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12歳と薔薇色の…
夫婦の契り
しおりを挟むマリアンヌはノエルの年齢を聞いて驚いた。思ったより年上である。せいぜい1、2歳差ぐらいだろうと予想していたのに予想を裏切られた。
そして同時に前世の貞操観念がちらちら脳裏を過ぎっていたのをぽいっと頭の中からどこかへと投げ捨てた。年上なら話が速い。なによりヤッてもまあ許容範囲内で罪悪感という抵抗も少ない。
……年齢がもっと近ければもう少し躊躇したかもしれない。が、それでも最終的にはヤッていただろうからその葛藤は全く意味はなかっただろうが。
マリアンヌが頭の中でそんなことを考えているとは気付いていないだろうノエルが初めて自分から声を掛けてきた。
「……夫、って、どうやってなるんだ……?」
あ、伝えるの忘れてた、とマリアンヌはピンク一色な思考からいったん帰還した。この世界では決まった夫婦になるための儀式がないことを思い出したのだ。ノエルはそれを聞いているに違いない。
最終的には神殿に戸籍謄本代わりに記録票を届け出るが、それだけでは味気ないので結婚に際し夫婦の儀式をそれぞれの慣習に則って行うのが常識である。
ある地域では魔物を狩って前世でいうところの結婚指輪代わりにプロポーズして夫婦と認めたり、またある部族では男女を――見合い代わりに――戦わせて、勝ったほうが負けたほうを嫁入り婿入りさせる権利を得て夫婦を決めたり、他にも色々とあるが、ひとまず神殿に届け出る以外にも夫婦であると周囲に認識させる儀式が必要なのが分かる。
ウテナ新女帝国で一番ポピュラーで人気の夫婦の儀式は、子どもを産んだら夫婦になれる方法である。家庭を作ってから籍を入れる出来ちゃった婚ならぬつくってやった婚である。好きな異性の子どもを身籠ったり身籠らせられたら夫婦になれるので、積極的な国民性だ。
女王が子を産みにくいのが嘘のように貴族や平民はぽかすか産む。なぜかそれが女王のおかげになっているのが不思議で仕方ないとマリアンヌは常々思っているのだが。
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