27 / 61
27
しおりを挟む
「エリーちゃん。準備いい?」
「や、やっぱり待って、ダメ。まだ心の準備が」
朝ごはんをすませた私たちは2人で村中を歩きながら、今日のお昼頃にお店で虫除け剤の販売がある事を宣伝して歩いた。
昨日ルーシーちゃんが宣伝してくれたおかげもあって、村の人はみんなが興味を持ってくれて、この開店の時間に合わせて来てくれた。ルーシーちゃんが手を伸ばしている店の入口のドアの向こうには既に大勢のお客さんが来てくれている。
(今更だけど、お店で物を売るってドキドキだなぁ。けっきょく虫除け剤しか用意できなかったけど、大丈夫かなぁ)
「もー!みんな待ってるし、いつまでもそんなモジモジしてても仕方ないでしょ!開けちゃうよ!」
「えぇえええぇぇ!ちょ、ちょっとまって、まだ無理!もうちょっとー」
カランカランっ
「いらっしゃいませー!お待たせしました!」
「い、いらっしゃいませぇ!…」とりあえず叫ぶ。
勢いよくドアをあけるとベルの音がお店に鳴り響いて、それと同時にルーシーちゃんの元気な声が聞こえる。外から1人、また1人と入ってくるのをカウンターからドキドキしながら見ている。ルーシーちゃんは手慣れた感じでみんなの相手をしている。さすが村でただ一つの道具屋さんだ。
「ごめんなさい!今日は虫除け剤しかまだ用意できてないの、そのうち他にも色々な物を作りますから、今日は昨日お試しで使ってもらった虫除け剤だけでも買っていってくださいねー!何か欲しいものや困った時は錬金術士エリナまでなんでも相談してくださーい!」
(イヤイヤイヤ、勝手にそんなこと言われちゃっても困るよ、なんでもとか言わないでー)
笑顔でカウンターに立っているが、ツッコミどころがたくさんあって引きつっているのが自分でもわかる。
お客さんが入ってきた後は慌ただしかった。商品が虫よけ剤しかなかったせいもあって、みんな手に取るとすぐにレジに来ちゃうからドンドンお金貰って、「ありがとうございます」「ありがとうございます!」と、とにかく言った。何回言ったかなんて覚えてない。1人の人に何回か言った気もする。お客さんの中には「これ、すっごく効き目が良くてまた買いに来るわね」「ちょっと高いけど、南町のものより効き目がよくて最高なのよね」「村の中でまた薬が買えるのはありがたい。錬金術士さまがきてくれたおかげじゃ。ありがとう」とか、お返事くれるお客さんもいて、ちょっと楽しくなってきた。忙しすぎて20分とか、15分くらいにしか感じなかったけど、虫よけ剤は1時間ちょっとで無事に全部売れて、最後のお客さんがお店を出ていく。
「ありがとうございました!またいらしてくださいね!」
ルーシーちゃんがドアを開けてお客さん外に案内すると、最後のお客さんがこちらを見て小さく頭を下げた。私はそれをみると慌てて頭を下げた。
カランカランっ
ドアを閉める音が店の中に響き渡る
「っぷはぁーー。つ、つかれたぁ。」
「エリーちゃんお疲れさま!全部売れたね!やっぱり私の感に間違いはなかった!」
カウンターに突っ伏してグデーっと脱力する。最初は緊張したけど、最後の方は思ったよりも楽しかったな。次はもっと違う商品も並べてみようっと。前世でも経験したことがないような高揚感や、達成感のような、なんか清々しい気持ちになれた。
「でも、畑にあったムシコナーイは全部抜いちゃったね。エリーちゃん、虫よけ剤はもう作れないの?」
「そ、そうだね。草むしり終わっちゃったし…そんなに珍しい草じゃないから、ムシコナーイがどこかに自生していればいいんだけど…」
当初の予定であった草むしりは昨日全て抜き終わってしまった。そして虫よけ剤の素材であったムシコナーイもきれいになくなった。
(王都ならお店で売ってたりするんだけど、ここじゃあ多分売ってないよなぁ)
んー。っと考えながらカウンターに設置されている椅子に座りながら考えていると、
「あの草があるかわからないけど、小さき妖精の森っていうのが山の麓に広がってるの。今はあまり行く人もいないんだけど、不思議な草があるって聞いたことがあるからもしかしたらムシコナーイも生えてるかもしれないよ?」
「ほ、ほんとう?小さき妖精の森かぁ。奥までいかなければ大丈夫かなぁ」
小さき妖精の森に限らず、妖精、小妖精の類は人間に対して若干攻撃的で、もし気にさわるような事があれば幻術を使って森から出れないようにして意地悪したり、魔物を使って襲ってきたりすることがある。ただ、むこうも好戦的なわけじゃないから、基本的には森の奥に隠れている事が多くて遭遇する事はほとんどないんだけど…。
「どうだろう。村の人がピクシーに遭遇した、て話はずっと聞いてないから何とも言えないけど…」
「まぁ、森の手前だけちょっと見てくるよ!あまり奥までいかなければ大丈夫だろうし」
「そうだね!私も付き合うよ!明日も時間とれると思うから、明日一緒に行こうね!」
「うん!明日約束だからね!教えてくれてどうもありがとう。何か珍しい素材があったらいいなぁ。」
初営業の日は、無事に作ったものが売れて村の人たちも満足そうにしてくれたおかげで、自分がこの村で役に立ててることがわかった。自信を持つことができた私は鼻歌まじりに、明日の採取も楽しみなこともありちょっと浮かれていた。
「や、やっぱり待って、ダメ。まだ心の準備が」
朝ごはんをすませた私たちは2人で村中を歩きながら、今日のお昼頃にお店で虫除け剤の販売がある事を宣伝して歩いた。
昨日ルーシーちゃんが宣伝してくれたおかげもあって、村の人はみんなが興味を持ってくれて、この開店の時間に合わせて来てくれた。ルーシーちゃんが手を伸ばしている店の入口のドアの向こうには既に大勢のお客さんが来てくれている。
(今更だけど、お店で物を売るってドキドキだなぁ。けっきょく虫除け剤しか用意できなかったけど、大丈夫かなぁ)
「もー!みんな待ってるし、いつまでもそんなモジモジしてても仕方ないでしょ!開けちゃうよ!」
「えぇえええぇぇ!ちょ、ちょっとまって、まだ無理!もうちょっとー」
カランカランっ
「いらっしゃいませー!お待たせしました!」
「い、いらっしゃいませぇ!…」とりあえず叫ぶ。
勢いよくドアをあけるとベルの音がお店に鳴り響いて、それと同時にルーシーちゃんの元気な声が聞こえる。外から1人、また1人と入ってくるのをカウンターからドキドキしながら見ている。ルーシーちゃんは手慣れた感じでみんなの相手をしている。さすが村でただ一つの道具屋さんだ。
「ごめんなさい!今日は虫除け剤しかまだ用意できてないの、そのうち他にも色々な物を作りますから、今日は昨日お試しで使ってもらった虫除け剤だけでも買っていってくださいねー!何か欲しいものや困った時は錬金術士エリナまでなんでも相談してくださーい!」
(イヤイヤイヤ、勝手にそんなこと言われちゃっても困るよ、なんでもとか言わないでー)
笑顔でカウンターに立っているが、ツッコミどころがたくさんあって引きつっているのが自分でもわかる。
お客さんが入ってきた後は慌ただしかった。商品が虫よけ剤しかなかったせいもあって、みんな手に取るとすぐにレジに来ちゃうからドンドンお金貰って、「ありがとうございます」「ありがとうございます!」と、とにかく言った。何回言ったかなんて覚えてない。1人の人に何回か言った気もする。お客さんの中には「これ、すっごく効き目が良くてまた買いに来るわね」「ちょっと高いけど、南町のものより効き目がよくて最高なのよね」「村の中でまた薬が買えるのはありがたい。錬金術士さまがきてくれたおかげじゃ。ありがとう」とか、お返事くれるお客さんもいて、ちょっと楽しくなってきた。忙しすぎて20分とか、15分くらいにしか感じなかったけど、虫よけ剤は1時間ちょっとで無事に全部売れて、最後のお客さんがお店を出ていく。
「ありがとうございました!またいらしてくださいね!」
ルーシーちゃんがドアを開けてお客さん外に案内すると、最後のお客さんがこちらを見て小さく頭を下げた。私はそれをみると慌てて頭を下げた。
カランカランっ
ドアを閉める音が店の中に響き渡る
「っぷはぁーー。つ、つかれたぁ。」
「エリーちゃんお疲れさま!全部売れたね!やっぱり私の感に間違いはなかった!」
カウンターに突っ伏してグデーっと脱力する。最初は緊張したけど、最後の方は思ったよりも楽しかったな。次はもっと違う商品も並べてみようっと。前世でも経験したことがないような高揚感や、達成感のような、なんか清々しい気持ちになれた。
「でも、畑にあったムシコナーイは全部抜いちゃったね。エリーちゃん、虫よけ剤はもう作れないの?」
「そ、そうだね。草むしり終わっちゃったし…そんなに珍しい草じゃないから、ムシコナーイがどこかに自生していればいいんだけど…」
当初の予定であった草むしりは昨日全て抜き終わってしまった。そして虫よけ剤の素材であったムシコナーイもきれいになくなった。
(王都ならお店で売ってたりするんだけど、ここじゃあ多分売ってないよなぁ)
んー。っと考えながらカウンターに設置されている椅子に座りながら考えていると、
「あの草があるかわからないけど、小さき妖精の森っていうのが山の麓に広がってるの。今はあまり行く人もいないんだけど、不思議な草があるって聞いたことがあるからもしかしたらムシコナーイも生えてるかもしれないよ?」
「ほ、ほんとう?小さき妖精の森かぁ。奥までいかなければ大丈夫かなぁ」
小さき妖精の森に限らず、妖精、小妖精の類は人間に対して若干攻撃的で、もし気にさわるような事があれば幻術を使って森から出れないようにして意地悪したり、魔物を使って襲ってきたりすることがある。ただ、むこうも好戦的なわけじゃないから、基本的には森の奥に隠れている事が多くて遭遇する事はほとんどないんだけど…。
「どうだろう。村の人がピクシーに遭遇した、て話はずっと聞いてないから何とも言えないけど…」
「まぁ、森の手前だけちょっと見てくるよ!あまり奥までいかなければ大丈夫だろうし」
「そうだね!私も付き合うよ!明日も時間とれると思うから、明日一緒に行こうね!」
「うん!明日約束だからね!教えてくれてどうもありがとう。何か珍しい素材があったらいいなぁ。」
初営業の日は、無事に作ったものが売れて村の人たちも満足そうにしてくれたおかげで、自分がこの村で役に立ててることがわかった。自信を持つことができた私は鼻歌まじりに、明日の採取も楽しみなこともありちょっと浮かれていた。
65
あなたにおすすめの小説
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります
ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。
七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!!
初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。
2024年5月 書籍一巻発売
2025年7月 書籍二巻発売
2025年10月 コミカライズ連載開始
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる