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12歳と薔薇色の…
交流3
しおりを挟むふにふにふにふにふにふにふに……。
――ハッ! 思わず感触を楽しんでしまったわ!
距離を詰めることに気を取られて疲れてしまったのかもしれない。マリアンヌは無心でふにふにしていた己を省みて、思考を巡らせながらふにふにしながら状況を確認することにした。
夢中で無心ふにふにをしていたマリアンヌは気付かなかったが、どうやらマリアンヌのふにふにテクニックが良かったのか、ノエルは実にだらしなくのんべんだらりと伸びきっていた。見た目は完全にただの駄犬である。
一歩前進したのか後退したのか、ひとまず初めての夫との関係が早々にギクシャクしてしまうような事態にはならなそうでマリアンヌは安心した。この後の行事はてんこ盛りで控えているのだ。
ただでさえノエルの容姿は超絶マリアンヌ好み――つまりこの世界では超絶不細工――なのだ、その行事で同伴した夫がよそよそしい様子を見せて新婚早々不仲だと噂が立てば、今後困るのはノエルの方である。
夫であり、数少ない希少な美少年が避難の的にされて萎縮するのは出来れば避けたい。今朝は急に避けられたことにショックを受けて冷静な判断が出来ていなかったが、よくよく思い起こせば自分は醜いからマリアンヌに釣り合わないというようなことを泣きそうになりながら告げていたノエルのことだ。
おそらく昨夜、結局最後は自ら積極的に盛ったことでも想い出して恥ずかしくなったか、自己嫌悪にでも陥って衝動的に逃げたのではなかろうか。
前世含めてマリアンヌにはあまり理解できる思考回路ではないが、この世界の容姿への前世以上の厳しさを想えば、そういう卑屈な性格になるのも致し方あるまいとも納得出来た。
「――私はノエルの妻、決してあなたを蔑視しないし、常に味方となって守ると誓うわ」
ぴくり、とノエルのだらしなく伏せていた耳がピン、と反応した。
マリアンヌはノエルが耳を傾けていることを確認して言葉を続けた。
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