美しき吸血鬼魔王様、特異体質の最強勇者に打つ手はあるけど全部快楽にされて返される

マダナイ

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本編

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次の日。

勇者は持ち前の図々しさで未だ魔王城に滞在していた。迷いに迷ったくらいには広い城の一室くらい借りても大丈夫だろうと思ったらしい。
なにより…愛しき美の化身を逃すまいという思いが強い。どんな危険を冒してでも片時も離してやるつもりはないと意を決したのだが、何故か襲われるような事は一度もなかった。

「昨夜はそれはそれはお楽しみでしたでしょうなぁ、勇者殿…」
「ああ、超お楽しめたぜ」

しわがれた声で骸骨の老人が話しかけてきた。恨み仇に向ける目というよりかは呆れ切った様子だ。それを感じとってか勇者…テオも白い歯を見せて笑って返した。

「そういや聞きたいことがあるんだよ。ジイさん物知りそうだし…」
「ほっほっほ…お目が高い若造だわい。参謀長も務めるワシが知らなければ誰もそれは知るまい。どれ、話してみい」

ただ者ではない雰囲気はあったが、この骸骨が想像以上の重役であったことに「へぇ」と声をあげて本題を語り出す。

「まずは…俺はアンタらの王様に、その…不敬なことしてるじゃんか」
「濁さなくても不敬どころではありませぬがの」
「…魔王ってのは血筋やら種族関係なく強い魔族がなるんだろ?それが一番尊敬を集めるからだって聞いたぜ。その地位にそこそこの間就いてるなら邪険にされてもないだろ。なら邪魔者が無礼者になったら放置って俺からしたら怪しみたくもなる」
「なるほど、いいたいことはわかった」

無い髭をなでるような仕草をとって骸骨は答える。

「先代までであれば…いや、あのお方でなければそうしたでしょうな。力を以って力をねじ伏せて玉座に就いた王が籠絡されたら失望するか憤慨する者もいるじゃろう」
「…玉座の簒奪を狙う者は皆、急にやってきて勝負を挑み、勝てば王に、負ければ死あるのみだったのじゃよ」
「道場破りみたいな感じか?」
「道場破りならぬ城破りですな。城に自ら訪れる者は皆そうじゃ。それがあのお方は…いやぁ実に驚いたものじゃ…」

骸骨は丁寧にも過去の事例を交えて説明してくれるらしい。思いもよらぬところで愛しい者の過去を聞けるぞとテオは目に光を宿して無言で続きをせがむ。

「事前に"謁見"に向かうと予告をし、艶やかな漆黒の毛並みを持つ4頭の馬が引いた、これまた漆黒に繊細な金細工の施された立派な馬車から舞い降りる美神も恥じらうような美しい男が、血と暴力で塗れた城をゆったりと歩くだけで…皆がその美と圧倒的な支配者の気を前にして膝をつき、道を開けた…」
「さすが俺の嫁」
「…嫁?」

まさかその男が抱かれる側だったとまでは予想出来なかったらしい。主の武勇伝を嬉々として語る骸骨のペースに乱れが生じて、一瞬無言の間が入った。

「ごほん…ともかく、先代の魔王様もに呑まれまいと人狼の大きな身体で負けじと馴れない貴族の作法を以って迎えるつもりで差し出した雄々しい腕は…すらりとした優美な腕に引きちぎられていたのじゃ…」
「血が飛び散る中で腕の仇を睨みつけたのがいけなかったのじゃろうか…真っ白な肌についた返り血を長い舌で舐めた男が冷ややかに"不味い"と言った瞬間に凶暴な人狼が白魚の手を待ち侘びる忠犬になっていた」
「そして…身動ぎ一つで気が狂う"魔性の化身"が新たな王になると尊敬だったものは崇拝になったのじゃよ」
「…なんじゃその顔は。やめんか気色悪い」

想い人の武勇伝は、テオの口角を無意識にニヤニヤと上げていた。
指摘されて「おっと」と言いながら平静を装ってみせる。

「それで、どういうことだよ?」
「崇拝してやまない誇り高き王が客人をなどと認める訳にはいかないのじゃ。あのお方のやる事なら全て計画の内、邪魔してはならんとな」
「なるほどな…あ、もう一ついいか?むしろこっちの方が重要なんだけどさ」

テオは納得すると同時に他の質問を出してきた。実はこの骸骨、よく喋るようでも"質問と解答と蘊蓄"が発言の大半を占めており、他愛のない会話は得意ではない。その自覚があるのと長話を真面目に聞く部下以外の若造が珍しくて少し気を良くした。

「魔族の雄ってどうやって子宮つくるんだ?」
「何…じゃと…?」
「魔族の雄ってどうやって子宮つくるんだ?」

繰り返さなくても聞こえているからこそ自分の耳を疑いたかった骸骨にトドメが刺された。
意外にも"聞きたくもない"のではなく、"その発想はなかった"という驚きでだった。この骸骨が長いこといろいろな魔王に仕えている理由は"強者が見たい"という変わった理由であった。物語の主人公たる魔王という強者の語り部になることを楽しんでいるのだ。長年続く魔王と勇者、強者同士の死闘は骸骨の無い胸を躍らせていた。
しかし、異色の展開に躍らせる胸も持ち合わせている。

この強すぎる勇者はあの美しい魔王と子を成すつもりなのか…?

「こんなに面白いことがあるんじゃな…」
「面白い…のか?俺の嫁だからな、やらねえぞ」
「ほっほっほ…ワシがあのお方に向ける感情も、崇拝でのう」

骨をカタカタと鳴らして嗤う骸骨を怪しんだ目でテオは見ていた。
崇拝する王を間接的にでも「犯す」と言われてすんなり受け入れる忠臣がいてたまるか…といった心情ではあったが、説得する手間が省けたので良しとした。

「それで、方法はあるのか?」
「流石若人じゃ、急かすのぅ…まあ、あるが」
「詳しく頼む」

骸骨の中に微妙にあった罪悪感は、強き若人の知識への興味を秘めた瞳によりへし折られた。

「スケベィ・ニョロ族という触手類の魔族がおってのう。其奴らは老若男女、あらゆる生物の体液を養分として成長するのじゃが…」
「それ、長いやつか…?」

早く行動に移したくてたまらないテオに、骸骨の長話癖は堪えるのも頷ける。しかし骸骨は「情報代だと思うんじゃな」と長話のスタンスを保った。

「奴らは細くてうじゃうじゃした長い触手の集合体での。その触手で獲物を捕らえたり、体液を分泌させたりするのじゃ。しかし好みなのか何なのかは不明じゃが…見目の美しい者の体液は高い栄養価があって狙われやすい。ちなみに魔族であるから魔力の強い者も好まれるのじゃよ」
「…あの魔王様ならごちそうって訳だな?」
「じゃな。ヨダレを垂らしてむしゃぶりついてくるじゃろう…そして体液の中でも精液や愛液を好む。そうすると獲物から養分を搾り取る方法となれば…わかるかね?」

にやりとしながら問いかける骸骨にテオは至って真剣な表情で頷いて口を開いた。必死に話を理解しようとして自然と顔がこわばっていた。

「美人と魔力が強いのが好きなえっちな触手…」
「つまり魔王様にえっちなことせずにはいられない…ってことか?!」
「ほほっ…100点じゃ」

骸骨は嬉しそうに続ける。

「そして奴らの与える影響…低級じゃが魔族は魔族。捕食された獲物は無事では済まさないのじゃが、それもまた淫らなものでのう…異常に快楽に弱くなったり、思考が淫らなことに侵されていったり、感度が超発達したり…身体の構造や仕組みを改造するのが主じゃ。つまり、わかるな?」

またにやにやしながら骸骨は問いかけたが、テオは話が見えてきたとばかりにパッと表情を明るくした。

「子宮も作れそうだな…!」
「前例はあるぞい。そして見た目はピンクから紫までの色をしていることが多くての…日陰になった水辺近くに生息しているせいか、水分が多くてひんやりしてプルプルしておる。ハリがあってパンパンになっている個体ほど健康状態が良く、優れた成人個体とされて…聞いているのかね」
「あー、聞いてる聞いてる!」

早速探しに行く準備を始めて返事が適当になっているテオに骸骨はため息をついて話を続ける。

「しかし問題点もいくつか…」
「サンキューなジイさん!行ってくるわ!」

早速探しに行くとばかりに話を遮って走り出したテオに追いつける訳ないと諦めた骸骨は、無駄だと思いつつもその背に叫ぶ。

「オイ!話を聞くんじゃ!行き先はわかるぞい!老人の忠告くらい聞かんか!」
「後でな!」

わかっていた。問題があろうと困難であろうと力と気でねじ伏せる、猛烈な強き者であることはわかっていたのだ。
ため息を吐き出しながら一人残された骸骨はぼやく。

「やれやれ…それでは意味が無かろうに…元気な若人じゃわい…」

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