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12話 安里翔
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露店通りを抜け、安里翔一行は歴史を感じる古ぼけた道具屋へと入った。
店内には客らしき人は一人も居らず、カウンターの向こうで、店主らしき人物が黄金色に輝く厳めしい顔をしたおっさんの胸像を丹念に磨いていた。
店主は胸像を磨くのに夢中で、俺達には目もくれない。
店内には薬草や回復薬をはじめ、剣や鎧や、見るからに高価そうな宝石まで並んでいる。
アリシアは一目散にレディースファッションコーナーへと向かった。
「この服フリルが付いて可愛い~。私これにし~よおっと」
「待て、アリシア。何言ってんだ。こんな服、防御力0じゃないか。それに、ついこの間も全然着もしないのに、沢山服を買ったばかりだろうが!」
アリシアは頬を膨らませてイワンを睨んだ。どうやらお金の管理をしているのは年長者のイワンらしい。彼女は名残惜しそうに服をハンガーに戻した。
「なあ、俺も新しく仲間に加わったんだから、贅沢は言わないから、せめて武器と防具くらいは買ってくれよ」
「チッ」
イワンは心の内を隠す気が一切ないのだろうか、口をへの字に曲げ、露骨に嫌な顔をした。「そんな顔するんだったら頼まねーよ!」と言いたい所だが、背に腹は代えられない。この世界で生きて行く為には我慢も必要だと知った。
いきなり一番高い武器を買ってくれと言ったら断られると思い、二人に少し気を遣って店で二番目に高そうな武器と防具を試着した。
不思議と力が湧いて来た。この剣と鎧の重さには、これからモンスターや魔物と命を懸けて戦わねばならぬという、重みも含まれているのだ。俺の命運はこの剣と鎧と共にある。この鎧は俺の身を守り、この剣は仲間の命を守るのだ。そうだ、俺とアリシアとイワン。そして剣と鎧のこれから大切な五人パーティーだ。
「よろしくな相棒達」
鼻下を人差し指で擦りながら、思わず声に出してしまった。
「イワン。俺はこの剣と鎧に決めた。何だか波長が合ったって言うか、一目見た瞬間に運命を感じたんだ」
「バカ野郎!こんなの宝の持ち腐れだ!今すぐ脱げ!こんな高い鎧、体長百メートル級のモンスターとでも戦う気か?そんなでっかいモンスターどこを探しても存在しないんだよ!この剣だってそうだ。無駄に高そうな宝石ばかり散りばめて、お前はどこのお坊ちゃま剣士なんだ?剣を振った事も無いお前には、外に幾らでも落ちてる木の棒で十分だ!予算も少ないし、今回はパーティー全体のレベルアップを図る為に、俺の装備を整えるとしよう!店主よ、そう言う訳で、この有り金分、上等の金のふんどし(防御力180)を用意してくれ」
イワンは麻袋にどっさりと入った金貨を示した。
「その御予算ですと、金のふんどし三枚になりますが宜しいでしょうか?」
「ああ勿論だ!」
「おい、待ってくれ!こんなんじゃ俺直ぐにモンスターに殺されちまうじゃないか。鎧とは言わない、せめて何か一つだけで良いから防具を買ってくれよ!」
縋る様な目でイワンに泣きついた。こんな経験、幼稚園児の頃に、母親にスーパーでお菓子を買ってくれとねだった時以来だ。
「仕方ないな。店主よ。三枚も高級ふんどしを買うんだから、今お前が首に巻いている旅人のマフラー(防御力2)くらいサービスしてくれ」
「はい、お安い御用です」
「ちょっと待ってくれ!外は熱いのに、たった防御力2の臭いマフラーなんて巻いてられるかよ!」
「我儘言うな!」
『ピチャン!』
俺は理不尽にイワンからへなちょこな張り手を食らった。
俺は何か間違っているのだろうか?どうしてビンタされたのか分からない。
アリシアに助けを求めようと、彼女を顧みた。
すると、彼女は俺と目が合うと、口元に人差し指を当てて小さく『シィー』と言った。
我が目を疑った。
彼女は、店長の目を盗んで、ショーケースに入ったアクセサリーを万引きしようとしていたのだ。
店内には客らしき人は一人も居らず、カウンターの向こうで、店主らしき人物が黄金色に輝く厳めしい顔をしたおっさんの胸像を丹念に磨いていた。
店主は胸像を磨くのに夢中で、俺達には目もくれない。
店内には薬草や回復薬をはじめ、剣や鎧や、見るからに高価そうな宝石まで並んでいる。
アリシアは一目散にレディースファッションコーナーへと向かった。
「この服フリルが付いて可愛い~。私これにし~よおっと」
「待て、アリシア。何言ってんだ。こんな服、防御力0じゃないか。それに、ついこの間も全然着もしないのに、沢山服を買ったばかりだろうが!」
アリシアは頬を膨らませてイワンを睨んだ。どうやらお金の管理をしているのは年長者のイワンらしい。彼女は名残惜しそうに服をハンガーに戻した。
「なあ、俺も新しく仲間に加わったんだから、贅沢は言わないから、せめて武器と防具くらいは買ってくれよ」
「チッ」
イワンは心の内を隠す気が一切ないのだろうか、口をへの字に曲げ、露骨に嫌な顔をした。「そんな顔するんだったら頼まねーよ!」と言いたい所だが、背に腹は代えられない。この世界で生きて行く為には我慢も必要だと知った。
いきなり一番高い武器を買ってくれと言ったら断られると思い、二人に少し気を遣って店で二番目に高そうな武器と防具を試着した。
不思議と力が湧いて来た。この剣と鎧の重さには、これからモンスターや魔物と命を懸けて戦わねばならぬという、重みも含まれているのだ。俺の命運はこの剣と鎧と共にある。この鎧は俺の身を守り、この剣は仲間の命を守るのだ。そうだ、俺とアリシアとイワン。そして剣と鎧のこれから大切な五人パーティーだ。
「よろしくな相棒達」
鼻下を人差し指で擦りながら、思わず声に出してしまった。
「イワン。俺はこの剣と鎧に決めた。何だか波長が合ったって言うか、一目見た瞬間に運命を感じたんだ」
「バカ野郎!こんなの宝の持ち腐れだ!今すぐ脱げ!こんな高い鎧、体長百メートル級のモンスターとでも戦う気か?そんなでっかいモンスターどこを探しても存在しないんだよ!この剣だってそうだ。無駄に高そうな宝石ばかり散りばめて、お前はどこのお坊ちゃま剣士なんだ?剣を振った事も無いお前には、外に幾らでも落ちてる木の棒で十分だ!予算も少ないし、今回はパーティー全体のレベルアップを図る為に、俺の装備を整えるとしよう!店主よ、そう言う訳で、この有り金分、上等の金のふんどし(防御力180)を用意してくれ」
イワンは麻袋にどっさりと入った金貨を示した。
「その御予算ですと、金のふんどし三枚になりますが宜しいでしょうか?」
「ああ勿論だ!」
「おい、待ってくれ!こんなんじゃ俺直ぐにモンスターに殺されちまうじゃないか。鎧とは言わない、せめて何か一つだけで良いから防具を買ってくれよ!」
縋る様な目でイワンに泣きついた。こんな経験、幼稚園児の頃に、母親にスーパーでお菓子を買ってくれとねだった時以来だ。
「仕方ないな。店主よ。三枚も高級ふんどしを買うんだから、今お前が首に巻いている旅人のマフラー(防御力2)くらいサービスしてくれ」
「はい、お安い御用です」
「ちょっと待ってくれ!外は熱いのに、たった防御力2の臭いマフラーなんて巻いてられるかよ!」
「我儘言うな!」
『ピチャン!』
俺は理不尽にイワンからへなちょこな張り手を食らった。
俺は何か間違っているのだろうか?どうしてビンタされたのか分からない。
アリシアに助けを求めようと、彼女を顧みた。
すると、彼女は俺と目が合うと、口元に人差し指を当てて小さく『シィー』と言った。
我が目を疑った。
彼女は、店長の目を盗んで、ショーケースに入ったアクセサリーを万引きしようとしていたのだ。
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