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42話 安里翔
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「魔王!その記念碑には一体何て書いてあるんだ?」
魔王は俺の質問には答えず、不敵な笑みを浮かべ、こちらを睨み付けた。
俺は魔王の睨みに恐怖を感じ、身動ぎ一つ出来ないでいた。
「フフフフフ・・・ハーハッハッハッ。
私は何と愚かだったんだ。
この世界は私を元の世界に戻す為にヒントを残して、協力してくれている物だと思っていた。
だから私は、300年以上もの長い時を生き、必ず元の世界に戻れると信じ、その方法をひたすら探し続けていたのだ。
だが、これまで費やして来た時間の全てが、全く持って無意味な物であったとはな・・・
私はこの世界にとって重要な人物でも何でも無かったのだな・・・
他の人間達と同様、幾らでも替えの利く存在だったと言う訳か・・・
物語の主人公は私では無かった。彼だったのか・・・
ならば私は私のやり方で、この世界の思惑をこの手で潰して見せる。」
魔王は剣を抜き、その刃を俺に向た。
「気が変わった!安里翔!今から私と勝負しろ!」
「どうして急に気が変わったんだよ?嫌だよ!アンタとは戦いたく無いよ!
それに、勝負って言ったって、こっちは生身の人間なのに、そっちは不死身だろう。そんなのズルいぞ!」
「私が不死身だと言う事に関しては、君は特に心配する必要な無いだろう。
私の後継者としての器があれば、この私に永遠の死を与える事が出来る筈だからな。」
魔王は有無を言わさぬと言った様子だった。
しかし、決闘をすると言っても俺の手元には武器が何も無かった。
「待ってくれ!幾ら俺が断ってもアンタは俺を殺すつもり何だろ?俺、今武器を何も持って無いんだ。
戦うからせめて、剣を準備するまで待ってくれないか!」
「ああ、いいだろう。私も何も持たぬ君を手に掛けるのは不本意だからな。」
魔王は構えていた剣を下に降ろした。
生死の掛かった状況で思うのも何だが、こんなカッコ良い事がサラッと出来る所が、俺が魔王を尊敬出来る所以だ。
自分が多少不利になる可能性があっても、正々堂々とした戦いを重んじる。
最初の出会いの印象は最悪であったが、魔王の人間性を知るに連れて、俺はどうしても魔王を嫌いになれなかった。
「翔!待ってて、私の家に剣があるから、急いで取って来るわね。」
「ありがとう。アリシア。」
アリシアは剣を取りに家に向かって走った。
「翔!俺はどうしてたらいい?」
イワンがオドオドしながら困惑した表情で言った。
「イワン。アンタは何もしなくて良いから、くれぐれも俺の邪魔だけはしないでくれ。」
気が張り詰めていたせいか、イワンに対して言葉が強くなったかもしれない。
この戦いの後、まだ生きてられたら、今の発言を謝ろう。
「分かった、翔。俺はお前が傷を負った時の為に、これから薬草が生えてそうな草原へと向かう。
薬草を摘むのは非常にデリケートな作業だから、くれぐれもこっちには来ないでくれよ。」
「イワン・・・待て・・・」
イワンは振り返る事無く、軽やかな足取りで走り去って行った。
やっぱり謝るのは止めよう。
反対の道を行けば、直ぐ近くの薬局や道具屋で薬草は幾らでも売っている。
イワンはただ、この場から逃げ出す口実が欲しかったけだったんだ。
分かってはいたが、改めて思った。
何て薄情な奴なんだと。
だけど俺は小さくなるイワンの後ろ姿を見て、不思議と怒りの感情は無かった。
それよりも、今まで共に苦しみ、共に喜び合った旅の思い出が蘇っていた。
「魔王。アンタに頼みがある。何があっても俺の仲間には手は出さないで欲しい。」
「いいだろう。約束しよう。君に対しても、君の仲間に対しても、私は何の恨みも無いからな。」
「だったら、今からでも戦う事も考え直してくれないか?」
「それは出来ない相談だ。これは私と君との生き残りを掛けた戦いだ。」
「そんなぁ・・・」
「何者か分からぬが、何処からか良く見ておくのだな。
物語の主人公だと勘違いしていた愚かな男が、世界に選ばれし者を倒し、その巫山戯た思惑を狂わせる姿を。」
「アンタがさっきから言ってる、世界に選ばれたとか、思惑って一体何なんだよ!
そんな訳分かんねー物の為に、本当に俺達が戦わないといけないのかよ!」
「いいだろう。君に一つ教えて上げよう。
この世界には選ばれた者のみが通る事の出来るゲートが存在する。
そのゲートは選ばれた者が向かうべき世界へと繋がっている。」
「向かうべき世界?そのゲートを通れば俺は元の世界に戻れるのか?」
この時、遠くの方でアリシアの俺を呼ぶ声が聞こえた。
「どうやら時間の様だ。話はここまでとしよう。」
アリシアが息を切らし、剣を引き摺りながら戻って来た。
「翔、この剣を使って。」
アリシアは俯きながら、震える手で、鞘に収められた剣を差し出した。
「アリシア。下ばかり見てないで、お願いだから、最後位はちゃんと顔を見せてくれないか?」
ゆっくりと顔を上げたアリシアの目からは涙が溢れていた。
「翔、お願い。死なないで・・・
これで最後だなんて・・・私、絶対嫌なんだから・・・」
「ああ。最後にはしない。必ず魔王に打ち勝って見せる。」
俺には魔王に勝てる自信何て、これっぽっちも無かった。
だけど、アリシアの涙を見てしまっては、強がりを言うしか無かった。
まだこんな所で死にたく無い。そう強く思った。
「皮肉な物だな。今の状況はまるで、あの時の私と魔王の様だ・・・」
魔王が遠い目をして呟いた。
俺は覚悟を決め、鞘から剣を抜いた。
ん・・・!?
この剣、どこか見覚えがあるぞ。
鞘から抜くまで全然気付かなかったが間違い無い。
嘘だろ・・・
これは、勇者の剣(正式名称:勇者の文鎮)の色違いだ・・・
鞘(正式名称:勇者の文鎮ケース)をひっくり返すと、そこには力強い縦書きで大きく"勇者村名産 勇者の剣”と書かれていたのだ。
「アリシア違うんだ・・・」
既にアリシアは離れた場所から、俺の勝利を両手を組んで神に祈っていた。
「これは剣何かじゃ無い!勇者村名産の土産品、勇者の文鎮なんだ!」
「待ってくれ魔王!」
「問答無用!」
「くそっ!どうすりゃいいんだ?」
魔王は俺の質問には答えず、不敵な笑みを浮かべ、こちらを睨み付けた。
俺は魔王の睨みに恐怖を感じ、身動ぎ一つ出来ないでいた。
「フフフフフ・・・ハーハッハッハッ。
私は何と愚かだったんだ。
この世界は私を元の世界に戻す為にヒントを残して、協力してくれている物だと思っていた。
だから私は、300年以上もの長い時を生き、必ず元の世界に戻れると信じ、その方法をひたすら探し続けていたのだ。
だが、これまで費やして来た時間の全てが、全く持って無意味な物であったとはな・・・
私はこの世界にとって重要な人物でも何でも無かったのだな・・・
他の人間達と同様、幾らでも替えの利く存在だったと言う訳か・・・
物語の主人公は私では無かった。彼だったのか・・・
ならば私は私のやり方で、この世界の思惑をこの手で潰して見せる。」
魔王は剣を抜き、その刃を俺に向た。
「気が変わった!安里翔!今から私と勝負しろ!」
「どうして急に気が変わったんだよ?嫌だよ!アンタとは戦いたく無いよ!
それに、勝負って言ったって、こっちは生身の人間なのに、そっちは不死身だろう。そんなのズルいぞ!」
「私が不死身だと言う事に関しては、君は特に心配する必要な無いだろう。
私の後継者としての器があれば、この私に永遠の死を与える事が出来る筈だからな。」
魔王は有無を言わさぬと言った様子だった。
しかし、決闘をすると言っても俺の手元には武器が何も無かった。
「待ってくれ!幾ら俺が断ってもアンタは俺を殺すつもり何だろ?俺、今武器を何も持って無いんだ。
戦うからせめて、剣を準備するまで待ってくれないか!」
「ああ、いいだろう。私も何も持たぬ君を手に掛けるのは不本意だからな。」
魔王は構えていた剣を下に降ろした。
生死の掛かった状況で思うのも何だが、こんなカッコ良い事がサラッと出来る所が、俺が魔王を尊敬出来る所以だ。
自分が多少不利になる可能性があっても、正々堂々とした戦いを重んじる。
最初の出会いの印象は最悪であったが、魔王の人間性を知るに連れて、俺はどうしても魔王を嫌いになれなかった。
「翔!待ってて、私の家に剣があるから、急いで取って来るわね。」
「ありがとう。アリシア。」
アリシアは剣を取りに家に向かって走った。
「翔!俺はどうしてたらいい?」
イワンがオドオドしながら困惑した表情で言った。
「イワン。アンタは何もしなくて良いから、くれぐれも俺の邪魔だけはしないでくれ。」
気が張り詰めていたせいか、イワンに対して言葉が強くなったかもしれない。
この戦いの後、まだ生きてられたら、今の発言を謝ろう。
「分かった、翔。俺はお前が傷を負った時の為に、これから薬草が生えてそうな草原へと向かう。
薬草を摘むのは非常にデリケートな作業だから、くれぐれもこっちには来ないでくれよ。」
「イワン・・・待て・・・」
イワンは振り返る事無く、軽やかな足取りで走り去って行った。
やっぱり謝るのは止めよう。
反対の道を行けば、直ぐ近くの薬局や道具屋で薬草は幾らでも売っている。
イワンはただ、この場から逃げ出す口実が欲しかったけだったんだ。
分かってはいたが、改めて思った。
何て薄情な奴なんだと。
だけど俺は小さくなるイワンの後ろ姿を見て、不思議と怒りの感情は無かった。
それよりも、今まで共に苦しみ、共に喜び合った旅の思い出が蘇っていた。
「魔王。アンタに頼みがある。何があっても俺の仲間には手は出さないで欲しい。」
「いいだろう。約束しよう。君に対しても、君の仲間に対しても、私は何の恨みも無いからな。」
「だったら、今からでも戦う事も考え直してくれないか?」
「それは出来ない相談だ。これは私と君との生き残りを掛けた戦いだ。」
「そんなぁ・・・」
「何者か分からぬが、何処からか良く見ておくのだな。
物語の主人公だと勘違いしていた愚かな男が、世界に選ばれし者を倒し、その巫山戯た思惑を狂わせる姿を。」
「アンタがさっきから言ってる、世界に選ばれたとか、思惑って一体何なんだよ!
そんな訳分かんねー物の為に、本当に俺達が戦わないといけないのかよ!」
「いいだろう。君に一つ教えて上げよう。
この世界には選ばれた者のみが通る事の出来るゲートが存在する。
そのゲートは選ばれた者が向かうべき世界へと繋がっている。」
「向かうべき世界?そのゲートを通れば俺は元の世界に戻れるのか?」
この時、遠くの方でアリシアの俺を呼ぶ声が聞こえた。
「どうやら時間の様だ。話はここまでとしよう。」
アリシアが息を切らし、剣を引き摺りながら戻って来た。
「翔、この剣を使って。」
アリシアは俯きながら、震える手で、鞘に収められた剣を差し出した。
「アリシア。下ばかり見てないで、お願いだから、最後位はちゃんと顔を見せてくれないか?」
ゆっくりと顔を上げたアリシアの目からは涙が溢れていた。
「翔、お願い。死なないで・・・
これで最後だなんて・・・私、絶対嫌なんだから・・・」
「ああ。最後にはしない。必ず魔王に打ち勝って見せる。」
俺には魔王に勝てる自信何て、これっぽっちも無かった。
だけど、アリシアの涙を見てしまっては、強がりを言うしか無かった。
まだこんな所で死にたく無い。そう強く思った。
「皮肉な物だな。今の状況はまるで、あの時の私と魔王の様だ・・・」
魔王が遠い目をして呟いた。
俺は覚悟を決め、鞘から剣を抜いた。
ん・・・!?
この剣、どこか見覚えがあるぞ。
鞘から抜くまで全然気付かなかったが間違い無い。
嘘だろ・・・
これは、勇者の剣(正式名称:勇者の文鎮)の色違いだ・・・
鞘(正式名称:勇者の文鎮ケース)をひっくり返すと、そこには力強い縦書きで大きく"勇者村名産 勇者の剣”と書かれていたのだ。
「アリシア違うんだ・・・」
既にアリシアは離れた場所から、俺の勝利を両手を組んで神に祈っていた。
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「待ってくれ魔王!」
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