境界線の知識者

篠崎流

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第一次ペンタグラム開戦

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ペンタグラム、グランセルナ両国は状況の整いあり動き出した「グランセルナに公共事業を委託する」告知である

これは意図して情報封鎖せずキチンとした「依頼」の形が取られ、グランセルナは職人、技術者を出すと同時工兵を二千派遣、ペンタグラム中央城で取引が行われ表面上の公共事業も始まるこれで当初の目標、中央での援護軍も三千揃うことになった

ここから建築材の追加輸送と合わせてグランセルナ連合軍の「後方支援部隊」も送り整いは揃った、これら一連の流れは周辺国は知って居たが「意図した裏」に気が付く者は居なかった

「どうせ、また豪華建築の上乗せだろう」と鼻で笑う者すら居たくらいだ

そもそも他国に構っている状況に無い、先年の飢餓、各地の戦、これの備えが優先であるが、当の心配事でもあるテスネアはこの情報に不審は覚えた、情報を受け取ったアデルは眉を顰めて一言もらした

「この時期にグランセルナからの派遣事業だと?」と

一応議題にも上がったのだが大抵の意見はこうだった

「元々グランセルナには独自の建築技術がありますし、姫と教皇は知己です、先の飢餓の救済やグランセルナ王からの対策指示等からの印象もよろしく、ご贔屓の様な物かと」
「ペンタグラムには通貨権がありますし、原料も自己調達出来ます、そこから兵糧、建築の委託は可能でしょう」であった

アデル自身も思う所はあったが命令はこうだった

「一応‥斥候を出せ。どうも不確かな部分もある」
「例えばどのような」
「向こう、両国に繋がりがあるのは知っているが近すぎる気がする」
「確かにご贔屓具合が過ぎますな」
「うむ、妙な点があるなら調べる、どんな小さな事でもいい、まるで情報無しでは話にならん」
「分りました」

この行動は周辺国で最も早い行動と言える、だが同時にもう遅いとも言える

一つ問題は既に各国の食料収穫が間に合った点、これで再び軍事的整えが間に合う、元の状況、中央での膠着状態になる

二つに、テスネア自体、相手の弱みが無ければ軽々しく攻められない事、まして所持国の規模が大きいだけに統制再軍備に時間が掛かる

三つに、フォレスはその先を行っていた事、この時点で即座に中央が動いていれば状況は違っていたが当初の目的は達していた

今後軍事行動があったとしてもペンタグラムは整う、そもそもフォレス自身、これで防ぎ止められる等考えていない点である

そして調査、情報が届いたのが八月後半
資料を受け取ったアデルも驚きだった

「どうもグランセルナの兵、将が建築の派遣からそのまま滞在している様です」

そう報告され思わず舌打ちした

「‥クッソ‥、先んじて手を打った、て事か‥」
「陛下?」
「既にペンタグラムにグランセルナからの兵、軍三千が滞在、参謀長と姫もだ、後方支援軍も往復しているし、山岳都市、恐らく防備だろう」
「つまり「どこかから攻められる事」を想定してという事ですか」
「そうだ‥、まさかこういう策とはね‥」
「成る程、しかし、たかが三千でしょう、防衛兵にすら成りますまい」
「いや、数云々より「グランセルナ連合」が居る事が問題だ、強さもあるが、人材の問題、間違って攻めて落とす、これは南全部敵に回す事になる」
「ですが、南全部と言ってもそれほど軍力はありませんが」
「そうではない‥ロドニとも組んだ、道も作った、姫と参謀長をペンタグラムに置いた、起こり得る事態を想定して、全て読んでます、と見せ付けられたに等しい、要は「動くなら次の準備もしてありますよ」と云われているという事だ」
「成る程、ではどうします?」
「打つ手、か、難しいな‥」

「ですが陛下、整えと云ってもペンタグラムは両軍合わせて、五千程度です、時間を掛けず奪還しようと思えば出来ますが?」
「そうだが‥いや、こっちの状況の整えがまだだ、現状名目が立たないし統治国の不満解消に物資を撒いたし、秋終りまで待つ」
「分りました」
「とりあえず監視だけ続けておけ」
「はっ」

そうしたのもテスネア自体の整え「物資」の不足がある事だ、中央飢餓から最速で周辺を押えたまでは良い、が、再奪取した統治国に自国の備蓄を放出した点である

自分が付け込んだ各国の物資不足からの攻め、漁夫の利を占めた、これを逆にやられる事にも成りかねない、故にそういう判断をした

もう一つが「グランセルナが関わっている事」に慎重策を取らせた、こういう状況になった、ペンタグラムへの援護をしている、となれば無策であるはずが無いという「誤解」もあった故だ

が、この判断は誤りだと云って良いかもしれない、副官トーラが述べた通り、援護と云ってもたかが三千、相手が兵、軍を追加する前に動いたほうが楽とも云える

だがこの時点では「あんな事に成るとは思わなかった」のである、だから周囲の評価を気にして動かなかった

九月中頃に入り、各国で実り、収穫も始まりある程度の後方支援の整いが行われ、再び膠着状態、最初に戻ったのである

秋から冬に掛けても平和であった、全国で小競り合いはあったが、領土の取り合いは起こっていない

フォレスはペンタグラムの整いを確認した後、次の指示を出しメリルに伝達、そこからペンタグラムは告知する

「情報の解禁」グランセルナがペンタグラムから受けた称号、事実上援護者と成った事をペンタグラムから告知させる、この情報は瞬く間に全国に広がり驚きを齎した、が、現状に置いては深刻な事でもない

数年前ならまだしも、今ペンタグラムと組んでもメリットは薄い、本当にただの庇護だからだ、少なくとも余人にはそう見えたのである、そしてこの告知は様々な効果を齎す

ペンタグラムへの軍事行動は擁護者たるグランセルナ連合を敵に回すという意味、逆に誰よりも先んじて行った事への反発と妬み、二種に分かれる

ここから一時アノミアらに行わせていた情報封鎖も解除する、ほぼ同時ペンタグラムが再び注目され、各国から使者、献上が一部戻るように成った

「探り」と「媚」両面である

実質的なモノが無いとしても「立場」は欲しいというのは少なからずある、これでテスネアは更に動き難く成った、各国が再び媚を売りに行く所へまさか軍事行動を取って制圧は出来ない

そしてこれは「情報戦略戦」の基本である、封鎖した情報を一定タイミングで全て開放する、これにより「混乱」させ真の狙いを隠す

各国からお伺いの使者が相次ぐがペンタグラムは高官、代理内政、外交を受け持ったメリルらが全て対応して流した

11月にはロドニ北に建築した滞在施設から堂々と中央街道を通って、援軍の追加派兵ペンタグラムにはグランセルナ連合の滞在軍は七千に成っていた、それに異を唱える者は居ないペンタグラムからの直接要請

そして受けるのは「擁護者」と成ったグランセルナ連合である、この一連の流れが収まったのが年終わり

ここで再び情報封鎖を行い教皇への面会も「急病」を理由に停止され、教皇自身も引きこもる

そしてある「策」の始まりであった

一月の一日。
ペンタグラムの中央から発表

教皇ルート=セオング=ペンタグラムの不調から管理機構の一時的休止、一部、業務を後見人でもあるグランセルナに委託し、援護軍を求めた

中央は災害から乱、住民の離脱が相次ぎ、機能、業務の従前な行い、安全性の面からこの形の維持継続が難しいと判断した、当然これは各国から反発が相次いだ

そこから一月七日には実際グランセルナから受諾を出し本国からペンタグラムへの大規模な派兵が行われた、グランセルナ滞在軍が一万二千に成り

代理統治が再開されたのが十日

当然各国は使者や外交官を派遣しペンタグラムに会談を求めたが、代理統治を受けたグランセルナの代行代表のメリルは会談の類に関しては、受けなかった、誰の目から見てもそれは明らかであった

「グランセルナはペンタグラムを間接支配し実権を取った」と

情報が出て来ない状況もあり、様々な憶測、実際起こっている事実から判断するしかないが、誰もがそう思ったのである

だが、だからと言ってペンタグラムに対して乗り込むわけもいかない、無論政権が瓦解した訳でも無く、軍事行動が取れる訳でもない、不満や不快はあるが内情が分からないのだ

一月十五日にはペンタグラムから大々的発表

首都機能を一時、庇護国でもあるグランセルナに移すとされた、実際12月手前から、既に3万居ないが希望住民や本国物資の移動、グランセルナから馬車隊、滞在軍の往復移送も続く

が、ここでこの事態を看過出来ぬと動いたのがテスネアと便乗した周辺国である

「この一件は不審、具体的な決議も説明も無く行うのは非常識だ」とし

直接声明と使者を送ってペンタグラム山岳都市の入り口で会談を持ったが、ペンタグラムの統治を受け持ったメリルに、高官会議であっさり打ち返された

「教皇様と民衆の安全の為です、既に災害と乱の激化により、ペンタグラムの安全は確保されているとは云えない状況です」
「だからと言って勝手にこの様な事をグランセルナが決めて良い訳では無い」
「決定は教皇様からです、住民も了承しています」
「何故具体的説明が周辺国に無いのか!」
「告知も発表もしています、グランセルナが押付けた訳ではありません、第一、ペンタグラムの後見人という立場からその安全に不安があれば、お救いするのが当然の事です。で無ければ後見人や擁護者ではありません」
「ならば尚更周辺国に相談すべきだろう!」
「一昨年も其の前もお救いする機会が幾らでもありました、それら全てを漁夫の利に利用した国が言う事ではありません、災害の際、我連合は何をしましたか?我々グランセルナ連合は私益に寄って行っている訳ではありません」

「グランセルナに機能を移す理由が無い!」
「業務代行を滞らせては居ません、また、最大の業務である、通貨の流通発行面でも当方連合は代行する能力もあります」
「伝達、相談さえあれば我々の国でも出来る!」
「出来ていません、飢餓の際、無意味な争いを拡大させました「便乗」もしています、世界の統治、管理する者として極めて公正中立性に欠けます、譲る訳にも行きません、その様な者達に何を任せられると思うのですか?」

これで各国も論で返せなくなった

「貴様ら連合はペンタグラムの役割を我が物にしたいだけだろうが!」
「言いがかりです、私益と公益の違い位区別してください」
「‥ぐ、貴様らが教皇を蔑ろにしていないと云えるのか!」
「していません「聖下様」に事前に話しを通し住民にも了を取った上でガーディアンに任じられています、同じ事を何度も言わせないで下さい」
「軍事力を持ってペンタグラムに踏み込み、いい様に動かしているだけだ!」
「物事の順序を間違えないで下さい、ペンタグラムと会談を持ったのは先年6月、実兵力の援護派兵は今年一月です」
「圧迫外交があったのではないか!」

「憶測です。何度も云いますが皆様がペンタグラムの事を真に思う、ならば3年前からどの様な援護の申し出も、会談が出来たはずですそれを為さらなかっただけです」
「それを貴様らが出来るとでも云うのか!」
「飢餓の対応で明らかです、貴方方よりは信用に値します、また、南で同じ事態が起こっても国民生活を壊さないだけの用意もしてあります」
「‥」
「無意味な話し合いを続けても益がありません、実際決定はされ事は動いています、以上何かお話に成りたければ正論を持って来てください」
「で、では教皇様に直接お会いし申し上げたい」
「臥せって居られます、それを曲げて面会を望まれるのは聖下様に宜しくない」
「しかし」
「何れにしろ、お話に成りたければ機関の移動の完遂後聖下様の体調が戻ってから、お話願います」
「それでは遅い!」

「何が遅いのか知りませんが、お会いは出来ません、皆様の剣幕では聖下様の気分を害します、面会者を選抜するのも下の者の役目ですので、どうぞご了承下さい」
「ぐ‥」

相手もそれ以上一言も返せずメリルが追い払った

この内容を本国で受けたテスネア、中央周辺国も無論怒ったが、実際問題誰が交渉や会談を持っても同じだろう、そもそも突き崩す所が無い

正しき者が勝つ、それは論に置いてはこういう結果を作る、そもそもメリルに突かれる欠点や弱みが無い

「我々は最善の選択と行動を重ね信任を得、守護者に任じられました、貴方の論が正しいのならば何故、それを見せなかったのですか?」

と問われて反撃するのはそもそも不可能、挑発するか詭弁で丸め込むしかない

前後の報告を本国で聞いたアデルは冷静であった少なくとも表面上は、ずっと国内会議の議論の場で別の思考を重ねていた、そしてこうなった、成ってしまった場合、別のベクトルから攻めるしかないともあった

「ふむ、これは逆にチャンスでもある」
「え?!」
「周辺国に使者を出せ」
「如何なさるおつもりですか?陛下」
「知れた事、これ以上グランセルナが暴走する前に止める」

当日にはテスネアは中央地の各国に使者を出した、翌日には軍の用意を指示して整えを急いだ、そう、単純な事である
二十五日にはこう公示して軍事行動を取った

「グランセルナの独断先行は目に余る、テスネアは立場を利して暴政を働く、グランセルナ連合から「教皇様」をお救い致す」という事だ

本国から5万の兵を出して出撃、主将ベステックに任せてあくまで「討伐」という形で動いた

が、この討伐軍に周辺国は便乗しない、表面上は一応正しく見えても、テスネアとグランセルナ、比較してもどちらにも理有りとは見えない。確かにグランセルナがペンタグラムを操ってるようにも見えるが、それを名目に軍事行動も早計だ

無論アデルにしてもそれは承知、故「邪魔だけはするな」という意味での告知でもあった

向こうが材料をくれた、論、理で向こうに理有りなら、こちらが力を持って教皇を救うという名目、大義で再奪取すれば良い、何時の世も、勝った者が勝者である

少なくとも「いい様にペンタグラムを操っている」のはグランセルナであるという一定の周囲の見解がある

もう一つの思考論理は「教皇を南に持ち去られればこちらから手が出なくなる」という事、ある意味焦りの要素もあった

ペンタグラム滞在軍はテスネアが動いた情報をアノミアから受け、メリルは即座に本国グランセルナに通知、直ぐに滞在軍を出した、同時本国グランセルナから各方面に一斉告知

「策に掛かった、開始だ」のフォレスからの号令である

両国の間、つまり南北に伸びる平地、中立大街道を挟んでの位置まで進み一日後には布陣

数一万二千、主将にそのままターニャ、軍師にメリル、そしてペンタグラムの神騎士団二千五百も後詰に出撃

「大丈夫かなぁ‥」
「大丈夫ですよ、策は全部決まっていますし、私達はそれをなぞれば良いだけです、そもそも勝つ必要も無いです」
「う、うん」
「軍錬と変わりませんし、武装もどこと戦っても負けません、それに私が居ます」
「うん」

テスネアと街道を挟んでの対峙と成ったが即時開戦とは成らなかった、というのも事前情報と違いグランセルナ、ペンタグラム軍の背後に2万の「集団」があった事にある

「何だあれは?」
「ペンタグラムの‥民、とペンタグラムの閣僚でしょうか、ペンタグラムの旗、印、騎馬や馬車、籠等も見受けられます」
「成る程、あれを逃がすと同時本国を捨て、グランセルナ連合側に合流か」
「おそらく」
「遠目でいい、教皇を確認しろ‥こちらが目的は教皇聖下の救出だ、それと本国に術士を使って伝心、ペンタグラムは丸ごと空だ別軍を組織して押えさせろ」
「ははっ」

それら前後情報を受け取り本国のアデルも「良し」と頷いた

「直ぐペンタグラムに軍を出せ、向こうは住民丸ごと南に行くつもりだ」
「はっ」
「城の確保が出来ればいい、他国に付け込まれるな、最速だ、教皇の確保はベステックの軍で十分すぎる程ある」

この第一次ペンタグラム開戦が始まったのは正午、ペンタグラム直ぐ東にある南北街道での防衛戦となった

が、グランセルナ軍は前に立ちはだかり、横に伸びた陣形で壁を作り、当初から徹底した防御撤退戦を敷いた、無論数の差があるという事、グランセルナは勝つ必要等無い事

目的はペンタグラム本国から出る住民、閣僚、関係者、教皇を、守りながら街道を南下し、連合でもあるロドニまで逃がせばよい

その為、自軍で壁を作り後ろのペンタグラムの味方を守ればいいだけだ、方針、目的が明確、故に初参戦のターニャらでも問題は無かったとも言える

そして相手、テスネアも話は簡単、前のグランセルナ連合を叩いて削って維持出来なくすればいい、そして教皇を保護すればいいだけだ

従って、グランセルナは只管守って下がる
テスネアは進んで攻める、これだけだ

この中央大街道は広い、軍が布陣して戦闘をしてもなんら問題ない、その為主軍決戦を移動しながら行ってもそのまま継続出来る

数の上で五対一、明らかにテスネア有利であり、主将を任されたベステックも余裕であった、只管突撃と弓での遠距離を使い削り作戦を展開した

「直ぐ維持出来なくなるだろう」と思った

が、開戦から1時間これらの行動で逆に疲弊したのはテスネアの方だった、それは超防御型軍でもあるグランセルナ独自武装の驚異的な強さである

手弓は盾壁で殆ど止まる、歩兵の打ち合いでも相手は数差に関わらず殆ど被弾しないで打ち返してくるのだ、夕方までの戦闘で兵力差、五万対一万二千だったのが、四万九千対一万一千八百という戦果差に成っていた

ここで両軍引いて再編し一旦後退、当日を凌ぐ

実際体験したベステックも「何なんだあの奇兵は‥」としか言いようが無い

「信じられない防御力です‥アレを打ち削るのは‥」
「同感だな、こうなれば、手数で崩すしかない、自軍の再編、こちらは敵の五倍だこれを三軍に分けて只管戦闘継続する、後方支援軍もフル稼働しろ」
「連続戦闘ですか?」
「そうだ如何に武装が強かろうと兵は兵、体力と士気を削る」
「はっ」

「教皇は?」
「戦場では難しくあります、ただ、輿の類があるのは確認しています、おそらく、そこに乗っているのでしょう」
「まあいい、確保すればいい、どうせしかとは確認出来ん」
「はっ!」

翌朝から再開された防衛退却戦はその策を用いられた
テスネア側は只管分けた自軍三交代での戦闘継続策を徹底して行う

無理押ししても崩れないのなら維持出来ない所まで疲労困憊させれば士気が折れる、従って開始から徹底して弓、火矢等放り込んだ

「上手いですね、判断も妥当です」
「どうするメリル」
「遠距離と言ってもこちらが負ける要素はありませんね、盾隊で防御しつつ、後退、隙間から連弩で打ち返してください」

そう、弓の打ち合いと言ってもグランセルナの連弩は撃てる矢の数が3倍、弩は射程二倍、これを相手が撃って来たのに合わせ、全部撃ち返した、瞬く間に相手に数倍の被害を与える

「あれが向こうの弓隊か‥」
「厄介です、まともに打ち合うと負けます」
「やむを得ない、こちらも急造だが剣盾歩兵で防がせろ、少々打ち負けても仕方無い、元の武装が違う」
「ご尤もです」
「向こうの武装と言っても何れ矢も尽きるし、装備も壊れる、交代戦闘を繰り返せ、勝つ事に目的は無いぞ!」

テスネアの主将ベステックの判断はまともだ、明確に方針があり、それを実行する戦術もあるし、策に掛かる様なミスも無い、名将と言っていいだろう

只管被弾した兵、と武装を交換しながら戦闘を継続し続け、相手をあらゆる面から「削る」策を取った

2日目の夕方近くにはその効果が出始める
まずグランセルナ盾隊の木盾自体の破損から防御力が落ちる、対策はしてあるとは言え火矢を撃ち込まれて発火から捨てざる得ない物が半数に到達

継続した夜の戦闘から疲労の極まった者、主軍からの離脱撤退が出、矢も尽き始める、交代停戦再編変更しながらの継続戦とは言え、グランセルナ側は二日で6時間程度しか休めていない、一方テスネア側は三軍交代戦である、疲弊・疲労具合がまるで違う

「ここまでだな」とベステックも見切った

三日翌朝には更にベステックは交換入れ替わり戦闘から、自らの部隊「リバースクロス」の精兵騎兵と共に、前線指揮に乗り出し自らの武力も使う

この部隊は中々にして強力だった。所謂、鉄騎馬兵の軍団で馬も兵も鎧を着けた前線突撃隊である、これを持って最前線での突撃近接戦を行った、これでグランセルナ前線が崩れる

これに対応してターニャが護衛隊と共に前に出て対応
武芸将同士の激しい打ち合いと成った

「確かグランセルナの姫だったな」
「好きにやらせないよ」

前線双方の部隊と一騎打ちの様相を呈した

10分近い両部隊、将の打ち合いだったがどちらも一歩も引かずだった、ターニャとベステックの個人武は全く互角、が、部隊自体はテスネアに分がある

錬度云々より馬から違う、味方護衛隊がジリジリ押され下がり、ターニャも左右平行ラインを合わせて下がらざる得ない

正直ベステックもこの個人戦を「楽しんだ」が、自己の武力と関係ない所で優位に傾いた為思わず舌打ちする程だった

「チッ‥味方が邪魔だな‥」と

それ程、自身と剣で合わせられる奴等居ない「良い所を邪魔するな」とすら思った、だがそれで全体を疎かにする程武芸将でもない

ここでターニャの劣勢を見てメリルは即座に「弩兵」を出し、超遠距離からベステックの後ろ主軍本隊に矢を撃ち込み、リバースクロスと本隊の間に楔を打ち込み孤立させる

これでベステック自体も孤立戦を避けて引いたのである、それに固執する理由も無い、もうグランセルナもギリギリなのは明らかだった

三日目の午前10時

メリルが指示してテスネアの突撃を先読みし、相手の進軍の足元に弩を撃ち込み足止めして後退、これで最期の矢も尽きたのである

どうにかグランセルナ軍は街道、ロドニとの中間点まで辿り着いたが、最低でも後二日掛かる事を考えると「詰んだ」と言っても良かっただろう、テスネア側から見ればそうだ

しかしここで連合からの援軍が間に合う
ロドニから出た援軍の内最速で「ヴァルグフローク」のティアの部隊が駆けつける、即座に前線に横突撃で突っ込み、割り込みテスネアの前線軍を一時打ち返して後退させた

そのまま疲労極まったターニャらの主軍を引かせて割り込んだまま、ヴァルグフロークは前線を受け持ち参戦継続する、このヴァルグフロークは百名だがこの少数を持って敵前線を打ち返した

それも当然だろう全隊員が「武将並み」なのだ、強烈無比な火力と防御力を備えている、崩しかけたと思われた戦線が再び膠着する

三日目の丁度昼12時「策の締め括り」のフォレスからの伝心が味方側に一斉に通達される

「準備が整った一斉反撃していい」と
「来たか!」とメリル、ティアが同時に言って即座に反転攻勢に転じる

「策は成りました!主軍は相手中心に八時方向から突撃!ティアさんに続いて下さい!」
「応!」 ターニャの主軍が防御体制から前進

「近接戦闘を仕掛ける!相手を逃がすな!」とティアのヴァルグフロークが相手前線に一斉突撃である、受けたテスネア側には意味が分らない

「このタイミングで反撃!?」

そう、このタイミングである
ティアの部隊がテスネア前線に噛み付いたと同時、街道の西、テスネア軍、右側面丘からの伏兵である、数は一万五千、それが騎馬で一斉に突撃してくる

「あれは!?ロドニの軍!?伏兵か!」

ベステックはそれでも冷静だった

「それでもこちらの数のが圧倒的に多い、円陣を敷いて同数をぶつけて防げ、慌てる様な策ではない。敵の主軍は疲労で士気が低い、前を叩いて、相手を崩せば良い」

数ではまだ四万三千、一方相手は全部合わせても二万五千無い、しかも正面敵、主軍は三日間の戦闘で疲労困憊な上、装備、補給も尽きつつある、当然の選択である

横からの伏兵に一時混乱したが的確な指示で伏兵を防ぎ止め、正面のグランセルナに反撃を行う。が、勿論、其の程度の策をフォレスが打つはずがないのである

グランセルナ後方のペンタグラムの軍、領民と思われた、二万の「集団」は逃げず衣装を脱ぎ捨て抜刀し、前に飛び出した

グランセルナ主軍は戦闘継続しながら左に移動、ペンタグラムの領民達と思われた一団が空いた隙間に入り込む様に、一斉突撃してテスネアの前線に雪崩れ込んだ

恐らく「教皇が乗っている」と思われた輿から人が二人、降りて代わりに馬に乗る、そして叫んで「命令を出した」のは「女」だった

「よーし!このまま敵中央を突破!友軍を援護すると共に敵を突き崩せ!」
「弩兵も用意、バリスタも直ぐ組み立てなさい、姫と指令の護衛強化とターニャ姫の主軍の補助交換します」

そうエミリアとトリスである、最初から「ペンタグラムの領民も教皇も居なかった」

完全に半包囲状態に陥ったテスネアはここで劣勢に、数でも互角、半包囲で不利な上、元々武装的優位が向こうに有る、そしてテスネアも三日連戦一方相手、グランセルナの援軍は無傷

ベステックもどう、し様も無かった。更に云えば、今まで相手を追ってきた分、今度は自分らが耐えねばならなく成った

そして本来の目的でもある「教皇」等最初から居ない、勝つとか負けるという次元の話では無くなっていた、完全に乗せられたのであった

「全軍後退!前線は一切反撃するな!内側から弓だけで返せ!」
「え!?」
「こちらの目的等最初から「無かった」のだ!兵を極力減らすな!それだけでいい!」
「ははっ!」

教皇奪還の目的自体最初から無い、完全に策に嵌った、ここで無意味に戦闘しても一切利が無い

そして相手の目的はこちらを削る、それさえ達成させなければ良い、が、この判断は功を奏した、攻と守が入れ替わっての街道後退戦は、六時間続きテスネア側が反転離脱に成功致命的な被害を出さず撤退し馳せたのである

とは云え、開戦前の兵力。五万が、離脱撤退時には四万まで打ち減らされていた、この状況からこの程度の被害で済んだのは寧ろ奇跡に近い

一方グランセルナはトータル損耗数は二千五百である。しかも死者が極端に少なく二百に届いてない、これが「グランセルナ」の強さの最も注視すべき点である

追撃する余地はあったが無理に押しても得る物は無い、グランセルナ側もそのまま街道を南に戻り三日後には、ターニャの主軍もロドニに入った

この結果を本国で聞いたテスネアのアデルも流石に怒りをぶつけた、傅いて頭を下げたベステックも何も云えなかった

「ぐ‥ふざけるな!‥」と怒鳴った後、深呼吸して冷静に戻った

「申し開きのしようもありません」
そう謝罪したベステックには当らなかった

「‥いや‥、僕が焦っただけだ。お前は悪くない僕の戦略ミス、判断ミスだ‥ご苦労だった、下がってくれ‥」

と力無く云って部屋に戻った

だが、これで終った訳では無い。別軍を出してがら空きのペンタグラムを占拠した軍からも報告が届く

「住民、物資、資料、何もかも空だそうで‥転移陣も封鎖されていたそうです‥」

この報告にも怒らなかった

「グランセルナが空城の計を使った以上、それは当然だ‥拠点を得たには違い無い、寧ろ置き土産、罠が無かったのならそれでいい」

お怒りにならないか?と、報告に訪れた兵も安堵して下がった、そう、全ては「自分のミス」だ

そして終戦から五日、グランセルナに「最初から居た」教皇、首脳部から全国告知

「予定通りグランセルナに一時避難は成った、当面業務、統制はグランセルナから行う、また、先の会談の内容、皆の懸念は全て誤解である、グランセルナ、フォレス王は去年6月の会談で教皇との話し合いを持たれた、双方合意の上でグランセルナ連合はペンタグラムの庇護者と成った。武力や外交での圧迫に寄る条約の交しは一切無かった、会談の外交内容も日時と印があり、これを保障、証明する」

そう告知され実際、複写資料も公開、各国に通知も送られる

「判断の誤り」 それはアデル自身の責任でしかないだから誰にも怒れなかった

教皇は「ペンタグラム」本国を武力制圧したテスネアについて一言も言わずだったが事実だけを見れば「武力制圧をした」のは明らかにテスネア、誅敵の位置付け、はされなかったが誰もがそう思うだろう

そしてそれがアデルの「道」を決定付けた

同時、確率的には五分五分だろう、と、フォレスも思って策を仕掛けた、が、それに乗った、焦って動いたのは紛れも無くアデル自身である、兵を1万近く失い

今後の外交や交渉、評価も落ち、それ自体難しい状況にしてしまった、辛うじてペンタグラム本国を押えたが「益」があったのはそれと精精通貨の原材料くらいだろう

今回も連合の華麗な策での勝利であった、策としては極端に繊細さが要求されたが、それ程難しい物ではない

ペンタグラムの庇護者と成った後
情報の徹底した封鎖、ペンタグラムへの外交、委託事業、輸出、この際、自国の兵を送りながら、同時に同じペースで住民、首脳部をグランセルナ本国に避難させる

ペンタグラムの本国其の物を自国の兵と取替え、教皇を蔑ろにしているという形を見せかける

ここで情報を開放して「教皇様をグランセルナに移す」と声明、焦り暴発し、奪還策を「何処か」が取ればそれを撃退、行った相手国の評価を落とし、今後動けなくする作戦である

教皇が「体調不良」で引き篭もった情報、この時点で既に教皇はグランセルナに転移陣で移動して本国に居なかった、テスネアが動いた報の直後、残りの政府高官も転移陣でグランセルナに跳ぶ

無論、どこも動かなければ、それはそれで良い

フォレスの目的自体、ペンタグラムの機能を移し、グランセルナに暫定政府を作り安全の確保、保護と「統制機関」という形を維持し同時、他国が教皇を押さえ、擁立して傀儡にするのを先んじて防いだだけの事である

この策の「肝」はあくまで「教皇様とペンタグラムの形の維持」である、ペンタグラムの「中身」の退避、避難、連合側の策の準備が全て整うまでの時間稼ぎである

実戦、つまり戦術上の策も
「どうせ交換入れ替え派遣でこっちの軍が3万居る事になるから陸路で堂々と戻るついでに「餌」でも撒くか」

程度の撒き餌で
そもそも敵が食い付く、食い付かない、は問題にしていない、単なる「ついで策」でしかない、が最終的には「何処も引っ掛からなかった」では無かったそういう事だ

戦場の作戦も簡単だ。
ペンタグラム領民と見せかけ偽装した一団を守りながら街道を南に逃げる、食いついてきた相手を只管下がり迎撃し街道南中腹まで引き込む

事前交渉をして許可を取ったロドニの援軍が「街道」中腹の最も広く、左右に自然有る所に予め潜む。餌に掛かった相手への伏兵、側面攻撃

見せ掛けペンタグラム領民のグランセルナ司令官直属軍と共に反転攻勢、逆に引っ張った分相手は長い後退戦を行わねばならずかなりの打撃が与えられると考えた

相手からは ペンタグラム本国
         ↓
      グランセルナ防衛軍  ←他国
    ペンタグラム首脳部&領民
         ↓
     グランセルナ連合側

ペンタグラムの連合側への撤退戦と見えるが、実際は

ロドニ伏兵 →ベステック軍
         ↓    ↖
       ターニャ軍 ティア部隊
       エミリア軍

最初からこうだった、というだけの話。
そう、ここも「そもそも餌に食いつかなければ良い」だけだ、そしてベステックが如何に名将でも警戒して引く、前進を止める事も出来ない、目的が「教皇の確保」だからである

ペンタグラム首脳部が庇護者、後見人のグランセルナに一時移り、統制管理部分で南から作業に従事する、後、平和、一定の安定の時期が来れば中央に戻るというだけの事だ

蔑ろにしているという見せ、そのまま教皇を南に持ち去る、それを見せられあらゆる全ての面で、テスネアが「釣られた」そして、そうなってしまった、フォレスとアデルの決定的な違い

「野心」

アデルはペンタグラムに先に違う者が乗り込み中央の実権を奪われたと思った、当然それを行ったフォレスもそのつもりだと思った

「自分がそうだから相手もそうだろう」という典型的な見誤り、だから「奪還して僕が教皇を擁立せねばならない」そう勝手に誤解したのである

「全てお見通しですよ」そう見せ付けられた、アデル自身がフォレスの読み、見解を理解し、示した、にも関わらず自身が先に動いて罠に掛かった

物事の優先度を見誤り、客観判断より自己の思いを優先したのである、そしてフォレスは最初から最後まで全く変わらなかった

「乱など拡大しても誰も得しないし迷惑だ、ペンタグラムを奪取されて、別の野心が有る奴が教皇やら皇帝やらを名乗られても邪魔なだけだなぁ」

たったそれだけの事だ

ただフォレス唯一の誤り「そこまで引っ掛けるのですか‥」、策の披露時点で言われた通り、少々小細工が過ぎたかなというは自身にあった、つまり「引っ掛けてやろう」に傾倒した策でもある

単純に、先に教皇と首脳部だけ退避させても良いし、実際にペンタグラムに送った自国軍勢で首都防衛しても、防げる可能性は五分以上にある、その上でペンタグラムから「緊急事態宣言」を出させて各国の援軍待ちでも良い

問題は、今回用いた策の方が、実質的人的被害は少なかろうというのが一つ

二つ。各国の援軍待ちが実際行われるかは不確定である事、援軍と見せかけ便乗して攻めて来る可能性もある事

三つ。不確定な要素を廃して、信頼できる連合、自分らだけでやろう、これを、天秤に掛けて選んだ

そしてそれが結果的に「悪い方向に向かう」が、それが形に出るのはまだ先の事である

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