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1-6.温泉っていいよなあ
しおりを挟む目的の温泉はテントを張った広間から少し歩いた岩山にあった。ゴツゴツした岩が隠すように囲んでいたため人目に触れず自然のまま存在していた。なので、当然脱衣室などない。
膝をつき温度を手を入れて確かめると熱くもなくぬるくもなくちょうどいい温度だ。
湯は透明ではなく白い濁り湯で体の線を隠してくれるのも都合がいい。
岩を衝立代わりにして騎士たちは装備を外して裸になり温泉に入った。
「ん――・・気持ちが、いい」
「はあ~・・生き返る」
「心が、洗われる~」
へらっと笑う騎士たちに良かったと思った。
シュルシュルと腰に巻いていたヒモを解いて服を脱いでいくアルトの様子を見ていたジェイクは彼の細めだけどしっかりついている筋肉に見惚れていた。
体全体についた無駄のない筋肉に、冒険者なら誰だってある傷も回復魔法の使い手だからか傷一つなく、特に引き締まった腰からお尻にかけては美しい。
「―――っ!」
「・・・・」
「わ・・」
「ほお~・・」
自分が見つめられていると気づいていないアルトは肩にかかる髪を結いあげてそこらにあった木の枝で留めた。
そして、ゆっくりと肩までつかり手ですくいあげたお湯で顔を洗うと前髪が肌に張り付く。
その邪魔になった髪をかき上げると、雫が丸見えになった首筋へと流れ落ちた。
その何気ない色気のある仕草にみんなドキッとした。
特にアルトの正面に座っていたジェイクはドキドキして鼓動がうるさい。
そわそわと落ち着きをなくし、股間の物が立ち上がろうとしていたのを必死になって隠した。
ほんと濁り湯でよかったと思った。
そんなこととは露知らずアルトは温泉を堪能する。
冒険者になってからよく考えれば休みらしい休みは取っていなかったと思い出す。
いつもギルマスにこき使われていたもんなあ~
こうやって久しぶりに休暇を取れたのも王都で待ってる奴のおかげだな。
ニコニコしながら温泉につかっていると騎士たちの顔が真っ赤になっていくのに気づいた。
「そろそろ上がらないと、のぼせるぞ」
少し離れたところにいたはずのアルトに騎士たちの体が前屈みになる。
「ど、どうした?やっぱりのぼせたのか」
早く上がれと言われるが股間は酷いことになっておりそうは問屋がおろせない。
「ま、待って・・ください。だ、大丈夫ですから」
『お願いです。このままそっとしておいて!』
『ヤバい!限界だっ!』
『我慢だ、我慢しろオレっ!』
『ううんっ・・で、出る』
それぞれが悶絶していることなど知らないアルトは応援を呼びに行こうとして先に温泉からあがる。
「待ってろ!誰か呼んでくるっ!
そう言って駆け出して行ったが――・・
「うっ――」
「はあ――」
「もう、ダメ、だ」
「はあっーんん」
と―――彼が戻って来ないうちに自らの手で絶頂を迎えたのだった。
この時から騎士たちのアルトを見る目が変わった。
もちろん、股間のせいだけじゃない。
あの化け物じみた魔力のせいでもあるが・・
何よりもあの肉体美に惚れたのだ。
だから護衛対象から恋人候補へと変わっても何の不思議もなかった。
「はあ~・・アルト様ぁ・・」
普段から男にモテるアルトの犠牲者がまたここに生まれたのだった。
実に罪づくりな奴である―――・・
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