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29話 安里翔
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「今から300年程前、儂と今魔王と呼ばれている男は、丁度今の君達の様な、同じ目的を持った三人パーティーの仲間だった。
魔王はその当時から強く、儂ともう一人の仲間のサポートが無くても十分目的を達成するだけの力を持っていた。」
「アンタ達のその目的って言うのは一体何だったんだ?」
「それは・・・魔王討伐。」
「どう言う事だ?魔王が魔王討伐をするって?」
「今の魔王、ロマリオンは初めから魔王と言う訳では無かったんじゃ・・・
長い旅の末、儂達三人はやっとの思いで魔王の前に辿り着く事が出来た。
ロマリオンは魔王の姿を見るや否や、武器を捨てて一人、魔王の元へ走って行った。
『魔王であるあなたは"この世界"について何か知ってるんだろ!お願いだ!教えてくれ!』
『なる程、そういう事か・・・お前もこの世界に導かれた者の一人だったんだな。』
『まさか・・・あなたも別の世界からこの世界へ・・・?』
『ああ。元の世界への戻り方は俺には見つける事が出来なかった。
だが、ここまで辿り着いたお前ならもしかすると、答えを見つける事が出来るかもしれんな。
俺も昔、今のお前と同じ様な状況を迎えた事がある。
元の世界へ戻るには、この世界のボスであろう魔王を倒せば良いのではないかと考え、魔王を探し続けた。』
『どういう事なんだ?あなた以外にも魔王が居たのか?』
『いや、違う。この世界に魔王は一人だけしか存在しない。存在出来ない。
俺も昔は生身の人間だった。
そこで、魔王からこんな話を持ち掛けられた。
魔王である私はこの世界の管理者。この世界の全ての知識を持っている。
この私を殺せばお前は私が持つ管理者としての知識と力を全て手にする事が出来る。
しかし、その見返りとして、管理者として世界の核となり、次の後継者が現れるまで、決して死ぬ事が出来なくなる。
後継者が現れるのはいつになるか分からない。数年先かもしれないが、数万年先かもしれないと、そう言った。
俺はこの世界で死ぬのは御免だったから元の世界に戻りたい一心で魔王をこの手に掛けた。
そして、この世界の膨大な知識と大きな力を手に入れた。
お前にもその覚悟はあるか?』
『ああ、私に迷いは無い。どんな犠牲を払っても、もう一度会いたい人が居るんだ。』
『いいだろう、ならば剣を取れ。俺も元は剣士の端くれ。魔法は使わない事を約束する。純粋に剣で決着を付けよう!』
そこから魔王とロマリオンの激しい決闘の行方は僅かな差で、ロマリオンに軍配が上がった。
ロマリオンは魔王の知識と力を受け継ぎ、新たな魔王となった。
この時、儂達はこれから起こる世界の変化について知る由も無かった。
核である魔王が滅びた事により、世界で大きな気候変動が起こった。
それは、人の身では、とてもでは無いが、生きて行けない程のものだった。
人類は只々、死を待つだけだった。
しかし、そこでロマリオンが一つの大きな決断を下した。
人間を気候変動に適応出来る姿、つまりモンスターに変化させ、絶滅の危機を乗り切ろうというものだった。
それまで、この世界には動物は存在していたが、モンスターは存在していなかった。
一度モンスター化してしまえば二度と人間に戻る事は出来ない。
それでも、儂達人間はモンスターになる事を選び、魔王は全ての人間をモンスター化させた。
それから数年後、気候変動も収まり、穏やかな気候が戻った。
そして、それを機に、世界に二度目の大きな変化が訪れた。
その光景を目の当たりにして、儂は我が目を疑った。同時に儂自身の存在さえも疑った。
突然何も無い所から人間がぽつりぽつりと出現し、日を追うごとにその数は増え、大陸を埋め尽くす程になったのだ。
その中には人間であった頃の儂自身や見慣れた人間も多く居たのだ。
コピー・・・。
この儂自身も何かのコピーに過ぎないのか。
儂は初めてこの世界に対して、どす黒い恐怖を感じた。
そんなある日、誕生したばかりの新人類は儂達、旧人類が残した書物を発見した。
その中に書かれた内容から新人類は、モンスターが元は自分達と同じ人間である事を知った。
それは彼らにとって非常に都合の悪い事であった。
儂らが人間であった頃の社会でさえ、差別や偏見が多く存在していた。
それは新人類にとっては儂達の時代とは比べ物にならない程、受け入れ難いものであった。
同じ人間として平等な権利を与えるかどうかなど議論にすら上がらなかった。
新人類は事実を捏造する事にした。
モンスターは昔から人間を襲う敵でしかないと、そうやって後世へと語り継いで行った。
それから200年間人間とモンスターは決して相容れない関係が続いた。
両者の全面戦争が起こり、戦いは熾烈を極めた。
多くのモンスターと人間が命を落とし、それでも尚、終わりは見えなかった。
両者の共倒れの様相が見えた時、魔王となったロマリオンが現れた。
ロマリオンは新人類の建造物を圧倒的な力で破壊した。
両者は魔王の力に恐れ慄いた。
そして、ロマリオンはこの世界を征服すると宣言した。
新人類は魔王に対抗する為、不本意ながら一時休戦し、儂達旧人類と協定を結ぶ事にした。
この協定により両者は共倒れの危機から救われた。
ロマリオンはこの世界の怒りや憎しみの矛先を全て自らに向けさせる事によって世界を救った。
今となっては、この事実を知るのは、ほんの一部のモンスターだけじゃ。
事実を知っても尚、人間からモンスターへと変えられた恨みを抱く者も多く存在する。
モンスターが魔物と違って、仲間を殺されて怒るのは人間の感情を持っていた時の名残があるからじゃ。
君達には正しく理解して欲しくて、この話をさせて貰った。
恐らく、君達が求めている答えの鍵は、魔王ロマリオンが握っているだろう・・・」
魔王はその当時から強く、儂ともう一人の仲間のサポートが無くても十分目的を達成するだけの力を持っていた。」
「アンタ達のその目的って言うのは一体何だったんだ?」
「それは・・・魔王討伐。」
「どう言う事だ?魔王が魔王討伐をするって?」
「今の魔王、ロマリオンは初めから魔王と言う訳では無かったんじゃ・・・
長い旅の末、儂達三人はやっとの思いで魔王の前に辿り着く事が出来た。
ロマリオンは魔王の姿を見るや否や、武器を捨てて一人、魔王の元へ走って行った。
『魔王であるあなたは"この世界"について何か知ってるんだろ!お願いだ!教えてくれ!』
『なる程、そういう事か・・・お前もこの世界に導かれた者の一人だったんだな。』
『まさか・・・あなたも別の世界からこの世界へ・・・?』
『ああ。元の世界への戻り方は俺には見つける事が出来なかった。
だが、ここまで辿り着いたお前ならもしかすると、答えを見つける事が出来るかもしれんな。
俺も昔、今のお前と同じ様な状況を迎えた事がある。
元の世界へ戻るには、この世界のボスであろう魔王を倒せば良いのではないかと考え、魔王を探し続けた。』
『どういう事なんだ?あなた以外にも魔王が居たのか?』
『いや、違う。この世界に魔王は一人だけしか存在しない。存在出来ない。
俺も昔は生身の人間だった。
そこで、魔王からこんな話を持ち掛けられた。
魔王である私はこの世界の管理者。この世界の全ての知識を持っている。
この私を殺せばお前は私が持つ管理者としての知識と力を全て手にする事が出来る。
しかし、その見返りとして、管理者として世界の核となり、次の後継者が現れるまで、決して死ぬ事が出来なくなる。
後継者が現れるのはいつになるか分からない。数年先かもしれないが、数万年先かもしれないと、そう言った。
俺はこの世界で死ぬのは御免だったから元の世界に戻りたい一心で魔王をこの手に掛けた。
そして、この世界の膨大な知識と大きな力を手に入れた。
お前にもその覚悟はあるか?』
『ああ、私に迷いは無い。どんな犠牲を払っても、もう一度会いたい人が居るんだ。』
『いいだろう、ならば剣を取れ。俺も元は剣士の端くれ。魔法は使わない事を約束する。純粋に剣で決着を付けよう!』
そこから魔王とロマリオンの激しい決闘の行方は僅かな差で、ロマリオンに軍配が上がった。
ロマリオンは魔王の知識と力を受け継ぎ、新たな魔王となった。
この時、儂達はこれから起こる世界の変化について知る由も無かった。
核である魔王が滅びた事により、世界で大きな気候変動が起こった。
それは、人の身では、とてもでは無いが、生きて行けない程のものだった。
人類は只々、死を待つだけだった。
しかし、そこでロマリオンが一つの大きな決断を下した。
人間を気候変動に適応出来る姿、つまりモンスターに変化させ、絶滅の危機を乗り切ろうというものだった。
それまで、この世界には動物は存在していたが、モンスターは存在していなかった。
一度モンスター化してしまえば二度と人間に戻る事は出来ない。
それでも、儂達人間はモンスターになる事を選び、魔王は全ての人間をモンスター化させた。
それから数年後、気候変動も収まり、穏やかな気候が戻った。
そして、それを機に、世界に二度目の大きな変化が訪れた。
その光景を目の当たりにして、儂は我が目を疑った。同時に儂自身の存在さえも疑った。
突然何も無い所から人間がぽつりぽつりと出現し、日を追うごとにその数は増え、大陸を埋め尽くす程になったのだ。
その中には人間であった頃の儂自身や見慣れた人間も多く居たのだ。
コピー・・・。
この儂自身も何かのコピーに過ぎないのか。
儂は初めてこの世界に対して、どす黒い恐怖を感じた。
そんなある日、誕生したばかりの新人類は儂達、旧人類が残した書物を発見した。
その中に書かれた内容から新人類は、モンスターが元は自分達と同じ人間である事を知った。
それは彼らにとって非常に都合の悪い事であった。
儂らが人間であった頃の社会でさえ、差別や偏見が多く存在していた。
それは新人類にとっては儂達の時代とは比べ物にならない程、受け入れ難いものであった。
同じ人間として平等な権利を与えるかどうかなど議論にすら上がらなかった。
新人類は事実を捏造する事にした。
モンスターは昔から人間を襲う敵でしかないと、そうやって後世へと語り継いで行った。
それから200年間人間とモンスターは決して相容れない関係が続いた。
両者の全面戦争が起こり、戦いは熾烈を極めた。
多くのモンスターと人間が命を落とし、それでも尚、終わりは見えなかった。
両者の共倒れの様相が見えた時、魔王となったロマリオンが現れた。
ロマリオンは新人類の建造物を圧倒的な力で破壊した。
両者は魔王の力に恐れ慄いた。
そして、ロマリオンはこの世界を征服すると宣言した。
新人類は魔王に対抗する為、不本意ながら一時休戦し、儂達旧人類と協定を結ぶ事にした。
この協定により両者は共倒れの危機から救われた。
ロマリオンはこの世界の怒りや憎しみの矛先を全て自らに向けさせる事によって世界を救った。
今となっては、この事実を知るのは、ほんの一部のモンスターだけじゃ。
事実を知っても尚、人間からモンスターへと変えられた恨みを抱く者も多く存在する。
モンスターが魔物と違って、仲間を殺されて怒るのは人間の感情を持っていた時の名残があるからじゃ。
君達には正しく理解して欲しくて、この話をさせて貰った。
恐らく、君達が求めている答えの鍵は、魔王ロマリオンが握っているだろう・・・」
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