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第四章
(四)
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そんな中でも尾張徳川家の態勢作りは進み、予定されていた通り新たに附家老が遣わされてきた。成瀬隼人正正成と、渡辺忠右衛門守綱のふたりである。正成は知勇兼備の将として名高く、これまで本多上野介正純らとともに老中として幕藩体制の確立に邁進してきた。また守綱は岡崎以来家康に仕えてきた忠臣で、徳川の大きな戦にはほぼすべてに参じてきたという猛者である。このふたりをもって若き義利と正信を、政武両面から支えようということらしい。家康の義利に対する期待の大きさが窺い知れる人選と言えた。
一方城の普請のほうも順調に進み、五月に入って肥後守清正が一手に引き受けていた天守台の石垣が完成する。それは築城名手と謳われる清正の名に恥じず、威風堂々見るも鮮やかなものであった。
されど残る基礎普請が完了しようとしていたある日、思わぬ事故が発生する。本丸馬出西側、前田筑前守利光の担当箇所で、普請途中の石積みが崩れたのだ。巻き込まれた人夫たちが幾人も圧死し、また多くの怪我人も出る惨事であった。家康は大いに立腹し、利光に対しすべての普請が終わるまで国元へ帰ることを認めず、作業を自ら監督せよと命じたという。
されどどこの家中もこのところの大きな普請続きで、人足たちにも疲れが溜まっていた。ゆえにみな内心では、いつかはかようなことも起こるのではと危惧していたようだ。それもあってか、諸侯たちの中には前田家に対して同情的な声も少なくなかった。おのれらのところで同じようなことが起こっていてもおかしくはない、と思ってもいたのか。
そんな折、氏勝の元をひとりの男が訪ねてきた。それはかつて肥前名護屋で知己を得た前田家家臣、小野伝右衛門であった。
「これは山下どの……お懐かしゅうござる」
「小野どのこそ。お久しゅうございます。名古屋にいらっしゃっていたことに気付かず、ご挨拶が遅れ申した」
「それはこちらこそでござるよ……まこと、立派になられたものじゃ」
どうやら伝右衛門のほうは、氏勝が徳川にいることすらも知らなかったらしい。こちらの顔を見てずいぶんと驚いていた。
「今は筑前守さまの下で、普請役をされておられるとか?」
「さよう。それも山下どののお陰にござる。あの一件で肥前守さまの目に止まっての……それでどうにか、今日まで仕え続けることが出来申した」
「それはご先代に、人を見る目があったというだけでござろう……それにしても、又次郎さまのことはまことに残念でござった」
「殿は最期のときまで、あの名護屋でのことを楽しげに話されておられた。よほど痛快であったのでしょうな。それも、山下どののお陰でござる」
当時伝右衛門らの主であった前田又次郎利秀は、翌年には病を重くして帰国を余儀なくされ、ほどなくして金沢で息を引き取っていた。つまりはあの折こそが、利秀にとって最後の晴れ舞台であったのだ。
それでもこの伝右衛門は先代当主である肥前守利長の目に止まり、直臣に取り立てられたらしかった。そして今も三代目・筑前守利光の下で普請役を勤め、この名古屋にもやって来ていたということだ。
されどそうして旧交を温めるだけでは済まないこともわかっていた氏勝は、次第に気が重くなってくる。前田家の普請役である伝右衛門がおのれを訪ねてきたということは、宛所は件の事故の話以外には考えられなかったからだ。
おそらくはこの者もまた、氏勝が浅野家にしたことを風聞で耳にしたのであろう。それで大御所家康への伝手を求めてやって来たのだ。どうにかその怒りを宥め、普請の遅れの赦しを得るために。そして利光が国元へ帰ることを認めてもらうために。利光は家督を継いでまだ間もなく、できることなら早く加賀へ戻り、国許の地固めをしたいはずだ。
とはいえかような事態に、できることがあるとも氏勝には思えなかった。おそらくは前田家も、様々な伝手を辿って赦免を得ようと四苦八苦し、万策尽きて藁をも掴む思いなのであろう。そんな伝右衛門を失望させるのが心苦しく、腹の底に重く冷たいものが澱のように溜まってゆくようにも感じた。
伝右衛門は伝右衛門で相手が氏勝であるとわかって、却って本題を切り出せなくなってしまったようだ。気が付けば会話も途切れ、互いに何も言えぬまま、気まずい沈黙が漂いはじめる。
そのとき、小姓の鉄之助が入ってきて来客を告げた。応接中にて少し待ってもらえと伝えようとしたが、相手を聞いてそうもいかなくなってしまった。
「その……加藤肥後守さまと、浅野紀伊守さまなのでございます」
「……何と」
慥かどちらもそれぞれの受け持ち箇所の作業は終え、間もなく国許に帰ることになっていたはずだ。もしもその挨拶に顔を出してくれたということであれば、待たせてしまうのは失礼にあたる。
「山下どの……我は構いませぬ。そろそろお暇させていただくゆえ」
まだ本来の用件の話もせずに、伝右衛門はそう言って腰を浮かしかけた。その表情には、どこか恥じ入るような色も浮かんでいる。その顔を見て、この者をそのまま帰すわけにもいかないと思った。
「小野どの、しばしこちらでお待ちくだされ。失礼かとは思いまするが、お話は必ずあとでお聞きいたす」
そうして鉄之助には失礼ないよう伝右衛門を持て成すよう伝えて、氏勝は清正らを出迎えに向かった。
別室に清正と幸長を通すと、氏勝はまず此度の普請に尽力してくれたことへの謝意を述べた。しかしその言葉も終いまで聞かず、清正が険しい顔で遮ってきた。
「世辞はよい。今日はさような話をしに参ったわけではない」
どうやら、ただの挨拶に来たわけではないようだった。ふたりとも表情が硬く、ぴりぴりとした緊張感を纏っている。ではいかなる話かと尋ねると、清正は小さく咳払いをした。そうしてわずかに声を落として答える。
「我らはこれより、少数の供のみを連れて駿府に向かうつもりじゃ。ゆえ、そなたに大御所さまへの渡りをつけてもらいたい」
「某に……で、ございますか?」
それも妙な話だった。肥後守清正、紀伊守幸長ほどの大大名たちであれば、正式に会談を申し入れても断られることはあるまい。されどそれはしたくないということか。
「つまり、何か内々に進めたいことがあると言うわけでしょうか?」
清正はちらりと幸長を見やった。すると幸長は膝立ちになり、静かににじり寄ってきた。そうして扇子で口元を隠しながら、氏勝の耳元へ何事かを囁きかけてくる。その内容に、氏勝も思わず目を瞠った。
「……何と。さような大役、何ゆえ某などに?」
「大和守どのゆえ、お頼みするのよ」幸長は小さく頷いて言った。「他に頼れる者はいない。お願いいたす」
いったいいつの間に、さほどまで信頼されてしまったのやら。氏勝は身の縮む思いに震えながら、幸長の顔を見返した。
「されどそうしたことであれば、正式に話を進めればよいことではござらぬか?」
「そうもゆかぬ。大坂ではいまだ、あちこちで熾火が燻っておるのでな。いかなる邪魔が入るかわからん。むろんすべてを隠すは叶わぬまでも、出来得る限りは内々に進めたい」
清正のその言葉を、元の位置に戻った幸長が受けて続けた。
「そのためにもまずは、大御所さまのご存念を慥かめねば。この普請中に名古屋へ来られることがあればと待ってもおったのだが……結局叶わなんだ。ことがことゆえ、我らが直截顔を出さねば、まとまる話もまとまらぬ」
「……で、ございましょうな」
されど、と氏勝は思案する。いかに内密に話を進めようとしたところで、清正と幸長ほどの者が動けばどうしても、誰かの目には止まるであろう。ならば、何かしらの偽装は必要だ。もしも家康との会談が明らかになっても、本来の目的を誤魔化すことができるだけの口実が。
そうして、不意に閃いた。口実ならあるではないか。今も、襖を幾つか挟んだ先に待たせている。
「では申し訳ありませぬが、こちらからもおふたりにお願いしたき儀がございます」
氏勝はあらためて姿勢を正し、清正と幸長に頭を垂れた。そうして、例によって笑顔にならぬ笑顔を浮かべる。
一方城の普請のほうも順調に進み、五月に入って肥後守清正が一手に引き受けていた天守台の石垣が完成する。それは築城名手と謳われる清正の名に恥じず、威風堂々見るも鮮やかなものであった。
されど残る基礎普請が完了しようとしていたある日、思わぬ事故が発生する。本丸馬出西側、前田筑前守利光の担当箇所で、普請途中の石積みが崩れたのだ。巻き込まれた人夫たちが幾人も圧死し、また多くの怪我人も出る惨事であった。家康は大いに立腹し、利光に対しすべての普請が終わるまで国元へ帰ることを認めず、作業を自ら監督せよと命じたという。
されどどこの家中もこのところの大きな普請続きで、人足たちにも疲れが溜まっていた。ゆえにみな内心では、いつかはかようなことも起こるのではと危惧していたようだ。それもあってか、諸侯たちの中には前田家に対して同情的な声も少なくなかった。おのれらのところで同じようなことが起こっていてもおかしくはない、と思ってもいたのか。
そんな折、氏勝の元をひとりの男が訪ねてきた。それはかつて肥前名護屋で知己を得た前田家家臣、小野伝右衛門であった。
「これは山下どの……お懐かしゅうござる」
「小野どのこそ。お久しゅうございます。名古屋にいらっしゃっていたことに気付かず、ご挨拶が遅れ申した」
「それはこちらこそでござるよ……まこと、立派になられたものじゃ」
どうやら伝右衛門のほうは、氏勝が徳川にいることすらも知らなかったらしい。こちらの顔を見てずいぶんと驚いていた。
「今は筑前守さまの下で、普請役をされておられるとか?」
「さよう。それも山下どののお陰にござる。あの一件で肥前守さまの目に止まっての……それでどうにか、今日まで仕え続けることが出来申した」
「それはご先代に、人を見る目があったというだけでござろう……それにしても、又次郎さまのことはまことに残念でござった」
「殿は最期のときまで、あの名護屋でのことを楽しげに話されておられた。よほど痛快であったのでしょうな。それも、山下どののお陰でござる」
当時伝右衛門らの主であった前田又次郎利秀は、翌年には病を重くして帰国を余儀なくされ、ほどなくして金沢で息を引き取っていた。つまりはあの折こそが、利秀にとって最後の晴れ舞台であったのだ。
それでもこの伝右衛門は先代当主である肥前守利長の目に止まり、直臣に取り立てられたらしかった。そして今も三代目・筑前守利光の下で普請役を勤め、この名古屋にもやって来ていたということだ。
されどそうして旧交を温めるだけでは済まないこともわかっていた氏勝は、次第に気が重くなってくる。前田家の普請役である伝右衛門がおのれを訪ねてきたということは、宛所は件の事故の話以外には考えられなかったからだ。
おそらくはこの者もまた、氏勝が浅野家にしたことを風聞で耳にしたのであろう。それで大御所家康への伝手を求めてやって来たのだ。どうにかその怒りを宥め、普請の遅れの赦しを得るために。そして利光が国元へ帰ることを認めてもらうために。利光は家督を継いでまだ間もなく、できることなら早く加賀へ戻り、国許の地固めをしたいはずだ。
とはいえかような事態に、できることがあるとも氏勝には思えなかった。おそらくは前田家も、様々な伝手を辿って赦免を得ようと四苦八苦し、万策尽きて藁をも掴む思いなのであろう。そんな伝右衛門を失望させるのが心苦しく、腹の底に重く冷たいものが澱のように溜まってゆくようにも感じた。
伝右衛門は伝右衛門で相手が氏勝であるとわかって、却って本題を切り出せなくなってしまったようだ。気が付けば会話も途切れ、互いに何も言えぬまま、気まずい沈黙が漂いはじめる。
そのとき、小姓の鉄之助が入ってきて来客を告げた。応接中にて少し待ってもらえと伝えようとしたが、相手を聞いてそうもいかなくなってしまった。
「その……加藤肥後守さまと、浅野紀伊守さまなのでございます」
「……何と」
慥かどちらもそれぞれの受け持ち箇所の作業は終え、間もなく国許に帰ることになっていたはずだ。もしもその挨拶に顔を出してくれたということであれば、待たせてしまうのは失礼にあたる。
「山下どの……我は構いませぬ。そろそろお暇させていただくゆえ」
まだ本来の用件の話もせずに、伝右衛門はそう言って腰を浮かしかけた。その表情には、どこか恥じ入るような色も浮かんでいる。その顔を見て、この者をそのまま帰すわけにもいかないと思った。
「小野どの、しばしこちらでお待ちくだされ。失礼かとは思いまするが、お話は必ずあとでお聞きいたす」
そうして鉄之助には失礼ないよう伝右衛門を持て成すよう伝えて、氏勝は清正らを出迎えに向かった。
別室に清正と幸長を通すと、氏勝はまず此度の普請に尽力してくれたことへの謝意を述べた。しかしその言葉も終いまで聞かず、清正が険しい顔で遮ってきた。
「世辞はよい。今日はさような話をしに参ったわけではない」
どうやら、ただの挨拶に来たわけではないようだった。ふたりとも表情が硬く、ぴりぴりとした緊張感を纏っている。ではいかなる話かと尋ねると、清正は小さく咳払いをした。そうしてわずかに声を落として答える。
「我らはこれより、少数の供のみを連れて駿府に向かうつもりじゃ。ゆえ、そなたに大御所さまへの渡りをつけてもらいたい」
「某に……で、ございますか?」
それも妙な話だった。肥後守清正、紀伊守幸長ほどの大大名たちであれば、正式に会談を申し入れても断られることはあるまい。されどそれはしたくないということか。
「つまり、何か内々に進めたいことがあると言うわけでしょうか?」
清正はちらりと幸長を見やった。すると幸長は膝立ちになり、静かににじり寄ってきた。そうして扇子で口元を隠しながら、氏勝の耳元へ何事かを囁きかけてくる。その内容に、氏勝も思わず目を瞠った。
「……何と。さような大役、何ゆえ某などに?」
「大和守どのゆえ、お頼みするのよ」幸長は小さく頷いて言った。「他に頼れる者はいない。お願いいたす」
いったいいつの間に、さほどまで信頼されてしまったのやら。氏勝は身の縮む思いに震えながら、幸長の顔を見返した。
「されどそうしたことであれば、正式に話を進めればよいことではござらぬか?」
「そうもゆかぬ。大坂ではいまだ、あちこちで熾火が燻っておるのでな。いかなる邪魔が入るかわからん。むろんすべてを隠すは叶わぬまでも、出来得る限りは内々に進めたい」
清正のその言葉を、元の位置に戻った幸長が受けて続けた。
「そのためにもまずは、大御所さまのご存念を慥かめねば。この普請中に名古屋へ来られることがあればと待ってもおったのだが……結局叶わなんだ。ことがことゆえ、我らが直截顔を出さねば、まとまる話もまとまらぬ」
「……で、ございましょうな」
されど、と氏勝は思案する。いかに内密に話を進めようとしたところで、清正と幸長ほどの者が動けばどうしても、誰かの目には止まるであろう。ならば、何かしらの偽装は必要だ。もしも家康との会談が明らかになっても、本来の目的を誤魔化すことができるだけの口実が。
そうして、不意に閃いた。口実ならあるではないか。今も、襖を幾つか挟んだ先に待たせている。
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