からでてお店のテーブルへと移動してルーシーちゃんとお話をしていた。
錬金釜から出てきた虫よけ剤を見せてあげると、大興奮の様子だった。きっと私も小さい時師匠の錬金術を始めて見た時はこんな感じだったんだろうなぁ。と思うと胸がくすぐったくなってくる。
ただ、一つだけ言いたい。『混ぜただけ』と言われるとどうしても胸がモヤっとしてしまう…。けっこう大変なんだけどなぁ。
「ど、どうだったかな。錬金術。ガッカリしたりしなかった?」
「全然だよ!むしろ、錬金術ってかっこいいし、ものすごくキレイで、エリーちゃんなんてまるで妖精さんみたいだったよ!」
「え、えぇ…そ、そうかなぁ。えへへ。恥ずかしいけど、とっても嬉しいな」
王立錬金術学園ではそんなこと言われたことないし、師匠からもこのくらい頑張れ!としか言われなかったし、かっこいいとか、キレイとか、妖精みたいだなんて、恥ずかしくて顔が赤くなってるのが自分でもわかってしまう。
「錬金術ってすごいんだねー。ねぇねぇ、錬金術って、難しいの?材料いれる順番とか、混ぜ具合とか、なにかコツみたいなのってあるの?」
「えぇえぇぇ?こ、コツぅ?…うーん。コツかぁ。そうだなぁ。私が師匠から最初に言われたのは、素材の気持ちになることが上達する一番の近道だっていわれたかなぁ」
「素材の気持ち?あの草とか、石や、井戸の水の?」
「うん、そうだよ」
ルーシーちゃんはすごい不思議そうな顔をして虫よけ剤を見つめながら、「これの気持ち…何思ってるのかしら。え、喋るの?」など真剣な顔とは真逆に液体相手に喋ってるちょっと怖い人みたいになってしまった。
「うんとね、今回虫よけ剤を作ったでしょ?虫よけ剤はムシコナーイからできてるから、まず草を錬金釜っていうお風呂に入れてあげて、かき混ぜ棒でゆっくりとかき混ぜてマッサージしてあげると気持ちよくなってくれると思うんだ」
「ふんふん。なるほど。釜の中でマッサージか。…それで?」
「そしたら、喉が渇くと思うから今度はお水を飲ませてあげて、またゆっくりとマッサージしてあげるの。それで最後にお洋服。ほら。ビンがあるでしょ?最後は鏡晶石をいれて、液体を入れるビンを作ってあげて、包み込んであげれば出来上がり。ってイメージかなぁ」
「おぉーー!すごい!すごいよエリーちゃん!わかりやすかった!そっか。素材の気持ちってそういう事なんだ。そうだよね。そっかそっか。すごいなぁ。錬金術士かぁ…あこがれちゃうなぁ」
私の説明を一通り聞いてくれたルーシーちゃんはパチパチパチパチ、とすごい拍手をしてくれた。話の最中はむずかしかったり、少し納得できなそうな難しい表情もしてたけど、納得してくれたみたい。でも、これ。ほとんどが師匠からのうけうりだし、なんならアカデミーの時に他の人と調合する順番が違うからってクラスの人から注意されたこともあったし…。まぁ。調合するときに入れる材料の順番なんて正直関係ないんだけどね。どうやって入れても錬金術士のレベルが高ければ作れるみたいだし。
「そ、そんなにすごいって言われちゃうと…恥ずかしくなっちゃうよー。ほかの錬金術士の人って、みんなもっとすごいのできるし、私なんて全然ダメダメっていうか、まだまだだから」
「そんなことないよ!!」
バンっ!!
いきなりテーブルに手をついて立ち上がった姿を見て驚いてしまう。体がビクッっとなって目が丸くなって「え?、えぇ?」という感じで動揺してしまう。
「あ、ごめんなさい。驚かせるつもりはなかったんだけど、本当にすごいことだし、エリーちゃんにはもっと自信持ってもらいたんだ!それにこれ、すごい商品だよ!」
「え?しょう、ひん??この虫よけ剤が売れるの?」
すごい商品、と言われてどれの事かわからなかったけど、ルーシーちゃんが自信満々に虫よけ剤を天高くに掲げて「これは大儲けだーー!」って叫んでいる姿を見て理解が追い付かなかった。王都では銅貨5枚で買える虫よけ剤。ほとんど買う人もいないし、薬剤の効果もなくなっちゃうから作り置きもそんなにできないし、これがすごい商品なのかなぁ。と首をかしげてポケ‐っとした顔で見ていた。
「エリーちゃん!この虫よけ剤、私に銀貨1枚で売ってくれないかなぁ。ちょっと試してみたいことがあるんだ!」
「う、うん。お金はいいよ。今日草むしり一緒に手伝ってくれたでしょ?そのお礼ってことでどうかな?」
「え?いいの!?ありがとう!草むしりなんてお安い御用だよー!これはすごい儲かるにおいがするぞー!!それじゃあエリーちゃん、今日は帰るけど、明日また来るね!これ本当にありがとう!バイバーイ!」
「き、気を付けてね、バイバーイ(明日も来るんだ…。道具屋の売り子さんはどうするんだろう…)」
王都よりも虫よけ剤を高く買ってこんな田舎町で売れるのかなぁ。むしろ、明日は道具屋どうするんだろう。最初はおとなしそうな子だなぁって思ったけど、結構元気な人だったなぁ。など、いろいろな思いがあるなかどれもルーシーちゃんには言えず、私は疲れが一気にでて脱力しながらルーシーちゃんが走って帰る後ろ姿を見送っていた。
今回錬金術を使ってわかったことがいくつかあった。
その①。とりあえず師匠の錬金釜はここでも無事に使えた。ここではじめての錬金術だったから失敗するかも…。と内心ドキドキだったけど、無事に錬金できたのは非常に大きな成果だ。
その②。こころなしか、完成した虫よけ剤は王都の王立錬金術学園で使ったときの物よりもキラキラ輝いて見える。…いや、多分ちょっと光ってる。
これについては全く意味が分からない状態だった。なぜうっすらひかってるの?キラキラしてるの?師匠の錬金釜釜が実はすごい高性能だったりする?(そんな風には見えないけど)一応、虫よけ剤の臭いをかいだり、液体に触ってみたけど特に大きな変化は感じられない。体力や魔力が回復するような付加効果もないし、今後もこれは調べてみようと思う。
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