戦国食堂はじめます〜玄米にお湯をかけるだけの戦国料理…私がもっと美味しいもの作ります〜

好葉

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社員旅行

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大手企業の社長秘書を務める桃山 菜 (ももやま さい)24歳は社員旅行で京都に来ていた。
社員の友達と近場のお寺をまわっている最中。

今日は残業無し、面倒くさい社長もいなくとても気分がいい日だ。
そんなことを考えていると、電話が鳴った。

スマホの画面には社長の名前。
はっきり言ってでたくはない。
この新しい社長から仕事の電話を一度ももらったことがないからだ。

そもそも、社長の仕事は大体私がやっている、もしくはやらされているので仕事の話などできるわけがない。
深呼吸をしてから、声のトーンを上げて電話に出る。

「はい、桃山です。どういたしましたか?」

「桃山くん~。僕、君がいないと何すればいいかわかんないよ~。」

「出社はされましたか?」

「ううん。まだだよ。」

やっぱり、出社してなかったか。
このやり取りに慣れてしまっている自分が一番こわいかもしれないと思う。
とりやえず、出社して他の秘書の人にスケジュールを聞いて欲しいことと、今日は電話をかけてこないでと、遠回しに言ったけど伝わっただろうか。

スマホをバッグに入れ、空を見上げる。
青空と紅葉の組み合わせがとてもよく、見とれてしまう。
荒んだ心に染みる。

「菜~。」

友達が手を振りながら近づいてくるのが見えた。

「もう、遅いよ!次、恋愛成就のお寺にいくんだからね~。」

手をぐいぐい引っ張り、早く行こうと言う。
ふっとマフラーがとれかけているのが見える。

「わかったから。ほら…マフラーとれかけてるよ。」

友達のマフラーに手を伸ばして、直す。

「さすが…秘書様。いや、おかん。」

気になってしまったのだから仕方ないでしょっと友達と笑いながら次のお寺に急いだ。
目的だった恋愛成就のお守りも買うことができ、私も何か記念にと思い同じ物を買った。
これで、運命の恋とやらに出会えたら皆苦労はしないよな…と思いながらカバンの中にしまう。
友達がトイレに行ってる間、小さな池がありそこをぼんやり見ていたら、後ろから友達の声が聞こえた。

「菜~どこ~。」

ここだよ~と言おうとしたら、バランスを崩して池に落ちそうになった。
とっさに目を閉じてしまう。

この後、自分が食堂を始めることになるなんて私はまだ知らない…。



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