異世界レンタル彼女

りこ

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メイベルちゃん

彼女、レンタルできます♡

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※異世界ファンタジーです。レンタル彼女の実態は現代とは全く異なります。ふわっとお楽しみください。


とある国の王都にあるレンタル彼女店──

売れっ子レンタル彼女のメイベルちゃんを借りようとしている、いかにも陰キャの男がひとり。
王立魔法研究所で働く研究員、名はトゥーレ。女性経験はないが、憧れはある。思い切ってレンタル彼女を予約した。
今日はその2回目である。


(今日は……今日はちゃんと、目を見て話せるようにしよう……!)


肩までかかる前髪をくしゃくしゃっと整え、研究室の角を何度も往復した後、ようやくギルド傘下の《恋人提供所アマリエ》に足を踏み入れる。


「あ、あの…メイベルちゃんで予約を入れてたトゥーレです。」
「はい、お待ちしておりました。少々お待ちください。」


(あ~~…緊張する。2回目だけどメイベルちゃん覚えててくれてるかな…)


「トゥーレくん…!また来てくれたのね。ありがとう♡」


目が合って、一瞬で射抜かれた。

「……ぅ…ぁ…ぁの…」

目を見て話すという目標、さっそく達成できず。


「今日はお仕事どうだった? がんばったね♡」
「う……がん、ばった……メイベルちゃんに、ほめてもらえるから……その……」
「うんうん♡ よしよし♡ えらいえらいっ♡」


流れるようになでなでされるが、これは追加オプションに含まれる。
でも、そんなこと彼にはどうだっていいのだ。


「っ……すごく、うれしい……」
「……トゥーレくん、涙出てる……?」

「だって……うれしくて……えへへ……へへ……」


スタッフが嬢にそっとハンカチを渡し、涙をぬぐう


そして、今回トゥーレは「カップル風街歩きデート」を選択していた。



人の多い市街地を歩くのは、研究員にはハードルが高い。
でも、今日は違う──メイベルが隣にいる。

「このカフェ、入ってみる?」

「うん……メイベルちゃんが、行きたいなら……」

「えへ、じゃあ、行こっ♡」

店の中、並んだ席。隣で腕がかすかに触れる。
ドキドキしているのはトゥーレだけではない“ような気がして”、嬉しい。

「こうやって歩いてると、本当に……ほんとうに、恋人みたいだね……」

「ううん、今日だけは、ほんとうに恋人だよ♡」

その言葉だけで、彼の胸はいっぱいになって、破裂寸前だった。



最後、見送るとき。
彼はたったひとことを言った。

「ぼく、……また、来ます……だから、また……」

「うん♡ 待ってるからね? ずっと、だよ♡」

今夜はきっと眠れないだろう。




異世界レンタル彼女。嬢たちはお金を頂戴し、理想の彼女を演じる。体は売らないけれど夢を売る、プロ彼女なのである。
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