ひきこもり娘は前世の記憶を使って転生した世界で気ままな錬金術士として生きてきます!

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「エリーちゃん。準備いい?」

「や、やっぱり待って、ダメ。まだ心の準備が」

 朝ごはんをすませた私たちは2人で村中を歩きながら、今日のお昼頃にお店で虫除け剤の販売がある事を宣伝して歩いた。
 昨日ルーシーちゃんが宣伝してくれたおかげもあって、村の人はみんなが興味を持ってくれて、この開店の時間に合わせて来てくれた。ルーシーちゃんが手を伸ばしている店の入口のドアの向こうには既に大勢のお客さんが来てくれている。

 (今更だけど、お店で物を売るってドキドキだなぁ。けっきょく虫除け剤しか用意できなかったけど、大丈夫かなぁ)

「もー!みんな待ってるし、いつまでもそんなモジモジしてても仕方ないでしょ!開けちゃうよ!」

「えぇえええぇぇ!ちょ、ちょっとまって、まだ無理!もうちょっとー」

 カランカランっ

「いらっしゃいませー!お待たせしました!」

「い、いらっしゃいませぇ!…」とりあえず叫ぶ。

 勢いよくドアをあけるとベルの音がお店に鳴り響いて、それと同時にルーシーちゃんの元気な声が聞こえる。外から1人、また1人と入ってくるのをカウンターからドキドキしながら見ている。ルーシーちゃんは手慣れた感じでみんなの相手をしている。さすが村でただ一つの道具屋さんだ。

「ごめんなさい!今日は虫除け剤しかまだ用意できてないの、そのうち他にも色々な物を作りますから、今日は昨日お試しで使ってもらった虫除け剤だけでも買っていってくださいねー!何か欲しいものや困った時は錬金術士エリナまでなんでも相談してくださーい!」

 (イヤイヤイヤ、勝手にそんなこと言われちゃっても困るよ、とか言わないでー)

 笑顔でカウンターに立っているが、ツッコミどころがたくさんあって引きつっているのが自分でもわかる。

 お客さんが入ってきた後は慌ただしかった。商品が虫よけ剤しかなかったせいもあって、みんな手に取るとすぐにレジに来ちゃうからドンドンお金貰って、「ありがとうございます」「ありがとうございます!」と、とにかく言った。何回言ったかなんて覚えてない。1人の人に何回か言った気もする。お客さんの中には「これ、すっごく効き目が良くてまた買いに来るわね」「ちょっと高いけど、南町のものより効き目がよくて最高なのよね」「村の中でまた薬が買えるのはありがたい。錬金術士さまがきてくれたおかげじゃ。ありがとう」とか、お返事くれるお客さんもいて、ちょっと楽しくなってきた。忙しすぎて20分とか、15分くらいにしか感じなかったけど、虫よけ剤は1時間ちょっとで無事に全部売れて、最後のお客さんがお店を出ていく。

「ありがとうございました!またいらしてくださいね!」

 ルーシーちゃんがドアを開けてお客さん外に案内すると、最後のお客さんがこちらを見て小さく頭を下げた。私はそれをみると慌てて頭を下げた。
 カランカランっ
 ドアを閉める音が店の中に響き渡る

「っぷはぁーー。つ、つかれたぁ。」

「エリーちゃんお疲れさま!全部売れたね!やっぱり私の感に間違いはなかった!」

 カウンターに突っ伏してグデーっと脱力する。最初は緊張したけど、最後の方は思ったよりも楽しかったな。次はもっと違う商品も並べてみようっと。前世でも経験したことがないような高揚感や、達成感のような、なんか清々しい気持ちになれた。

「でも、畑にあったムシコナーイは全部抜いちゃったね。エリーちゃん、虫よけ剤はもう作れないの?」

「そ、そうだね。草むしり終わっちゃったし…そんなに珍しい草じゃないから、ムシコナーイがどこかに自生していればいいんだけど…」

 当初の予定であった草むしりは昨日全て抜き終わってしまった。そして虫よけ剤の素材であったムシコナーイもきれいになくなった。

(王都ならお店で売ってたりするんだけど、ここじゃあ多分売ってないよなぁ)

 んー。っと考えながらカウンターに設置されている椅子に座りながら考えていると、

「あの草があるかわからないけど、小さき妖精の森ピクシーの森っていうのが山の麓に広がってるの。今はあまり行く人もいないんだけど、不思議な草があるって聞いたことがあるからもしかしたらムシコナーイも生えてるかもしれないよ?」

「ほ、ほんとう?小さき妖精の森ピクシーの森かぁ。奥までいかなければ大丈夫かなぁ」

 小さき妖精の森ピクシーの森に限らず、妖精、小妖精の類は人間に対して若干攻撃的で、もし気にさわるような事があれば幻術を使って森から出れないようにして意地悪したり、魔物を使って襲ってきたりすることがある。ただ、むこうも好戦的なわけじゃないから、基本的には森の奥に隠れている事が多くて遭遇する事はほとんどないんだけど…。

「どうだろう。村の人がピクシーに遭遇した、て話はずっと聞いてないから何とも言えないけど…」

「まぁ、森の手前だけちょっと見てくるよ!あまり奥までいかなければ大丈夫だろうし」

「そうだね!私も付き合うよ!明日も時間とれると思うから、明日一緒に行こうね!」

「うん!明日約束だからね!教えてくれてどうもありがとう。何か珍しい素材があったらいいなぁ。」

 初営業の日は、無事に作ったものが売れて村の人たちも満足そうにしてくれたおかげで、自分がこの村で役に立ててることがわかった。自信を持つことができた私は鼻歌まじりに、明日の採取も楽しみなこともありちょっと浮かれていた。
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