戦国食堂はじめます〜玄米にお湯をかけるだけの戦国料理…私がもっと美味しいもの作ります〜

好葉

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湯漬け

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翌日、よしさんは日が昇る少し前に起きていた。
私もそれにならい少し遅れてから起き、身支度をした。
よしさんの朝はとても早い、昨日私がいた森に行き食べれる山菜やキノコを採ってくる。

でも、それは自分たちが食べる分だけでお客さんには時々しかださないらしい。
そして、朝採ってきたものを大抵は雑炊にして食べる。
夜も大体同じものを食べるみたい。
昨日の夜ごはんも山菜と玄米の雑炊でとても薄い塩味だった。
美味しいご飯とは言えなかったけど、これからはこっちのご飯に慣れなくてはいけないので我慢する。
ちなみに朝は夜と同じメニューだった。

これが毎日続くと思うと自分がここでやっていけるか不安になるが、胸にその思いをしまい込み一気に残りの雑炊を口の中に流し込む。
朝ごはんを食べ終わり、いよいよ店を開ける。
よしさんは調理場で玄米ご飯を炊き、その隣でお湯を沸かしていた。
昨日の話では、作っているものは一つだけとのこと。

少しして男性のお客さんが入ってくる。
私は、いつもの営業スマイルをする。

「いらっしゃいませ。」

慣れている様子のお客さんは外ある長椅子に座り、湯漬けを一つ頼んだ。
何だか視線を感じるが、今は仕事中なので自分の作業に集中する。
といっても、玄米にお湯をかけるだけの作業だ。
これ、味しないよな、と思いながらお客さんに湯漬けを持っていく。

「お待たせしました。」

お客さんは私から湯漬けを受け取るとお椀に口をつけ、はしで一気に口の中にかきこむ。
はしの意味がないのではと思うが、とてもいい食べっぷりだ。
よほどお腹が空いていたのだろう。
三分もしないうちに食べ終わり、またこちらをジーと見つめる。

「美人だからってあんま見るもんじゃないよ。やすさん」

よしさんが笑いながら、お客さんに話しかける。
び、美人ってお世辞でもよしさんに言われると凄くうれしい反面恥ずかしくなる。
やすさんはよしさんの言葉で笑い出す。

「いや~、すまん、すまん。この辺で見かけない美人がいたもんでな。まぁ、少しぐらいいいじゃねぇか。」

とやすさんはいいだろうと私に同意を求めてくる。
できれば、あんまり見ないで頂きたい。
とりあえず営業スマイルで誤魔化しておく。
きっとやすさんというお客さんはこの店の常連だろう、よしさんの話す雰囲気が物語っていた。

これからお世話になる身としてやすさんに挨拶をしなくては。

「私、菜と言います。この店で働かせていただくことになりました。よろしくお願いします。」

やすさんは姿勢を大げさに正し、こちらこそよろしくと言ってくれた。
少し休んでからやすさんは仕事に戻った。
その後にもお客さんは来てくれたが十五人くらいだった。
よしさんはこれでも多い方だと言う。

「きっと、菜が美人だからね。」

と冗談をいう。
それは絶対ない、現代では言われたことがない特に男性陣にだ。
店じまいした後に、よしさんに店で出した湯漬けを自分も食べてみたいと言った。
よしさんは二つ返事でいいよと言ってくれ、夜ご飯は湯漬けになった。
湯漬けの汁を飲んでみるが、ただのお湯なので味がしない。

一気に汁と玄米を食べてみるがお湯に味がしないので、美味しくはない。
ただ、するするとあまり嚙まないで食べれるので忙しい人にはいいと思う。
美味しくはないけど…。

「あまり美味しくはないだろう。」

よしさんはくすりと笑う。
よしさんの言葉にどうこたえようか悩んだけど、正直に言うことにした。

「ええっと、正直に言うとそうですね。」

「こうゆう店は味なんて二の次で早く出てくるのが一番だからね。」

確かに、やすさんはさっと食べてすぐに行ってしまった。
やすさんは橋を作る人らしく、近くに橋をかけている最中でこの橋を完成させるとまた違う所に行くらしい。

「いままで、多少は人も入ってたんだけど完成しちまうとなると、だいぶお客さんの入りが少なくなるねぇ。」

よしさんは寂しそうで不安な顔をしていた。
私も何か手伝えることはないか考えるが、まず料理の改善だろうと思った。
けど、そっちをやるにはまだ早い、ひとまず調味料や食材のことを知らなければならない。
今から、出来ることといえばサービスだろう。

「布きんってもう少し増やす事って可能ですか?」

私の突拍子のない言葉によしさんは驚く。

「えっ、布きんをかい。大丈夫だと思うけど何に使うんだい?」

ふふふっと笑みを浮かべながら自分が考えていることを話した。

「手などを拭くものを作りたくて、暑い日に冷たい布きんは喜ばれると思うんですよ。」

現代では当たり前だが、私がよしさんに提案しているのはおしぼりである。
きっと喜ばれるはず。
後、もう一つやりたいことがある。
よしさんの店には多めに湯飲みがあったため、これをできれば使いたいのだ。
冷たい水も提供できればと思っている。

「もう一つやりたいことがありまして、あそこにある湯飲みを使ってお客さんに冷たい水を提供したいんです。」

よしさんに提案してみる。
まだ、私が来て二日しかたっていないのに人の営業に口を出してもいいだろうかとも考えたが、よしさんが困っているところはみたくなかった。
改善するとしたら、お客さんがまだいる今しかない。
よしさんの様子を窺うと、少し考えてからやってみようかと承諾してくれた。

おしぼりはよしさんの古着を使って作り、湯飲みは明日使えるように洗った。
このサービスでどこまで出来るかわからないけど、少しでもお客さんが離れないことを祈り眠った。



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