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国の行く末11
しおりを挟む護衛と側近のことだけで家出をしたわけじゃない。あの女とお茶会をしたときに現れたレイルの目が気に入らなかったからだ。
「オレが邪魔になったんだろう?だからあの時、睨んだんじゃないのか」
「違う!そうじゃない!」
アランが言っているのは最後に会ったあの時のことだろう。
「何が違うんだっ!
「・・・あの時、オレはあの女に嫉妬したんだ」
「はっ?」
「オレがなかなかアランに会えなかったのは、あの女に邪魔されていたからだ!」
「邪魔されてって?」
王女に夢中になってたんじゃないのか?
「あいつはオレがアランに会いに行こうとする度にやって来て、大事な話があるとか、悩みがあるとか自国のこととかで、何度邪魔をされたことか。断れば親善大使なのにとか難癖つけてきやがった」
「・・・・・」
「護衛と側近のことだが、あれはお前には黙っていたが、ゲイル派の残党がお前に良からぬことをしようと企んでいた奴がいて、なかなか手配できなかった。だが、それも何とか解決できそうで今選んでいるところだ」
「ゲイル派ってまだあきらめていなかったのか?」
「ああ、そうらしい」
ええっと、つまりだ。レイルと会えなかったのはリリアが邪魔していて、護衛と側近はゲイル派のせい・・ということか。オレも自分から会いに行こうとしたらリリアに邪魔されたことがあったな。
「つまり、何もかもあの女のせいってことか?
「・・・そうなるな」
クソぉおおおお――――っ!
何でこんな単純なことに気付かなかったんだ?
「アラン、オレが悪かった。だから離縁するなんて言わないでくれ!オレにはお前しかいないんだ。愛している」
あの時と同じように跪いて手の甲にキスをされて、ぶわっと顔が熱くなった。
嬉しかった。リリアと恋仲になってオレは捨てられると思っていたから。だけど、それは誤解だとわかって涙がこぼれそうになった。
「ごめんレイル。オレも愛してる。・・」
掴まれた手を握り返してキスをすると、レイルが嬉しそうに笑みを浮かべた。
「良かったわね。誤解が解けて・・・」
「うん・・」
姉上も嬉しそうに・・・・ん、あれれ?
えっと、誤解も解け全て解決したんだからもっと喜んでくれてもいいはずなんだけど・・
何で、不機嫌なの?
「あ、姉上・・?」
不気味な笑みを浮かべる姉上の後にはハイム国王たちが、ボーっとこっちを見ていて・・あ、いけね!二人だけじゃなかったんだった。
「ええ――っと、そのこれは」
何か言わなきゃいけないと思うのに、うまい言葉が見つからず口ごもる。
ハイム国王とサラ王女は真赤になっているのに対しルイ王子はなぜか目をキラキラさせてオレたちを見つめていた。
ええ―――・・と、どうしよう?
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