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序章 崩壊
運命
しおりを挟む───三年後。復興都市郊外・労働者居住区画にて───
「おい‼あのガキを取っ捕まえろ‼」
深夜。男の大きな怒鳴り声が、夜の静寂を突き破る。
等間隔に立てられた街灯の淡い光と、それに照らされた延々と連なる、錆びたトタン板や廃材を繋ぎ合わせ作られたバラックのような家々。その合間に走る細い砂利道を、少年は真っ黒なマントをはためかせ、疾走していた。
「まてやゴラぁ‼」「逃がさねぇぞ‼」
がたいの良い、大男二人に追われながら。
父を射殺した後なりふり構わず外に飛び出たは良いが、金も財産も何も持たない子供が、都市環境で一人生きていける筈がなかった。
外に出てから約2日。警察に見つからないようにしながら、腹を空かせて街を放浪していたところ。たまたまビルの裏路地で出会った年配の路上生活者に「労働者区画なら、仕事の一つくらいあるかもしれない。そこならきっと、なんとか食っていける筈だ」との助言を受け、街と郊外にある工場を行き来する輸送トラックに忍び込み、ここまで来たのはいいのだが─────
「今すぐ止まらねえとぶっ殺すぞ‼」
小さくて非力な子供を雇ってくれるような所など何処にも無く、養ってくれる良心的な人なども当然おらず。結局、少年に考えうる残された選択肢は、盗賊となる他に無かったのであった。その結果、少年の毎日は危険なひったくり、強盗、不法侵入の繰り返し。こんな風に追い掛け回される事も、ザラではない。
「クソッタレが………!!!!待てってんだ!!!」
本気で止まるとでも思っているのか、阿呆みたいに止まれだ何だと怒声が飛んでくる。当然、止まれと言われて止まるバカはいないし、相手には飛び道具も無いのだから攻撃を受ける心配も無い。仮に持っていたとしたらとうに使っているし、少年にもそれくらいのことは直ぐに分かった。
「バカかよ……」
そう吐き捨てると、より一層足に力を込めて走り続けた。
道が狭く入り組んでいるのも功を奏し、大男達との間隔は少しずつであるが、着実に広がっていった。途中で長い一本道に出てしまい焦りもしたが、特に問題も無く。背後から迫っていた足音は遠のいてゆき、怒声が飛んでくることも無くなった。
そろそろ振り切れるだろうか。そんなことを思い、速度を落とし始めた矢先のことであった。
少年は目に映った道の行く末に、絶望した。
この道の突き当たりにあるのは小さな円形の広場。しかし今自分が走ってきた道以外に出口の無い、完全な袋小路だったのだ。思わず足を止めて迷った。戻って道を変えるか、そのまま行って抜け道を探すか。だが男達との間はそれほど離れている訳でも無く、じっくり考えている暇も、今から引き返し、道を変えている余裕も無かった。
徐々に迫り来る足音が、少年を焦らせる。
「クソっ」
悪態をついてからしょうがなく広場に歩を進め、周囲に視線を巡らせる。どこかに抜け道は無いか。必死に探してみるが、林立する建物の合間はどれもネズミくらいしか通れそうにないほど狭く、自分が通ることなど到底不可能。屋根によじ登って逃げるにしても、この小さな体では軒先にすら手が届かない。
他に逃げ道は無いかと広場を駆け回るが、見つからず。そうしている間にも追っ手は迫り、そしてついに、大男二人も広場に踏み入れることとなった。
「こんな……ところに………居やがったか………」
広場に入るなり、片方のスキンヘッドの男が息切れにそう言い、少年を睨みつけた。もう片方のモヒカン頭の男は「おやおやどうしたこんな所で。怖くなって降参する気にでもなったのかな?」とバカにしたように言い、一人ケタケタと笑う。
少年は無視する訳にもいかず、抜け道を探すのを止めて男達の方に向き直った。当然、降参しようなどとは微塵も思っていないのだが、言い返すことが出来ない。相手を調子に乗らせるだけなので、自分に逃げ道が無いと悟られたく無かったのだ。
だがスキンヘッドの男は、少年が今どのような状況に置かれているかを、既に察していた。
「ちげぇよ。こいつ、もう後がねぇんだ」
そう得意げに言うと、武骨で角張った顔をニヤニヤとさせ、背負っていた長い鉄パイプを手に取った。モヒカンもそうかそうかと頷きながら、同じように鉄パイプを手に持ちへへへとしゃがれた低い声で笑う。
「おいクソガキ。どうやら俺達の勝ちみたいだな。盗ったもんは今すぐ返しな。それからたっぷりと可愛がってやる」
勝ち誇った表情でそう言い放ち、鉄パイプを固く握る。そして逃げられぬよう、二人はパイプを構えたまま、足並みを揃えてジリジリと距離を詰めていった。
背後には越えられない壁。前方には長い鈍器を持った大男二人。逃げるという選択肢は、少年の頭から既に消えていた。
逃げられないのであれば、対抗するのみ。
そう判断した少年は自分の唯一の武器。あの拳銃をポケットから取り出し、銃口を黙ってスキンヘッドに向けた。その予想外の行動に男二人の足はピタリと止まり、余裕に満ちていた表情は一気に険しいものへと変わる。
「───おい。ガキがなんでそんな物持ってる?」
スキンヘッドの男は自分に向けられた拳銃を凝視し、思わずそう訪ねた。少年はその問に答えず、淡々と要求を突き付ける。
「今すぐそのパイプを捨てて右の壁際まで行け。そしたら壁の方を向いたまま動くな。ゆっくりだ。変な真似をしたら撃つ」
そう言ってからスライドを引き、銃を持った右手で壁の方をしゃくる。今すぐ撃ち殺しても構わないのだが、この先入手出来るかも分からない、数少ない弾薬を消費したくない。ただそれだけの理由が、少年に引き金を引かせないでいた。
従わない訳にもいかず、スンヘッドは大きな舌打ちをしてから鉄パイプを足元に捨てた。そして少年を睨みつけたまま、ゆっくりと両手を上げる。モヒカンも渋々と、パイプを置こうとゆっくりと屈み込んだ。が──────
「ざけんじゃねぇ‼テメェみたいなガキが、本物の拳銃なんて持ってる訳ねぇだろ‼どうせニセもんだろうが‼」
モヒカンはパイプを置かずに立ち上がり、一歩前に出て怒鳴った。スキンヘッドが「おい。やめろ」と言うが、モヒカンはそれに構わずに続ける。
「親分も騙されんで下さい。こんなガキ、簡単に───」
更にそう言い放った後、なんと、モヒカンは鉄パイプを持ったまま、少年に向かって突進していったのであった。
ここ一帯の治安がいくら悪いといえど、そう簡単に銃が手に入るような所ではない。ましてやこんな子供(ガキ)が持っている事などあり得ない。だったら今向けられているのは、どうせ偽物か何かだろう。そう弱い頭で考えた結果、こんな浅はかで、無謀な行動に出たのであった。
「おいバカ‼よせ‼」
スキンヘッドが右手を突き出して止めようとするが、届かず。モヒカンはそれを無視して一気に距離を詰め、そして鉄パイプを思い切り振り上げ、咆哮した。
「爆ぜろやぁあああああ‼‼」
「─────────ッ‼‼」
トスッ─────‼
一発の銃弾が、モヒカンの額を貫いた。
力を失った男の巨体は勢いのまま砂利の地面に叩きつけられ、鉄パイプの転げる音と共に砂埃を上げながら静止する。その体はもうピクリとも動かず、何も言わず、砂地に赤い水溜りを作っていくだけ。
残されたスキンヘッドの男は動くことができず、地に伏した子分の姿を、黙って見ている事しかできなかった。しばしの沈黙の後、我を取り戻した男は額に青筋を浮かべ、鬼の形相で少年を睨み、怒鳴った。
「てめぇ───‼許さねぇからな。後で見つけ出して、絶対に殺す」
怒りに震えた、体の底から絞り出すような声で宣言したスキンヘッドは、拳を震わせて前にずり出た。少年はすかさず銃を向けてそれを制したが、スキンヘッドも分かっていたようで。それ以上何も言わずに両手を上げ、方向転換をして広場の端に向かって歩き出した。壁際に着き、壁を向いて立ったまま動かなくなったのを確認した少年は、銃を向けたまま半円を描くような足取りで男との距離を保ちながら、広場の入り口に向かって歩き出す。
広場の入り口まであと少し。そうなった時に、少年はふと思い立った。
さっきこの男は、後で見つけ出して殺すといった。この広場から出て他の区画まで行ってしまえば、逃げ切れる自信は十分にあるし、この男と会うことも一生無いだろう。だが可能性という物がある。万が一捜し出され、寝首を掻かれてしまったら堪ったものではない。その可能性を事前に摘み取る事が出来るのならば、ここで手を下しておくのが最善策ではないか。
少年は立ち止まって銃の弾倉を引き出し、残弾数を確かめる。入っていた弾は残り四発。つまり薬室内の一発を含めて合計五発だ。ここで使うのも惜しい気がしたが、この際なら構わないだろう。そう割り切ると、拳銃にマガジンを入れてスキンヘッドの後頭部に狙いを定めた。
「おい、いつまでこうしてりゃいいんだ。え?」
簡単な事だ。あの時と同じ。
照準を合わせて、引き金を引くだけ。グリップを握る右手に左手を添え、再度狙い直す。そして引き金引き金に人差し指をかけ、引こうとした瞬間だった。
突如として街に鳴り響いたサイレンが、少年を固まらせた。
「な、なんだ?」
スキンヘッドは首を回して辺りを見渡し、少年も何事かと思わず辺りを見渡した。すると突然、居住区内、そして復興都市の中心部近くから、無数の光の柱が伸び上がった。強く白く光る柱はそれぞれぐるりぐるりと夜空を舐め回すように交錯し、入り乱れ、まるで夜空にある何かを、探し回っているかのよう。それらが何なのか。少年とスキンヘッドは直ぐに分かった。
サーチライトだ。つまり、このけたたましいサイレンの音が意味するのは。
「空襲……」「空襲か……?」
二人は互いに敵対しているのも忘れ、ただ呆然と、光の柱が動き回る夜空を見上げていた。実は数ヶ月前にも、こんな事があった。なんでも、他国の偵察機が飛んできたのだとか。だが今回は、その時とは規模が違う。その時はほんの数分で止まったし、こんなに沢山のサーチライトは灯っていなかった。だが今回はどうだ。地上まで照らさんばかりの光量と、止まないサイレン。居住区近くの滑走路からは、幾つもの戦闘機がプロペラの羽音を立てて迎撃に向かっていく。
居住区の住人は皆叩き起こされ、最初は何事かと窓から空を見上げているだけだったが、誰が最初か、次第に家を飛び出して都市と反対の方向に走り逃げ出し始めた。この広場の建物は倉庫しかなかったようで、二人は住人達が逃げる音が遠くに聞こえるだけだった。
「あれは……」
そして少年には見えた。復興都市の付近の空に浮かぶ、無数の黒い影。サーチライトに照らされたそれらには戦闘機が向かい、そして……
「おい!!爆発だ!!」「やべぇぞ!!マジで来る!!」「逃げろ!!」
住人が見ている最中、戦闘機は無残にも炎を上げて墜落し、後続機達も炎に呑まれていった。相手は偵察機なんかじゃない。爆撃機群だ。
他の迎撃に向かった戦闘機達の抵抗も虚しく、爆撃機の群れは都心の上空に差し掛かる。
そしてその黒い塊から、無数の黒い点が降り注ぐのが見えた。爆弾の雨だ。爆撃が始まったのだ。
何故爆撃されているのか。理由は分からないが、他国に攻撃されているのは明らかだ。爆発の連鎖と炎の波はみるみると都市を飲み込んでゆき、赤い炎の光と連続する爆発音が、ひたすらに居住区まで届いて来る。次々と倒壊していく建物、高層ビル。自分がかつていたマンションも例外なく崩れ落ちてゆく。あの中にはどれだけの人がいて、どれだけの人が犠牲になっているのかは想像に難くない。全滅だろう。
街を蹂躙する爆撃は一向に止む気配も無く侵攻し、瞬く間に大都市の半分は崩壊していった。
まさに絶望的な状態。つい先程まで平和そのものだった都市は、たった数分でさながらこの世の地獄とでも言えるような炎の海。あまりにもいきなりで、あまりも短時間で起きたこの出来事に、愕然と立ち尽くす事しか出来なかった。
これは夢ではないのか。
だが人々の叫び声が、現実であると知らしめる。
「おい!!こっちから来たぞーーーーっ!!!!!!」
どこからか飛んできたその声で、都市部から視線を剥がして反対方向の空を見上げた。そこには─────
「あ………あぁ……………」
声も出なかった。いつの間にか、サーチライトに反射する銀色の機体が、すぐそこにまで迫っていた。しかも一機二機どころではなく、空全体を覆わんばかりの膨大な数が。
いつだったか、父(あいつ)の書斎で盗み見た数々の辞典に、あんな図が乗っていた。大きく長い円柱の胴体と、そから伸びる大きな翼。プロペラと呼ばれる推進機がくっついていて、空を自由に飛べ、遠くまで爆弾を運べると。だが目の前にあるのは、それだけは無かった。円筒ではなく、長方形の物。翼にプロペラではなく、ただの円筒だけが付いてる物。翼の縁に青く光る、隙間が付いているだけの物。果ては翼すら無く浮いてる物。。様々な異音を発しながら、それらは互いの距離を一定に保ったまま、押し寄せる波のように接近して来る。
逃げなくては。本能的にそう感じ、視線を落とした瞬間だった。
ドゴッ────!!!
凄まじい衝撃が、少年の背中を襲った。一瞬、息が止まった。ハンマーで殴れたかのような鈍い痛みが背中に走り、衝撃のあまりにつんのめる。突然の出来事で、何が起きたのか分からない。だが、すぐ何の仕業か分かった。
「ボケッとしてんじゃねぇえぞぉおお!!!」
顔を上げ、振り向いた時には遅かった。激しい打撃が脇腹に加わり、なすすべなく、小さな身体は宙を舞って地面に叩き付けられる。
「ゲホッ……ゲホッッ……う」
吐きそうになるのをこらえ、銃を握った右手を上げようとする。だがその手は大きな足に踏みにじられ、少年は声にならない叫びを上げた。
尚もサイレンが響く中、スキンヘッドの攻撃は止まらない。
「これは俺達の物を盗んだ分!!」
ドゴッ!!
「俺たちをコケにした分!!」
ドゴッ!!ドゴッ!!───
あらゆる身体の部位が痛み、悲鳴を上げて力が入らない。骨など既に数本折られ、痛みのあまりにおかしくなりそうで、身体をピクリと動かすことすら出来ない。そして麻痺しかけた右手で必死に握っていた拳銃が、もぎ取られるのを感じた。
「そしてこれは………俺の、弟の分だ!!!」
トスッ───!!!
時が、止まった。
今までギリギリに保っていた精神が、もうダメだというかのように自らの意思を反し、崩壊していく。今まで感じていた痛み、苦しみが無くなってしまったようにも感じた。意識はあるのに、首から下に繋がった身体は、まるで自分の物ではないかのように力が入らず。痛みもどこか他人事で、これが撃たれたという感触なのかも分からない。これまで受けてきた虐待、暴行を全てまとめても、こんな事になるか。自分の身体から流れ出る物は、血液なのか。
鳴り響くサイレンの音が頭の中で木霊し、ぼやけた視界から、人影が走り去って行くのが見えた。
これが死ぬという事なのか。ただ朧気な意識の中、誰もいないこの広場で無様に息絶えるのか───
結局、自由なんてあったのか。
逃げ出して、手に入れた物は逃亡生活と危険だけだった。自由なんて、最初からあったのか。あの場であの男を殺さずに、永遠と虐げられる人生を送るのか。危ない橋を渡り続け、最期にはこうやってのたれ死にするのか。今までの短い人生は、疑問だらけだった。
サイレンが鳴る中、地面から振動が伝わり、爆発音が響いて来る。遂に、居住区にも爆撃が始まったのだ。
爆撃が先か、失血死が先か。どのみち、自分は木っ端微塵だ。そう思っている間にも近くに爆弾が落ち、炸裂する。
最低な、人生だった。
自由。それを求めた結果がこれだ。
こんなのはあんまりだ。こんな人生、こんな世界はもう沢山だ。
未練なんて無い。生きていた所で、自分には、この世界には何も無いのだから。
ゆっくりと目を閉じ、身体の力を抜く。もう、疲れた。これで、終わりなのだ───
次の瞬間。無数の炸裂弾と焼夷弾が、広場の一帯に降り注いだ。
「あーら。面白いもの、見つけちゃったわ」
「何を言ってる?ここ一帯の攻撃は終了だ。とっとと引き上げるぞ」
「……人の話聞いてた?凄い発見なんだってば。危うく、貴方がバラバラにしちゃう所だったけど」
燃え盛る居住区内の広場に、若い女の声と、無線機を通したような若い男の声が響いていた。その女性は幾重にも重なったフリルのついた豪華な黒いドレスを着込み、懐中時計を片手にどこか嬉しそうに、無邪気な少女のように微笑んでいる。パーティー会場ならば誰の目でも引くような美しさではあるが、炎に囲まれた広場の真ん中で、血溜まりの中で倒れる少年の前にいるには、場違い甚だしい格好であった。
「何を見つけた?敵か?」
「そんなわけないじゃないの」
女性はフフっと笑ってからその場で屈み込み、着けていた黒い手袋を外す。そして露わになった色白で綺麗な右手で、血と泥で汚れた少年の頬に、そっと優しく触れる。
「強い子。まだ生きてる」
そう呟いてから更に嬉しそうに、少年の頭をゆっくりと撫で始める。すると頭がピクリと動き、うっすらと目を開けて女性の姿を捉えた。少年は僅かに口を開き何かを言おうとしたが、女性はその口にそっと人差し指を当て、首を小さく横に振る。
「ダメよ無理しちゃ。辛いだけよ」
少年の唇からそっと手を離し、今度はその手で少年の目を覆った。そして自分の唇を耳元に近づけ、赤子をあやすような、甘く優しい声色で喋りかける。
「このまま連れて帰りたい気持ちは山々だけど、貴方の身体はもうボロボロ。魂の火も消えかけて可哀想。残念だけど、一回死んで貰うわ」
最後に一回だけ、少年の髪を撫でると、女性は立ち上がって手袋をはめ直した。そして炎に囲まれた広場を一瞥し、小さな声でぼやく。
「まったくもう……見境なく何でも吹っ飛ばしちゃうんだから」
「……それが命令だ。仕方無いだろう」
「あら、聞こえてた?」
「何をわざとらしく………」
他愛の無い言い合いの末。女性はふと振り返り、倒れたままうっすらと目を開け、こちらを見ている少年にフフっと笑いかけた。
「んもう。無理しちゃダメって言ったのに………でも、その強さは誉めてあげるわ」
少年の元に引き返し、今度こそと目を閉じさせてから、自分の唇を彼の額に軽く押し当てた。
「それじゃあね。今度は地獄で会いましょう」
今まで起きたこの出来事。夢なのか、幻覚なのかも分からない。でも、最期までこの言葉が、脳裏に焼き付いて離れなかった。
最後に彼女が言い放った一言。
「破壊神さん?」
炎に囲まれた闇夜の中、他に誰もいない広場の中央で。
少年は今度こそ、絶命した。
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