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31話 Cecil
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振り向いた僕達の姿を見た愛ちゃんも驚いた様子で問い掛けた。
「陽菜お姉ちゃんも、セシルお兄ちゃんもどうしてここに居るの?」
「私達はこの大きな穴の存在を確かめる為にここへ来たのよ。」
「そうなんだぁ。アイはね、呼ばれたの。」
「呼ばれたって、誰に?」
「分かんない。でも、ここに来れば翔お兄ちゃんに会えるって、頭の中で声が聞こえたの。」
「ここはね。とーっても危険な所だから愛ちゃんは陽菜お姉ちゃんと一緒にお家に帰りましょう。」
陽菜さんが愛ちゃんの方へ向かって歩き出した。
「危なーーーい!!!」
桃恵先生が愛ちゃんと陽菜さんに向かって叫んだ。
突然穴から大きな黒い手の様な物が、僕達の間を抜けて愛ちゃんを目掛けて伸びて行った。
「助けてーーー!!!」
黒い手に掴まれた愛ちゃんは必死に暴れて手を振り解こうとした。
しかし、手は全く愛ちゃんを放そうとしない。
僕達も必死に手を剥がそうとしたが、手にはまるで実体が無いのか、僕達には触れる事が出来なかった。
愛ちゃんはそのまま穴の中へと連れ去られて行った。
僕は愛ちゃんを助ける為、穴の中へ飛び込もうと全身に力を入れた。
その時、不意に七海さんの笑顔が頭を過った。
このまま飛び込めば死ぬかもしれない。
これまでの戦いの中で死ぬ覚悟はいつでも出来ていた。
しかし、今は違う。
このまま死んでしまえば、七海さんを、彼女を守ると約束をしたのに、それが果たせなくなる。
その躊躇いが一瞬僕の足を止めた。
「坊主。お前はここに残れ。俺が行く!」
一茂さんが僕を押し倒した。
「いいか坊主!俺が戻るまで、桃恵さんの事は頼んだぞ!」
一茂さんは小さくなり、今にも消えて無くなりそうな穴の中へ飛び込んだ。
穴は愛ちゃんと一茂さんを吸い込むと跡形も無く消え失せた。
「うぇーーん。愛ちゃん、ごめんなさい。」
陽菜さんは目の前で翔さんに続き愛ちゃんも救えなかった自分を責めていた。
桃恵さんもあいちゃんと一茂さん、二人に対しての責任を感じていた。
僕はその場を動く事が出来ず、暫くの間、茫然と立ち尽くしていた。
"決して希望を失ってはいけない"
僕はそう思う事で自分を奮い立たせた。
「陽菜さん。二人は僕が必ず助け出す。だから、もう自分を責めないでくれ。」
陽菜さんは僕のその言葉を聞くと、涙を拭って力強く言った。
「二人は絶対生きてる。私も絶対に諦めない。」
僕は陽菜さんを送る為、駅まで一緒に歩いた。
見門駅に着くと、初めてこの世界に来た時と同じく、ストリートミュージシャンの歌が聞こえて来た。
"故郷に~生きる~仲間であり~大事な~友達がずっと~平和に~笑顔で~頑張っていると~
明日は~楽しいんだ~英雄なんて~・・・"
真っ白になっていた頭の中で聞いていると、ある言葉が浮かんで来た。
f故郷に
i生きる
n仲間であり
d大事な
t友達がずっと
h平和に
e笑顔で
g頑張っていると
a明日は
t楽しいんだ
e英雄なんて
「find the gate・・・」
僕は無我夢中で喧噪の中の歌声を頼りに、ストリートミュージシャンを探した。
ストリートミュージシャンは、行き交う人混みの中、孤独に歌っていた。
僕は逸る気持ちを抑えられず、歌唱中のストリートミュージシャンの前に立ち大きな声を上げた。
「教えて下さい!この歌の歌詞の意味を!」
ストリートミュージシャンは僕の声に驚き、歌を止めた。
「君はあの時の・・・。
前にも話したけど、このメロディーと歌詞は夢の中で浮かんだものだから、自分自身で作ったって実感が湧かないんだ。
これはちょっとした自慢だけど、十年前にこの歌を凄く気に入ってくれた人が君以外にもう一人居たんだ。
その人は映画監督で、この歌を自分が監督した映画の主題歌にしたいって言ってくれたんだ。
だけど俺は怖くなってその話を断った。」
「どうしてですか?」
「この歌がもし評価されてもそれは俺の実力じゃない。そう思ったからさ。」
「そうなんですね・・・」
何かヒントを得られると思っていた僕は何も得られなかった事に落胆を隠し切れなかった。
「もー!セシルくん勝手に一人で走り出さないでよ!探すの大変だったんだぞ~!」
後ろから息を切らしながら走って来た陽菜さんが、人差し指で僕を軽く小突いた。
「ごめん陽菜さん。」
僕は陽菜さんに謝り、再度ストリートミュージシャンの方に顔を向けた。
「途中で歌を止めてしまってすみませんでした。」
再び歩き出そうとした時、ストリートミュージシャンが不意に言った。
「さっき話した主題歌になったかも知れない映画、あれなんだぜ。」
ストリートミュージシャンが駅の向かいの映画館に貼られた大きなポスターを指差した。
「陽菜さんはあの映画、観た事ありますか。」
「う~ん。無かったと思う・・・でも不思議・・・」
「何が不思議なんですか?」
「映画ってね、普通は1ヶ月~3ヶ月の間上映される事が多いの・・・
でもね、あの映画は特別評判が良いって訳でも無いのに、私が子供の頃からず~っと上映され続けてるの。」
「どんなストーリーの映画なんですか?」
「確か・・・、幼い頃に両親を失って、おじいちゃんに育てられた少年が、成長して勇者になって、二人の仲間と一緒に魔王を倒すって所から始まる、凄く変わったお話だったと思うの・・・」
「陽菜お姉ちゃんも、セシルお兄ちゃんもどうしてここに居るの?」
「私達はこの大きな穴の存在を確かめる為にここへ来たのよ。」
「そうなんだぁ。アイはね、呼ばれたの。」
「呼ばれたって、誰に?」
「分かんない。でも、ここに来れば翔お兄ちゃんに会えるって、頭の中で声が聞こえたの。」
「ここはね。とーっても危険な所だから愛ちゃんは陽菜お姉ちゃんと一緒にお家に帰りましょう。」
陽菜さんが愛ちゃんの方へ向かって歩き出した。
「危なーーーい!!!」
桃恵先生が愛ちゃんと陽菜さんに向かって叫んだ。
突然穴から大きな黒い手の様な物が、僕達の間を抜けて愛ちゃんを目掛けて伸びて行った。
「助けてーーー!!!」
黒い手に掴まれた愛ちゃんは必死に暴れて手を振り解こうとした。
しかし、手は全く愛ちゃんを放そうとしない。
僕達も必死に手を剥がそうとしたが、手にはまるで実体が無いのか、僕達には触れる事が出来なかった。
愛ちゃんはそのまま穴の中へと連れ去られて行った。
僕は愛ちゃんを助ける為、穴の中へ飛び込もうと全身に力を入れた。
その時、不意に七海さんの笑顔が頭を過った。
このまま飛び込めば死ぬかもしれない。
これまでの戦いの中で死ぬ覚悟はいつでも出来ていた。
しかし、今は違う。
このまま死んでしまえば、七海さんを、彼女を守ると約束をしたのに、それが果たせなくなる。
その躊躇いが一瞬僕の足を止めた。
「坊主。お前はここに残れ。俺が行く!」
一茂さんが僕を押し倒した。
「いいか坊主!俺が戻るまで、桃恵さんの事は頼んだぞ!」
一茂さんは小さくなり、今にも消えて無くなりそうな穴の中へ飛び込んだ。
穴は愛ちゃんと一茂さんを吸い込むと跡形も無く消え失せた。
「うぇーーん。愛ちゃん、ごめんなさい。」
陽菜さんは目の前で翔さんに続き愛ちゃんも救えなかった自分を責めていた。
桃恵さんもあいちゃんと一茂さん、二人に対しての責任を感じていた。
僕はその場を動く事が出来ず、暫くの間、茫然と立ち尽くしていた。
"決して希望を失ってはいけない"
僕はそう思う事で自分を奮い立たせた。
「陽菜さん。二人は僕が必ず助け出す。だから、もう自分を責めないでくれ。」
陽菜さんは僕のその言葉を聞くと、涙を拭って力強く言った。
「二人は絶対生きてる。私も絶対に諦めない。」
僕は陽菜さんを送る為、駅まで一緒に歩いた。
見門駅に着くと、初めてこの世界に来た時と同じく、ストリートミュージシャンの歌が聞こえて来た。
"故郷に~生きる~仲間であり~大事な~友達がずっと~平和に~笑顔で~頑張っていると~
明日は~楽しいんだ~英雄なんて~・・・"
真っ白になっていた頭の中で聞いていると、ある言葉が浮かんで来た。
f故郷に
i生きる
n仲間であり
d大事な
t友達がずっと
h平和に
e笑顔で
g頑張っていると
a明日は
t楽しいんだ
e英雄なんて
「find the gate・・・」
僕は無我夢中で喧噪の中の歌声を頼りに、ストリートミュージシャンを探した。
ストリートミュージシャンは、行き交う人混みの中、孤独に歌っていた。
僕は逸る気持ちを抑えられず、歌唱中のストリートミュージシャンの前に立ち大きな声を上げた。
「教えて下さい!この歌の歌詞の意味を!」
ストリートミュージシャンは僕の声に驚き、歌を止めた。
「君はあの時の・・・。
前にも話したけど、このメロディーと歌詞は夢の中で浮かんだものだから、自分自身で作ったって実感が湧かないんだ。
これはちょっとした自慢だけど、十年前にこの歌を凄く気に入ってくれた人が君以外にもう一人居たんだ。
その人は映画監督で、この歌を自分が監督した映画の主題歌にしたいって言ってくれたんだ。
だけど俺は怖くなってその話を断った。」
「どうしてですか?」
「この歌がもし評価されてもそれは俺の実力じゃない。そう思ったからさ。」
「そうなんですね・・・」
何かヒントを得られると思っていた僕は何も得られなかった事に落胆を隠し切れなかった。
「もー!セシルくん勝手に一人で走り出さないでよ!探すの大変だったんだぞ~!」
後ろから息を切らしながら走って来た陽菜さんが、人差し指で僕を軽く小突いた。
「ごめん陽菜さん。」
僕は陽菜さんに謝り、再度ストリートミュージシャンの方に顔を向けた。
「途中で歌を止めてしまってすみませんでした。」
再び歩き出そうとした時、ストリートミュージシャンが不意に言った。
「さっき話した主題歌になったかも知れない映画、あれなんだぜ。」
ストリートミュージシャンが駅の向かいの映画館に貼られた大きなポスターを指差した。
「陽菜さんはあの映画、観た事ありますか。」
「う~ん。無かったと思う・・・でも不思議・・・」
「何が不思議なんですか?」
「映画ってね、普通は1ヶ月~3ヶ月の間上映される事が多いの・・・
でもね、あの映画は特別評判が良いって訳でも無いのに、私が子供の頃からず~っと上映され続けてるの。」
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