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28話 安里翔
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俺は突然目の前に現れた人物に見覚えがあった。
この世界に来て初めて目にした恐ろしい顔の男。
魔王がそこに居た。
魔王は周囲にバリアを張り、火球を無力化した。
俺は魔王のバリアに包まれ、無傷で済む事が出来た。
「何でアンタが俺を助けてくれるんだ?」
俺は魔王の行動が純粋に理解出来なかった。
「君とはその内、ゆっくり話をするとしよう。まずは村に害を成す彼等に、今すぐ消えて貰うとしよう。」
魔王は右手を空に掲げ、魔導士達が唱えたものと同じ呪文で火球を生成した。
それは魔導士達の火球とは比べ物にならない、途轍もない大きさ、そして全てを焼き尽くす様な熱を帯びていた。
同じ魔法なのに術者が違うだけでこれほどの差があるのかと不覚にも感心してしまった。
魔王は躊躇う事無く火球を軍隊に向けて放った。
大勢いた軍隊の三分の二が一瞬にして消失した。
火球を受けた者は骨も残らず灰と化していた。
「流石に低級魔法ではこの程度の被害しか与えられないか。」
「おいおい、この程度って、十分過ぎるじゃないか。」
魔王は次の火球の準備を始めた。
軍隊は統率が乱れ、皆が恐怖に慄いていた。
「魔王が居る何て聞いて無いぞ!こんな所で犬死なんて嫌だ!」
魔王が第二の火球を放つと軍隊は一掃された。
魔王の圧倒的な力により誰もが声が出せずにいた。
するとその静けさを割いて、角の生えた大型のモンスターが大声を上げながら魔王へと向かって行った。
"よくもこの村に顔を出せたな!あんたのせいで俺達が今までどんなに辛い思いをして来たか分かってんのか!"
大型のモンスターは拳を振り上げ、魔王に殴り掛かろうとした。
しかし、魔王は一歩も動かず一瞬悲しそうな表情を見せ全てを受け入れる覚悟をしている様だった。
"止めんか!!!"
俺の腰位の背丈しかない年老いたモンスターが大声で角の生えた大型のモンスターを制止した。
"村長、お体も悪いのにどうしてこんな所へ?"
"村の一大事なのに休んでられるか。それに旧友の気配も感じたからな。"
村長モンスターはゆっくりと歩き魔王の前へ立った。
"久し振りだな魔王・・・いや、ロマリオン。村を救ってくれたのに、若い衆が無礼を働いて済まんかった。"
「彼等が私に恨みを持つのは当然だ。それは甘んじて受け入れるさ。」
"お前と、こうして話をするのも300年振りだな。あの時代を生きた昔の仲間も、とうとう儂とお前だけになってしまったな。"
「その様だな。この村も随分と変わったな。」
"ああ、久し振りの再会だから儂の家でゆっくりして行かないか?"
「いや、止めておく。この村の者は私の事を良くは思っていないから、私が居ては君の村長としての立場も悪くなるだろうからな。」
"何もかもすまない。今のこの村の者達に、お前の事をちゃんと正しく理解させられなかった儂の責任だ。"
「気にするな。私自身もあの時は、この選択が正しいと思っていたが、時が経つに連れて分からなくなって来たからな。」
不意に魔王が俺に視線を送った。
「あそこに居る青年の事は頼んだぞ。」
"あの青年、どこかお前に似てるな・・・"
魔王は村長モンスターとの話を終え、帰り際に俺の横をすれ違った。
すれ違い際に魔王が小声で囁いた。
「"この世界"の事を知りたければ、明日の朝、一人でヴァリア城を訪ねて来ると良い。」
「待ってくれ!ヴァリア城って言えば、さっきアンタが殺した軍隊が所属する城じゃないか。」
魔王は何も答えずに去って行った。
「そこの人間。儂に聞きたい事があるんじゃろ。付いて来るが良い。」
俺とアリシアは慌てて村長モンスターの後を追った。
「ねえ翔。さっき魔王と村長はどんな話してたの?」
アリシアがこっそりと俺に聞いて来た。
「300年前がどうのこうの言ってたな。魔王と村長は昔の仲間だったとか。」
「そんな大事な事早く言ってよ!魔王の仲間に付いて行ったりして、私達何されるかわからないじゃない。今なら間に合うわ、こっそり逃げましょう。」
「待ってくれアリシア。二人の話を聞いて思ったんだが、魔王は君達が思っている程、悪い奴じゃないんじゃないかな。」
「騙されちゃダメよ、翔。魔王は魔物を率いて世界征服を企んでるって昔から言われてるんだから。」
「それもちょっとおかしいんじゃないか?
魔王が本気を出せば人間なんて簡単に絶滅させられるだろうし、魔王は300年以上前から居るんだろ?
その間、人間社会が存続してるのが不思議じゃないか?」
「そう言われてみればそうよね。」
アリシアは完全には納得はしていないが、魔王の不可解な行動に疑問を抱く様になった。
「村長ならその辺の事も色々知ってそうだから話だけでも聞いてみようぜ。」
暫く歩くと、一軒の古びて、今にも倒壊しそうな家が見えて来た。
村長はそこが自分の家だと言ったので、大きな家を想像していた俺は期待を裏切られた。
中に入ってもその印象のままで、質素な生活を送っている事が伺えた。
村長は俺とアリシアに座布団を出し、そこに座る様に促した。
「君達の疑問の答えになるか分からないが、一つ年寄の昔話を聞いてくれないか。」
この世界に来て初めて目にした恐ろしい顔の男。
魔王がそこに居た。
魔王は周囲にバリアを張り、火球を無力化した。
俺は魔王のバリアに包まれ、無傷で済む事が出来た。
「何でアンタが俺を助けてくれるんだ?」
俺は魔王の行動が純粋に理解出来なかった。
「君とはその内、ゆっくり話をするとしよう。まずは村に害を成す彼等に、今すぐ消えて貰うとしよう。」
魔王は右手を空に掲げ、魔導士達が唱えたものと同じ呪文で火球を生成した。
それは魔導士達の火球とは比べ物にならない、途轍もない大きさ、そして全てを焼き尽くす様な熱を帯びていた。
同じ魔法なのに術者が違うだけでこれほどの差があるのかと不覚にも感心してしまった。
魔王は躊躇う事無く火球を軍隊に向けて放った。
大勢いた軍隊の三分の二が一瞬にして消失した。
火球を受けた者は骨も残らず灰と化していた。
「流石に低級魔法ではこの程度の被害しか与えられないか。」
「おいおい、この程度って、十分過ぎるじゃないか。」
魔王は次の火球の準備を始めた。
軍隊は統率が乱れ、皆が恐怖に慄いていた。
「魔王が居る何て聞いて無いぞ!こんな所で犬死なんて嫌だ!」
魔王が第二の火球を放つと軍隊は一掃された。
魔王の圧倒的な力により誰もが声が出せずにいた。
するとその静けさを割いて、角の生えた大型のモンスターが大声を上げながら魔王へと向かって行った。
"よくもこの村に顔を出せたな!あんたのせいで俺達が今までどんなに辛い思いをして来たか分かってんのか!"
大型のモンスターは拳を振り上げ、魔王に殴り掛かろうとした。
しかし、魔王は一歩も動かず一瞬悲しそうな表情を見せ全てを受け入れる覚悟をしている様だった。
"止めんか!!!"
俺の腰位の背丈しかない年老いたモンスターが大声で角の生えた大型のモンスターを制止した。
"村長、お体も悪いのにどうしてこんな所へ?"
"村の一大事なのに休んでられるか。それに旧友の気配も感じたからな。"
村長モンスターはゆっくりと歩き魔王の前へ立った。
"久し振りだな魔王・・・いや、ロマリオン。村を救ってくれたのに、若い衆が無礼を働いて済まんかった。"
「彼等が私に恨みを持つのは当然だ。それは甘んじて受け入れるさ。」
"お前と、こうして話をするのも300年振りだな。あの時代を生きた昔の仲間も、とうとう儂とお前だけになってしまったな。"
「その様だな。この村も随分と変わったな。」
"ああ、久し振りの再会だから儂の家でゆっくりして行かないか?"
「いや、止めておく。この村の者は私の事を良くは思っていないから、私が居ては君の村長としての立場も悪くなるだろうからな。」
"何もかもすまない。今のこの村の者達に、お前の事をちゃんと正しく理解させられなかった儂の責任だ。"
「気にするな。私自身もあの時は、この選択が正しいと思っていたが、時が経つに連れて分からなくなって来たからな。」
不意に魔王が俺に視線を送った。
「あそこに居る青年の事は頼んだぞ。」
"あの青年、どこかお前に似てるな・・・"
魔王は村長モンスターとの話を終え、帰り際に俺の横をすれ違った。
すれ違い際に魔王が小声で囁いた。
「"この世界"の事を知りたければ、明日の朝、一人でヴァリア城を訪ねて来ると良い。」
「待ってくれ!ヴァリア城って言えば、さっきアンタが殺した軍隊が所属する城じゃないか。」
魔王は何も答えずに去って行った。
「そこの人間。儂に聞きたい事があるんじゃろ。付いて来るが良い。」
俺とアリシアは慌てて村長モンスターの後を追った。
「ねえ翔。さっき魔王と村長はどんな話してたの?」
アリシアがこっそりと俺に聞いて来た。
「300年前がどうのこうの言ってたな。魔王と村長は昔の仲間だったとか。」
「そんな大事な事早く言ってよ!魔王の仲間に付いて行ったりして、私達何されるかわからないじゃない。今なら間に合うわ、こっそり逃げましょう。」
「待ってくれアリシア。二人の話を聞いて思ったんだが、魔王は君達が思っている程、悪い奴じゃないんじゃないかな。」
「騙されちゃダメよ、翔。魔王は魔物を率いて世界征服を企んでるって昔から言われてるんだから。」
「それもちょっとおかしいんじゃないか?
魔王が本気を出せば人間なんて簡単に絶滅させられるだろうし、魔王は300年以上前から居るんだろ?
その間、人間社会が存続してるのが不思議じゃないか?」
「そう言われてみればそうよね。」
アリシアは完全には納得はしていないが、魔王の不可解な行動に疑問を抱く様になった。
「村長ならその辺の事も色々知ってそうだから話だけでも聞いてみようぜ。」
暫く歩くと、一軒の古びて、今にも倒壊しそうな家が見えて来た。
村長はそこが自分の家だと言ったので、大きな家を想像していた俺は期待を裏切られた。
中に入ってもその印象のままで、質素な生活を送っている事が伺えた。
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