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しおりを挟むチっ!
勇人の魅力に他の奴らが気づいたことがおもしろくない。
ただでさえ、生徒会の奴らが絡んでいるのだ。これ以上誰も近づけさせたくないと思うのは嫉妬だろうか?
こんな気持ちになるのは初めてのことで戸惑う。
だけど、目を放した隙に他の奴らにかっさらわれるのは許せなかった。
「相良・・・勇人って呼んでも・・いいか?」
ちょっとでも他の奴らよりリードしたい。それに早瀬も五十嵐もそう呼んでいるしオレもそう呼びたい。
じーっと見つめながら迫るよ戸惑いながらも頷いてくれた。それが嬉しい。
「いいですよ・・」
高坂さんに名前呼びされるなんて嬉しい。
胸がポカポカする。
「よかった・・」
嬉しそうにほほ笑む高坂さんにオレは顔が赤くなるのがわかった。
あれ、なんで赤くなってんだ?
握られている手が熱をもってオレの心に入り込んでくる。
今まで感じたことのないこの気持ちは・・何だろう?
この気持ちが何なのか理解できない勇人は只々ただ俯くことしかできなかった。
真赤になっている勇人を見て高坂は脈ありとみた。
しかも、勇人は押しに弱い。
このままグイグイ押して行けば受け入れてくれそうな気がした。
でも、今日はそれはしない。
実は今日はデートだけが目的ではない。
幸村の周りで不穏な動きがあるとみたからだ。
勇人のは悪いがこれも風紀委員の仕事。本当はこのままデートを楽しみたいけど・・
幸村の隣には噂になっている佐川の姿がある。
デートは佐川の希望だったが、幸村は最初渋ったと聞いた。
恐らく、あいつも何かあると察したのかもしれない。
兎に角、後をつけて様子を見るしかないな。
親衛隊の動きも気になるし、それは松本に任せるしかないが・・
さっき松本から水族館に着いたと連絡があった。
デートの誘いがなかったのは松本だけだ。
まあ、あっても本人が拒否するだろうけど・・
大野は実家に帰ってるし、残りは警備にあたっている。
何かあれば連絡がくるようになっているから大丈夫だろう。
到着まであと一時間ある。
その間は勇人との時間を楽しむとするか・・。
「勇人・・」
そう思っていたのに、随分時間が経っていたようで・・・
肝心の勇人はオレの肩に頭を乗せてスヤスヤと眠っていた。
せっかくの時間なのにとがっかりしたが、寝顔もまたかわいい思う高坂であった。
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